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5.レッスン
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フィリック様に舞踏会のパートナーに誘われた次の日シンシアから作法レッスンを行うと伝えられた
前々からシンシアにぽつぽつと言っていた作法
家庭教師を雇ったとは伝えられなかったから屋敷の誰かが教えてくれるのかな?
レッスンの時間になり指定の場所へ行くとハリスがいた
「スティーナ様、ようこそいらっしゃいました。本日より私ハリスがスティーナ様の教師をさせていただきます」
「あ、はい!よろしくお願い致します」
それからハリスによるレッスンが始まった
ハリスは穏やかな見た目とは相反して厳しい先生だった
だが、知識が入ってくるのはとても楽しい
「さて、今日のレッスンは終了です。スティーナ様、最後に舞踏会までにその言葉遣いを治しましょう」
「……言葉遣いですか?」
「はい、スティーナ様の言葉遣いはとても丁寧です。ですが、丁寧すぎる言葉遣いは使用人を感じさせます」
……使用人感
長年の使用人としての扱いによって癖になった言葉遣いは確かに貴族社会では良くないのだろう
「はい、わかりました」
「……まずは使用人への敬語はやめましょう」
「はい」
そうして初日のレッスンは終わった
「シンシア、夕食まで少し休みますね」
「スティーナ様、敬語です」
「あ、夕食まで少し休むわ」
「承知致しました。少しづつ慣れていきましょう」
「うん、なれないですね。……あ、なれないわね」
慣れないことをして疲れたが嫌な疲れではない。どちらかと言えばとても満足な疲労だ
ベットへ少し寝転がっているうちにウトウト寝てしまった
「……ス、スティーナ様」
「……ん」
「スティーナ様!」
「はい!」
シンシアの呼びかけることで体を起こした
いつの間にか寝てしまっていたらしい。
窓を見るともうすっかり日が暮れている
「夕食の時間になっております」
「え、本当?」
「はい、着替えられますか?」
さっきまで寝ていたけれど着ているものはいつもと変わらない服。ただ少し髪が乱れているけれど
「時間が無いし大丈夫です。髪だけ整えてくれる?」
「はい」
いつもより遅くなってしまったがフィリック様は食べずに食堂で待っていてくれた
食事中は今日あったことや舞踏会の詳細、打ち合わせをした
舞踏会は国の貴族、男爵家から公爵家まで全ての家の者が招待されているという。つまりはフィリック様のご両親はもちろんご兄弟とも初の対面になる
それにアルケルト、私の家族も招待されているから顔を合わせることになるだろう。
そのことを考えていると顔に出ていたのかフィリック様に「大丈夫ですか」と心配された
「シンシア、レッスンはハリスの時間が許す限り行ってもらいたいわ」
「……かしこまりました。ハリスさんへお伝えします」
「お願いね」
「……あの、体調を崩してはいけないので無理はしないでくださいね」
「ありがとう」
シンシアはこうして私を心配してくれる。初めは心配されること自体あまり経験のない事だったからどう受け取ったらいいのか迷った
シンシアと話していくうちに本当に心配してくれると分かったと同時に、この屋敷の人達に認められたいと釣り合うようになりたいと思う気持ちが大きくなった
レッスンもそれの一環
それから舞踏会まではほとんどの時間をレッスンに当て、それ以外の時間でも美容や勉強に当てた
その期間でもフィリック様との食事は欠かすことは無かった。今の所フィリック様との交流の時間はそこしかないから……。
何度か図書室へ入る許可の為にフィリック様の予定を聞くことがあったが私とフィリック様はとことん時間の相性が悪かった
フィリック様の所属している騎士団は不規則な生活をしている人が多いらしい
そのぐらい忙しく、重要な仕事だということだ
食事の時間だけでもフィリック様との交流は十分なぐらいできていると思っているのでそこまで気にしたことは無かった
舞踏会前日
「明日は舞踏会当日ですが、準備は滞りなくできていますか?」
「はい、ハリスやシンシアにも手伝ってもらい問題なく終わっています」
「わかりました。明日は仕事はありませんので一緒に入城しましょう」
「はい」
「明日、楽しみにしています」
「はい。あの、ドレスありがとうございます」
「当然です、私が誘っているのですから」
「それでもありがとうございます」
「……今日はゆっくり休んでください。
おやすみ、スティーナ」
前々からシンシアにぽつぽつと言っていた作法
家庭教師を雇ったとは伝えられなかったから屋敷の誰かが教えてくれるのかな?
