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9章 ユニコーンロリと女神の邂逅
269話 投げっぱの女神さま
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「……?」
今、女神さまはなんて言った?
この空飛ぶヘビさんの親玉――魔王さんを、僕が倒せ?
「?」
なんで?
なんで僕が?
無理に決まってるでしょ?
【おお……】
【ちょうちょだ……】
【魔王の前でもやっぱちょうちょしてる……!】
【草】
【てか女神様、ユズちゃんに1番大変なの投げた!?】
【草】
「………………………………」
「?」
ちょっと考えてみる。
「………………………………」
「……?」
やっぱり納得行かない。
なんで僕?
だって僕、さっきは守られたよね?
【ちょうちょは続くよ】
【かわいいね】
【かわいいね】
【もうだめだ……】
【いや、精神攻撃が効くのなら何とか……】
【草】
【実績あるもんな!】
【ああ、エリーちゃんが真っ青に!】
【そっか、コメントリアルタイムで見てるもんな】
【エリーちゃんかわいそう……】
【草】
【草】
【あの、緊張感……】
【ユズちゃんの配信で長続きすると思うか?】
【そうだった……魔王と女神様の出現で忘れてたけど、これ、ユズワールドだったわ……】
【草】
【ユズワールドがこれほど頼もしいとは】
【ああ……!】
【みんなそろそろ現実に戻ってきて戦闘に参加しろぉ!!】
【各地のダンジョン周辺もまた大変なんだってばぁ!!】
「皆様のコメントによりますとぉ! あの神族――女神様は昨年に魔王を撃退した存在なのですよねぇー!? なのに何でユズ様のことをこんなにもあっさりとぉー!?」
「エリーさん、落ち着こうね」
「そうよエリーちゃん、急いでいるときこそ落ち着くの」
「魔王に至近距離で睨まれて言う台詞ですかそれぇー!?」
「へへっ……ちびるものがなくなってるぜ……」
僕を抱きしめて飛んでくれてるエリーさんが、ヘビさんのこと怖がってるみたい。
お母さんと2人で何とか落ちつけようと試みるけど、やっぱり怖がっちゃってる。
「エリーさん、爬虫類とか苦手ですか? おやびんさんたち平気なんじゃ?」
「ほら、ワイバーンさんたちはかっこいいけどぉ、あのヘビさんは怖いだけだからぁ」
「へへっ……照れるぜ」
「おふたり――3人ともぉ! 危機感を! 今まさに世界と3人の命の危機だと誤認識くださぁぁぁい!!」
【草】
【ユズワールドだ! 逃げろ!】
【エリーちゃん逃げて!! ユズちゃんはおやびんに押しつければいいから!!】
【草】
【ひでぇ】
【エリーちゃん……おいたわしい……】
【さっきから理央様みたいに叫んで……】
【そんなのムリだよ 死んじゃうよ】
【あんなマイク壊す音量で叫び続けたら死んじゃうよ】
【草】
【え、でも理央様、マイクさんたちに何連勝中だよ?】
【だって理央様は名誉魔族だし】
【対マイク特化の魔族か……】
【そうだった……】
【草】
【あの、今大ピンチ】
【だってなぁ……】
【肝心のダブルユズがなぁ……】
【小学生のお子さまには理解できなかったか……】
【かわいそう】
【誰が?】
【え? ユズちゃんに巻き込まれてるみんな】
【特にエリーちゃん】
【あと、ダンジョンの中に必死で突撃したのに、ユズちゃんたち出ちゃったから急いで引き返してるだろう理央様たち】
【草】
【草】
『哀れなり耳長族の魔王よ。 人族で無いという理由で見捨てられたか』
「?」
攻撃モーションをキャンセルしたらしいヘビさんの魔王さんが話しかけてくる。
『こうなるのなら、初めから我に従っておけば良かった。 そうは思わないか?』
「?」
何言ってるんだろこの人。
よく分かんないからお母さんのことを見る。
「?」
「?」
うん、よく分かんないよね。
『此が最後の情けよ。 我に従え。 さすれば……そうだな、この島々に加え、1つ2つの陸地は安堵しよう』
「?」
「?」
んー、何言ってるんだろ……。
【おお……】
【これが……】
【真のユズワールド……!】
【ちょうちょ! ちょうちょ!】
【きゃっきゃ】
【視聴者の脳が……】
【だってちょうちょだもん】
