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プロローグ
拳鬼ゴウキは異物である
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ゴウキは勇者パーティーの中でも異色な存在である。
クレアは代々戦士として名を馳せた侯爵家の令嬢で、ミリアも侯爵家令嬢、リフトは教団の高位者の息子で、自身も教団では将来有望な神官として名が通っている。そしてマリスは子爵家の令嬢だ。
そんな勇者パーティーの中、ゴウキはバルジ王国の王都の片隅・・・スラム街で育った平民だ。
子供の頃から悪意と暴力に触れて育ち、温室とはほど遠い熾烈な環境で彼は生きてきた。そんな彼が何故クレアやミリアと幼馴染であったのかはまた後々述べるとする。
ともかくゴウキは11歳の頃にクレアに才能を見出され、将来的な勇者クレアのパーティー候補生として選びだされることで彼は表世界に顔を表すようになった。
国からの支援で王立学園に通い常識と基本知識を学ぶと、学園を卒業する15歳のときに受けた勇者パーティー選抜試験に挑み、実戦形式の試験に置いて圧倒的な力を見せつけて見事合格をもぎ取った。
それは異色の試験内容であった。
候補者が実戦形式でそれぞれトーナメント制で争うのだが、相手が剣だろうと大剣だろうと魔法だろうと、ゴウキは己の体・・・素手のみを持ってライバルをねじ伏せたのである。
いくら剣で斬り刻んでも進みを止めないゴウキは、その拳で以て相手の剣ごと顔面を叩き潰し、魔法による火炎を受けても怯まずこれまた拳で相手を粉砕する。攻撃が通じないと知るや失禁し、戦意喪失する者まで現れた。有望なる戦士だったはずなのに、この試験により心的要因で再起不能になった者まで現れた。
ゴウキのその異様な身体能力に試験管は熱狂した。
勇者パーティーとして採用するには明らかに品の無い戦いぶりだったが、そんな懸念の声などものともしないほどの力にほれ込んだのである。
「あれならば勇者様の補佐として問題ないだろう」
「・・・勇者様より強いってことは?」
「というか復活する魔王とはアレのことでは?」
選抜試験は勇者パーティーとして人格面も考慮しなければならないために面接、学力検査も考慮されるが、いずれも中止になった。何しろ実戦試験でゴウキ以外の候補生は軒並み壊されるか棄権するかしてしまったからである。
晴れてゴウキは勇者クレアのパーティー加入を国から認められたわけだが、その戦いぶりから拳を振るう鬼・・・『拳鬼』という称号を与えられた。『拳神』や『拳聖』とつけるにはあまりに泥臭いスタイルだから勇者パーティーとしては異例の物々しい称号となった。
そんなゴウキはもちろんパーティーから浮いている。
彼以外の勇者パーティーは皆、人々からは端麗な容姿で戦士というより歌劇団のスター達に見えると言われるほどだ。だが厳つい見た目や獣のような戦闘スタイルを持つゴウキは「悪魔」「半魔」「デビルマン」「悪鬼」「サタンゴーレム」「最終人型兵器」などなど他メンバーの正反対と言える表現ばかりが使われた。
大蛇の魔物をクレアやマリスなら綺麗に剣で斬り刻むところを、ゴウキは大蛇の口を掴んでそのまま全身を引き裂くといった倒し方をすることもあるので仕方がないといえば仕方が無かった。
そしてーー
そんなゴウキをリフトは排除したがっていた。
ゴウキは勇者パーティーには相応しくない。清濁併せ吞むと言っても限度がある。
ゴウキはリフトの『計画』の邪魔にしかならないと考え、彼はゴウキ排除の作戦を実行しようとしていた。
クレアは代々戦士として名を馳せた侯爵家の令嬢で、ミリアも侯爵家令嬢、リフトは教団の高位者の息子で、自身も教団では将来有望な神官として名が通っている。そしてマリスは子爵家の令嬢だ。
そんな勇者パーティーの中、ゴウキはバルジ王国の王都の片隅・・・スラム街で育った平民だ。
子供の頃から悪意と暴力に触れて育ち、温室とはほど遠い熾烈な環境で彼は生きてきた。そんな彼が何故クレアやミリアと幼馴染であったのかはまた後々述べるとする。
ともかくゴウキは11歳の頃にクレアに才能を見出され、将来的な勇者クレアのパーティー候補生として選びだされることで彼は表世界に顔を表すようになった。
国からの支援で王立学園に通い常識と基本知識を学ぶと、学園を卒業する15歳のときに受けた勇者パーティー選抜試験に挑み、実戦形式の試験に置いて圧倒的な力を見せつけて見事合格をもぎ取った。
それは異色の試験内容であった。
候補者が実戦形式でそれぞれトーナメント制で争うのだが、相手が剣だろうと大剣だろうと魔法だろうと、ゴウキは己の体・・・素手のみを持ってライバルをねじ伏せたのである。
いくら剣で斬り刻んでも進みを止めないゴウキは、その拳で以て相手の剣ごと顔面を叩き潰し、魔法による火炎を受けても怯まずこれまた拳で相手を粉砕する。攻撃が通じないと知るや失禁し、戦意喪失する者まで現れた。有望なる戦士だったはずなのに、この試験により心的要因で再起不能になった者まで現れた。
ゴウキのその異様な身体能力に試験管は熱狂した。
勇者パーティーとして採用するには明らかに品の無い戦いぶりだったが、そんな懸念の声などものともしないほどの力にほれ込んだのである。
「あれならば勇者様の補佐として問題ないだろう」
「・・・勇者様より強いってことは?」
「というか復活する魔王とはアレのことでは?」
選抜試験は勇者パーティーとして人格面も考慮しなければならないために面接、学力検査も考慮されるが、いずれも中止になった。何しろ実戦試験でゴウキ以外の候補生は軒並み壊されるか棄権するかしてしまったからである。
晴れてゴウキは勇者クレアのパーティー加入を国から認められたわけだが、その戦いぶりから拳を振るう鬼・・・『拳鬼』という称号を与えられた。『拳神』や『拳聖』とつけるにはあまりに泥臭いスタイルだから勇者パーティーとしては異例の物々しい称号となった。
そんなゴウキはもちろんパーティーから浮いている。
彼以外の勇者パーティーは皆、人々からは端麗な容姿で戦士というより歌劇団のスター達に見えると言われるほどだ。だが厳つい見た目や獣のような戦闘スタイルを持つゴウキは「悪魔」「半魔」「デビルマン」「悪鬼」「サタンゴーレム」「最終人型兵器」などなど他メンバーの正反対と言える表現ばかりが使われた。
大蛇の魔物をクレアやマリスなら綺麗に剣で斬り刻むところを、ゴウキは大蛇の口を掴んでそのまま全身を引き裂くといった倒し方をすることもあるので仕方がないといえば仕方が無かった。
そしてーー
そんなゴウキをリフトは排除したがっていた。
ゴウキは勇者パーティーには相応しくない。清濁併せ吞むと言っても限度がある。
ゴウキはリフトの『計画』の邪魔にしかならないと考え、彼はゴウキ排除の作戦を実行しようとしていた。
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