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第3章 冒険者活動
第3話 試験結果と初任務
しおりを挟む座学と模擬戦、水晶による確認によりテストは決まる。
最も試験自体簡単で、ギルド員同士の争いには、剣は使わない事。抜いた時点で殺し合いを意味し、殺されても文句は言えない。
探索中に、ヘルプするかしないかは、声を掛ける。ただし、明らかに死にそうな場合は、援助可能。
チーム内の報酬は、事前に決めておくこと。
脱退や移籍に文句を言っては、ならない事。
無理な勧誘は、ギルド抹消に値する。
レベルEまでは、上位階級が助ける事。
である。
そして、実技は剣・魔法により教官に認められた者が合格となる。試験方法は、毎回異なる。
ランクアップテストもある。C→B→A→Sである。Sについては、ほぼ誰も知らない。
そして、11歳の誕生日が来て初めて活動開始となる!!
この日は、全員合格して登録まで済ませた。
そして、高級店のVIPにて夕食中である。
「思ったよりも簡単なのね。」
キャンドラの問いに
「一応、身分証明書替わりで発行するから、ほとんどの人が受かるようにしてある。それでもランクを上げるのは大変だぞ!!」
ユウマが釘を差す。
「更に、お祖父様からの伝言を伝える。Dランクになるまで、剣と杖などの武器と魔法を禁ずる。だそうだ!!それでも俺のチームに入るか?」
ユウマの条件に皆、頷く。
「理由は?」
アランが尋ねる。
「如何に今まで己を甘やかしてきたか体感せよ。だそうだ」
無表情のユウマ。
「でも、確かに魔法をポイポイ使えば、あっという間にAランクの冒険者になれるわ!」
ガーラが言う。
「無敵の強さよね…。」
アルミスが髪をかきあげながら同調する。
「そして、もう一つ…。各ダンジョンの完全制覇。」
を目標に加える。ユウマ。
…ただの思いつきではない。Sランクアップに必要だと直感したのである…
「ノルマは、無いの?」
キャンドラが尋ねる。
「出来るだけ早いことにこした事は、無いが命あっての冒険者だ。無理は、しないでいこう」
あくまでも、理想の冒険者を目指すユウマ。
【女神の使徒】等と、とうに忘れてる。
チーム編成は、自然に前衛アラン、遊撃アルミス、中央ユウマ、後備キャンドラとガーラだ。
「質問!初めは、コツコツ薬草集めから始めるの?」
キャンドラが尋ねる。
「いいや。俺ら、討伐系の冒険者だぜ!初めから魔物を討伐する。」
ユウマが自信を持って答える。
「でも、武器も魔法も無しじゃ…」
頭を悩ませるキャンドラに
「素手で倒すんですよ…。」
アルミスが横から口を出す。
「頸骨の折れる音、久しぶりに聞けるな!」
アランが物騒に話す。
「ひぇー。私達が…………」
青ざめるキャンドラ。
お嬢様だからな!と甘やかすユウマでは無い。
「それ位、できて当たり前だ!」
逆に活を入れる。
下を向き、食欲を落としたキャンドラに
「抜けますか?構いませんわよ!」
ガーラが火をつける。
「ヤりますわよ!!」
意地のキャンドラ。
案外、仲がいいみたいだ。
「俺の勘だが、この先俺達は狙われる。同業に盗賊、闇ギルド…。相手が誰であろうと、どんな場所であろうと生きていくには、殺さなくてはならない。それが、素手でもだ。だから、オークまでに慣らしておけと言うお祖父様からの伝言だと思う」
ワインを飲みながらユウマが語る。
オークは、Cランクに当たる。つまり、それまでに人型のコボルト、ゴブリンを倒し対人戦を鍛えとけと言う意味なんだろう。
「まっ!はじめは、プチリスでも構わないが…。」
空中をくるくる回るモッフに聞こえるように言うユウマ。
「酷いでやんす。可愛そうでやんす。助けるでやんす。」
モッフが似たような同族意識で反対する。
「いいえ!初めからコボルト、ゴブリンを倒して私達を襲うことは無理だと思わせたほうが良いですわ」
ガーラが強めに言う。王女として何度か襲撃されているのであろう。何かに裏付けされた言動である。
「わかった。来月、開始から1日1人50匹。コレをクリア出来なければ組んだ意味は無い。」
ユウマは、そう言うと席を立ち、案内人が来る前にドアに向かい騎士と話し込んでいる。そして振り返り手を降ると帰っていった。
暫くして、店長が国王より馬車が手配されてます。各人を送るようにと騎士の方も付いてますので安心してくださいと伝言を伝える。
「僕は、いいや!歩いて帰るよ。女性たちをよろしくね」
そう言いながら席を立ち、店を出ていくアラン。大通りから寮に向けて中道に入り、暫くすると早足で路地裏に入る。
…おい。こっそり見てこい!…大柄な男が手下に命令する。
一人が角を曲がり、姿を消して5分。まだ、戻ってこない。不思議そうに大男がもう一人追加で派遣する。
これも、戻ってこない。やられたか!!
「おい!みんなで行くぞ!!」
10名程の男達が走り角を曲がると二人の男達が倒れていた。
そして、大男の背後から
「ギルドでの仕返しか?本気なら殺す。詫て逃げるなら追わない。如何する?」
低い声のアランが尋ねる。
震えながらも大男は、
「やっちまえ!お前たち!!」
と命令してしまった。
剣を抜き、構える側から…ゴキュリ!バキッ!
ゴリッ!と嫌な音を響かせて倒れていく手下達。
一人残った大男が最後に見たのは、アランの顔と月が映る夜空だった。ガコキュ…。
アランは、月明かりが作る建物の影に入ると消えていった。
翌朝、完全に首の骨が折れた男達が13名発見され、通り魔事件として憲兵隊が動いたが何一つ分からず処理された。
「まっいいけど…まだ1ヶ月速いぜ。」
約朝、ユウマに教室で声をかけられるまで寝ていたアラン。
「長いなぁー。1ヶ月かぁ。」
肯定も否定も無く、ただ1日の長さを考えたのは久しぶりであった。
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