【草】
『……もしや。 此れ等はまだ幼体……我の言も良く理解できて居ない……? ならば初めから力尽くで攫えば良かったのでは……』
「?」
「?」
「ユズ様……お姉様……」
【多分それが正解だと思うよ】
【それはそう】
【RTAするならそれだったね】
【女神様に見つかる前だったからね】
【草】
【ユズちゃん、あんな啖呵切ってたのにね……】
【かっこ良かったのにね……】
【でももうこれだから……】
【ちょうちょに戻っちゃったからねぇ……】
『どうやらあの神族は我の眷属を狩るのに夢中…ならば!』
ぐわっ。
大きなお口が、僕たちに迫ってくる。
『汝らを捕獲し、あれの追跡を振り切る――他の魔王を支配下に置き側近にできるのであれば、この損害も上出来よ!』
僕たちの目の前に、大きくお口。
大きなヘビさん。
近づくと分かる、その大きさ。
「ユズ様……!」
エリーさんが、涙流してこっち見てる。
「ここは従おうぜ? ユズたちを取って食おうってつもりじゃねぇんだ。 な?」
おやびんさんが……顔は見えないけど、多分諦めた顔してる。
「………………………………」
お母さんが、僕を見てる。
はてなは浮かんでるけど――「ゆずの好きなようにして」って。
………………………………。
――ぎゅ。
腕の中の2匹を、強く抱きしめる。
「僕は」
僕の中の魔力を――エリーさんを通じておやびんさんに流し込んだ、あの感覚を思い出す。
あのときはエリーさんが手を取って教えてくれた。
こうすれば上手に出せるんだよって。
さっき出したばかりだからこそ、覚えてる。
体の中の何かもじんじんしてて、覚えてる。
……さっきお母さんとちゅーしてた女神さま。
あの人の周囲を漂ってた、力の渦。
お母さんから――ううん。
ダンジョンっていう空間そのものを吸収してた、女神さまの力。
あれも――すぐそばにいたんだから、もちろん分かる。
見えないはずなのに、分かる。
だから。
「……おまんじゅう、チョコ」
2匹が、光ってる。
「お願い。 ヘビさんを――追い返すよ」
「きゅい」
「ぴ」
2匹が、応えてくれてる。
――だから僕は、僕の中に蓄積されてたっていう魔力を。
ずぅっと溜め込んでたらしいそれを、2匹に注ぎ込んで――
今、女神さまはなんて言った?
この空飛ぶヘビさんの親玉――魔王さんを、僕が倒せ?
「?」
なんで?
なんで僕が?
無理に決まってるでしょ?
【おお……】
【ちょうちょだ……】
【魔王の前でもやっぱちょうちょしてる……!】
【草】
【てか女神様、ユズちゃんに1番大変なの投げた!?】
【草】
「………………………………」
「?」
ちょっと考えてみる。
「………………………………」
「……?」
やっぱり納得行かない。
なんで僕?
だって僕、さっきは守られたよね?
【ちょうちょは続くよ】
【かわいいね】
【かわいいね】
【もうだめだ……】
【いや、精神攻撃が効くのなら何とか……】
【草】
【実績あるもんな!】
【ああ、エリーちゃんが真っ青に!】
【そっか、コメントリアルタイムで見てるもんな】
【エリーちゃんかわいそう……】
【草】
【草】
【あの、緊張感……】
【ユズちゃんの配信で長続きすると思うか?】
【そうだった……魔王と女神様の出現で忘れてたけど、これ、ユズワールドだったわ……】
【草】
【ユズワールドがこれほど頼もしいとは】
【ああ……!】
【みんなそろそろ現実に戻ってきて戦闘に参加しろぉ!!】
【各地のダンジョン周辺もまた大変なんだってばぁ!!】
「皆様のコメントによりますとぉ! あの神族――女神様は昨年に魔王を撃退した存在なのですよねぇー!? なのに何でユズ様のことをこんなにもあっさりとぉー!?」
「エリーさん、落ち着こうね」
「そうよエリーちゃん、急いでいるときこそ落ち着くの」
「魔王に至近距離で睨まれて言う台詞ですかそれぇー!?」
「へへっ……ちびるものがなくなってるぜ……」
僕を抱きしめて飛んでくれてるエリーさんが、ヘビさんのこと怖がってるみたい。
お母さんと2人で何とか落ちつけようと試みるけど、やっぱり怖がっちゃってる。
「エリーさん、爬虫類とか苦手ですか? おやびんさんたち平気なんじゃ?」
「ほら、ワイバーンさんたちはかっこいいけどぉ、あのヘビさんは怖いだけだからぁ」
