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9.拉致(後半)
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カノンと男達の距離は今にでも襲われる距離にまで近づいてきていた。
「よう、貴族様よ。
俺たちと楽しみましょうや」
「……いや、!」
「逃げても無駄だぜ!」
「ウォ、ウォルター様!!!」
私は助けが来る希望を胸にウォルター様の名前を大きな声で叫んだ。
「そんな叫んだって誰も来ねーよ!」
もうダメだと思ったその時、
倉庫の扉が誰かの手によって開かれた。
「カノン!!」
ウォルター様だ。
好きな人の声がして一気に安心してしまい涙が出てきた。
「……カノンに何をした!」
「あ?誰だてめぇ」
「お、おい!あいつこの女の婚約者だ」
「あ?てことは……。隣国の王太子…」
「お、俺たちは頼まれてやっただけだ!」
「そんなもの関係ない。
私の婚約者に手を出したこと後悔させてやる」
そういうウォルター様は今にでも男2人を切り殺しそうな勢いだった。
だけどウォルター様の後ろから着いてきていたらしいアレク殿下に制されて落ち着きを取り戻していた。
アレク殿下はそのまま男2人を城まで連行して行った。
「カノン!」
「ウォルター様……」
「すみません、怖い思いさせて」
抱きしめられ、一気に恐怖で抑えられていた涙が溢れ出てきた。
涙が止まらずそれから数分は泣き続けた。
その間もウォルター様はずっと慰めてくれたし、
「すみません」「大丈夫」と言ってくれた。
「カノン……。こんな時に言うことじゃないかもしれないんだけど、」
「…はい」
「これからのカノンの人生、僕にくれませんか?一生大切に守っていくと誓います」
え、これってプロポーズ?
私が小さい頃に憧れたようなシチュエーションではないけど今の私は世界一幸せだと自信を持って言える。
「……」
返事をしないとって思ってるけど、嬉しい涙が止まらず返事ができないからウォルター様が少し不安そうにしている。
そんなウォルター様の顔なかなか見れないから泣きながらもその顔を見ていた。
「……ウォルター様」
「はい」
「私、ずっと欠陥聖女って言われてたんです。それでもいいですか?」
「そんなの関係ないです」
「私、ウォルター様のこと大好きです。
これからの人生ウォルター様に捧げます」
そうウォルター様に伝え私の記憶は途切れた。
だからウォルター様が私にキスをした事はあと数年後に明かされる。
それをファーストキス。と伝えウォルター様に愛されるのを私はまだ知らない。
「よう、貴族様よ。
俺たちと楽しみましょうや」
「……いや、!」
「逃げても無駄だぜ!」
「ウォ、ウォルター様!!!」
私は助けが来る希望を胸にウォルター様の名前を大きな声で叫んだ。
「そんな叫んだって誰も来ねーよ!」
もうダメだと思ったその時、
倉庫の扉が誰かの手によって開かれた。
「カノン!!」
ウォルター様だ。
好きな人の声がして一気に安心してしまい涙が出てきた。
「……カノンに何をした!」
「あ?誰だてめぇ」
「お、おい!あいつこの女の婚約者だ」
「あ?てことは……。隣国の王太子…」
「お、俺たちは頼まれてやっただけだ!」
「そんなもの関係ない。
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そういうウォルター様は今にでも男2人を切り殺しそうな勢いだった。
だけどウォルター様の後ろから着いてきていたらしいアレク殿下に制されて落ち着きを取り戻していた。
アレク殿下はそのまま男2人を城まで連行して行った。
「カノン!」
「ウォルター様……」
「すみません、怖い思いさせて」
抱きしめられ、一気に恐怖で抑えられていた涙が溢れ出てきた。
涙が止まらずそれから数分は泣き続けた。
その間もウォルター様はずっと慰めてくれたし、
「すみません」「大丈夫」と言ってくれた。
「カノン……。こんな時に言うことじゃないかもしれないんだけど、」
「…はい」
「これからのカノンの人生、僕にくれませんか?一生大切に守っていくと誓います」
え、これってプロポーズ?
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「……」
返事をしないとって思ってるけど、嬉しい涙が止まらず返事ができないからウォルター様が少し不安そうにしている。
そんなウォルター様の顔なかなか見れないから泣きながらもその顔を見ていた。
「……ウォルター様」
「はい」
「私、ずっと欠陥聖女って言われてたんです。それでもいいですか?」
「そんなの関係ないです」
「私、ウォルター様のこと大好きです。
これからの人生ウォルター様に捧げます」
そうウォルター様に伝え私の記憶は途切れた。
だからウォルター様が私にキスをした事はあと数年後に明かされる。
それをファーストキス。と伝えウォルター様に愛されるのを私はまだ知らない。
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