レッスンの時間になり指定の場所へ行くとハリスがいた
「スティーナ様、ようこそいらっしゃいました。本日より私ハリスがスティーナ様の教師をさせていただきます」
「あ、はい!よろしくお願い致します」
それからハリスによるレッスンが始まった
ハリスは穏やかな見た目とは相反して厳しい先生だった
だが、知識が入ってくるのはとても楽しい
「さて、今日のレッスンは終了です。スティーナ様、最後に舞踏会までにその言葉遣いを治しましょう」
「……言葉遣いですか?」
「はい、スティーナ様の言葉遣いはとても丁寧です。ですが、丁寧すぎる言葉遣いは使用人を感じさせます」
……使用人感
長年の使用人としての扱いによって癖になった言葉遣いは確かに貴族社会では良くないのだろう
「はい、わかりました」
「……まずは使用人への敬語はやめましょう」
「はい」
そうして初日のレッスンは終わった
「シンシア、夕食まで少し休みますね」
「スティーナ様、敬語です」
「あ、夕食まで少し休むわ」
「承知致しました。少しづつ慣れていきましょう」
「うん、なれないですね。……あ、なれないわね」
慣れないことをして疲れたが嫌な疲れではない。どちらかと言えばとても満足な疲労だ
ベットへ少し寝転がっているうちにウトウト寝てしまった
「……ス、スティーナ様」
「……ん」
「スティーナ様!」
「はい!」
シンシアの呼びかけることで体を起こした
いつの間にか寝てしまっていたらしい。
窓を見るともうすっかり日が暮れている
「夕食の時間になっております」
「え、本当?」
「はい、着替えられますか?」
さっきまで寝ていたけれど着ているものはいつもと変わらない服。ただ少し髪が乱れているけれど
「時間が無いし大丈夫です。髪だけ整えてくれる?」
「はい」
いつもより遅くなってしまったがフィリック様は食べずに食堂で待っていてくれた
食事中は今日あったことや舞踏会の詳細、打ち合わせをした
舞踏会は国の貴族、男爵家から公爵家まで全ての家の者が招待されているという。つまりはフィリック様のご両親はもちろんご兄弟とも初の対面になる
それにアルケルト、私の家族も招待されているから顔を合わせることになるだろう。
そのことを考えていると顔に出ていたのかフィリック様に「大丈夫ですか」と心配された
「シンシア、レッスンはハリスの時間が許す限り行ってもらいたいわ」
「……かしこまりました。ハリスさんへお伝えします」
「お願いね」
「……あの、体調を崩してはいけないので無理はしないでくださいね」
「ありがとう」
シンシアはこうして私を心配してくれる。初めは心配されること自体あまり経験のない事だったからどう受け取ったらいいのか迷った
シンシアと話していくうちに本当に心配してくれると分かったと同時に、この屋敷の人達に認められたいと釣り合うようになりたいと思う気持ちが大きくなった
レッスンもそれの一環
それから舞踏会まではほとんどの時間をレッスンに当て、それ以外の時間でも美容や勉強に当てた
その期間でもフィリック様との食事は欠かすことは無かった。今の所フィリック様との交流の時間はそこしかないから……。
何度か図書室へ入る許可の為にフィリック様の予定を聞くことがあったが私とフィリック様はとことん時間の相性が悪かった
フィリック様の所属している騎士団は不規則な生活をしている人が多いらしい
そのぐらい忙しく、重要な仕事だということだ
食事の時間だけでもフィリック様との交流は十分なぐらいできていると思っているのでそこまで気にしたことは無かった
舞踏会前日
「明日は舞踏会当日ですが、準備は滞りなくできていますか?」
「はい、ハリスやシンシアにも手伝ってもらい問題なく終わっています」
「わかりました。明日は仕事はありませんので一緒に入城しましょう」
「はい」
「明日、楽しみにしています」
「はい。あの、ドレスありがとうございます」
「当然です、私が誘っているのですから」
「それでもありがとうございます」
「……今日はゆっくり休んでください。
おやすみ、スティーナ」
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