「へへっ……照れるぜ」
「おふたり――3人ともぉ! 危機感を! 今まさに世界と3人の命の危機だと誤認識くださぁぁぁい!!」
【草】
【ユズワールドだ! 逃げろ!】
【エリーちゃん逃げて!! ユズちゃんはおやびんに押しつければいいから!!】
【草】
【ひでぇ】
【エリーちゃん……おいたわしい……】
【さっきから理央様みたいに叫んで……】
【そんなのムリだよ 死んじゃうよ】
【あんなマイク壊す音量で叫び続けたら死んじゃうよ】
【草】
【え、でも理央様、マイクさんたちに何連勝中だよ?】
【だって理央様は名誉魔族だし】
【対マイク特化の魔族か……】
【そうだった……】
【草】
【あの、今大ピンチ】
【だってなぁ……】
【肝心のダブルユズがなぁ……】
【小学生のお子さまには理解できなかったか……】
【かわいそう】
【誰が?】
【え? ユズちゃんに巻き込まれてるみんな】
【特にエリーちゃん】
【あと、ダンジョンの中に必死で突撃したのに、ユズちゃんたち出ちゃったから急いで引き返してるだろう理央様たち】
【草】
【草】
『哀れなり耳長族の魔王よ。 人族で無いという理由で見捨てられたか』
「?」
攻撃モーションをキャンセルしたらしいヘビさんの魔王さんが話しかけてくる。
『こうなるのなら、初めから我に従っておけば良かった。 そうは思わないか?』
「?」
何言ってるんだろこの人。
よく分かんないからお母さんのことを見る。
「?」
「?」
うん、よく分かんないよね。
『此が最後の情けよ。 我に従え。 さすれば……そうだな、この島々に加え、1つ2つの陸地は安堵しよう』
「?」
「?」
んー、何言ってるんだろ……。
【おお……】
【これが……】
【真のユズワールド……!】
【ちょうちょ! ちょうちょ!】
【きゃっきゃ】
【視聴者の脳が……】
【だってちょうちょだもん】
【草】
『……もしや。 此れ等はまだ幼体……我の言も良く理解できて居ない……? ならば初めから力尽くで攫えば良かったのでは……』
「?」
「?」
「ユズ様……お姉様……」
【多分それが正解だと思うよ】
【それはそう】
【RTAするならそれだったね】
【女神様に見つかる前だったからね】
【草】
【ユズちゃん、あんな啖呵切ってたのにね……】
【かっこ良かったのにね……】
【でももうこれだから……】
【ちょうちょに戻っちゃったからねぇ……】
『どうやらあの神族は我の眷属を狩るのに夢中…ならば!』
ぐわっ。
大きなお口が、僕たちに迫ってくる。
『汝らを捕獲し、あれの追跡を振り切る――他の魔王を支配下に置き側近にできるのであれば、この損害も上出来よ!』
僕たちの目の前に、大きくお口。
大きなヘビさん。
近づくと分かる、その大きさ。
「ユズ様……!」
エリーさんが、涙流してこっち見てる。
「ここは従おうぜ? ユズたちを取って食おうってつもりじゃねぇんだ。 な?」
おやびんさんが……顔は見えないけど、多分諦めた顔してる。
「………………………………」
お母さんが、僕を見てる。
はてなは浮かんでるけど――「ゆずの好きなようにして」って。
………………………………。
――ぎゅ。
腕の中の2匹を、強く抱きしめる。
「僕は」
僕の中の魔力を――エリーさんを通じておやびんさんに流し込んだ、あの感覚を思い出す。
あのときはエリーさんが手を取って教えてくれた。
こうすれば上手に出せるんだよって。
さっき出したばかりだからこそ、覚えてる。
体の中の何かもじんじんしてて、覚えてる。
……さっきお母さんとちゅーしてた女神さま。
あの人の周囲を漂ってた、力の渦。
お母さんから――ううん。
ダンジョンっていう空間そのものを吸収してた、女神さまの力。
あれも――すぐそばにいたんだから、もちろん分かる。
見えないはずなのに、分かる。
だから。
「……おまんじゅう、チョコ」
2匹が、光ってる。
「お願い。 ヘビさんを――追い返すよ」
「きゅい」
「ぴ」
2匹が、応えてくれてる。
――だから僕は、僕の中に蓄積されてたっていう魔力を。
ずぅっと溜め込んでたらしいそれを、2匹に注ぎ込んで――
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