上 下
263 / 278
8章 「ユズワールド」脱出と、新顔2匹/人と

261話 悪い魔王さんを、追い払うって決めた

しおりを挟む
「ゆず」

お母さんが、言う。

「ゆずが守ってくれるから、お母さんもずっと守られ続けてたけど……ゆずのおかげで元気になったんだし、今回は……ね?」

「……うん」

僕の、幼い記憶の中でしか元気じゃなかった、お母さん。

そんなお母さんが、今は――僕の横で、敵を、怒った顔で見ている。

「むす――めに頼り切りで、ずっと、辛かったもの」
「お母さん……」

なんか今、変な噛み方しなかった?

【ユズねぇ……】
【お姉ちゃん……】
【あの……ユズちゃんもユズねぇも、ユズねぇのことお母さんって認識してるんだけど……】

【うんうん、知ってる知ってる】
【お母さん代わりのお姉さんだもん】
【そうだよ】

【年齢のことは?】
【ユズワールドが時空を歪めたってことで】
【草】
【実際あり得るからなぁ……】

【ユズちゃんとユズねぇのぶっ飛び具合からして、それくらいありそうだもんねぇ……】

【ちょうちょだもんね……】
【ちょうちょだからね……】
【草】
【わーかわいいちょうちょだー】
【おお……もう……】
【雰囲気! 雰囲気ぶちこわし!!】

「それに、お母さんね? ゆずは知らないだろうけど」

お母さんが、年甲斐もなく屈伸とかストレッチを始めている。

「学生時代、お父さんを捕まえるまではね? 部活動でぶいぶい言わせてたんだから」

【    】
【    】
【    】
【    】

【視聴者達が】
【あーあー聞こえない聞こえない】
【あああああああああああああああ】
【草】
【だってユニコーンの末裔だよ?】
【もう夢も希望もない……】

【え、でも、ユニコーン、ユズねぇにも懐いてるぞ? 普通に】

【!?】
【もしかして:ユズパパ(仮)、妄想の存在】
【確かに……!】
【ユニコーンが懐くんだから間違いないな!】
【良かった……良かった……】

【危うく辞世の句を詠んで腹切るところだったわ】
【ひぇっ】
【ユニコーンの同類って危険なんだな……】
【だってセミファイナルするユニコーンのだもん】
【草】
【ああ、あの振動具合は末裔と同じなのか……】

「だから……ちょっとは任せて!」

「……うん」

お母さんまで、こんな危険な戦いに。

【柚希先輩の理央♥「柚希先輩は守られ系なんですから守られててください! 私たちに! いえ、私に!!」】

【理央様たち!】
【コメントできるようになったか】
【理央様! おしがまはおしまいですか!】

【あと名前欄がバカみたいです理央様!】
【嘘はいけません理央様!】
【そんなことしてるからいつまでも不憫なんです理央様!】
【草】

【あや「柚希さん。 見ているかどうかは分かりませんが……私たち、パーティーでしょう? 4姉妹パーティーでしょう? パーティーメンバーのこと、見捨てる訳がないでしょう? 地上からでも、応援しますよ」】

【あやちゃん……】
【お姉ちゃん……】
【ままぁ……】

【ひなた「この状況で『ゆずきちゃんのせいで』って言う人はいなくなったから心配しないでね  このあともそんな人はいなくなるからこわがらないでね 終わったらゆずきちゃんが困ることは消えてなくなるからね」】

【ひぇっ】
【あの……ひなたちゃんが……】
【もしかして:日向家、動いた】
【見るな  見るな】
【ユ、ユズちゃんのためだから……】
【そうそう、愛は重いくらいでちょうど良いって言うから……】

【月岡優「柚希さん。 そのエリア全域の民間人の避難は完了。 僕たちダンジョン潜りも、軍関係者も展開を急いでいる。 今、再突入している。 また、避難区域が拡大中だから、仮に地上にあふれ出してもしばらくは大丈夫」】

【月岡優「ダンジョン協会も、元々魔王軍襲来への対応で臨戦態勢のままだから、あと1、2時間で全国から人員を輸送できると言っている。 君たちは、君たちだけじゃないんだ。 無茶は、しないでくれ」】

【月岡……】
【きゅんっ】
【これはイケメン】
【月岡になら抱かれても良いわ】
【それな】

「――と。 抜粋ですが、ユズ様。 外で見守っていらっしゃる人間様方も……ワタシたちと同じ気持ちのようですよ?」

「……みんな……」

理央ちゃんとひなたちゃんのコメントがちょっとおかしかったけど、心があったかくなる言葉。

――もう1度、見回す。

今にも食ってかかってきそうなヘビさんたち。

その数は、今でも増え続けている。
無限に広がる空間のはずなのに、ぎっちりとしている。

それに向かうは……やってやるって顔してるワイバーンさんたちに、サキュバスさんたち。

「「わおにゃあん!!」」

ぐるぐる唸っている、お母さんのペット――テイムモンスターたち。

そして、地上には――みんなが、居るんだ。

「ユズ様。 ご命令を。 ワタシたちを、お使いください」

「いざとなったらユズたちだけは俺様たちが逃すからよ」

「――――……………………」

……ごしっ。

ゴミが入っちゃってたから、目をこする。

「きゅい」
「ぴ」

ぴょんと飛び込んできた、2匹と目が合う。

「……うん、みんな、ありがとう」

僕は――――――――見上げる。

「ヘビさん」

『残念だ。 汝らを無傷で捕獲したかったのだがな。 仕方が無い、我が眷属に相手をさせよう――修復可能な程度まで、痛めつければ言うことを聞くようになるだろう?』

「僕は、あなたの」

うっかり壊しちゃった、ここと似た空間で感じていた、高揚感。

魔力。

それを、体で感じる。

「そういうところが許せませんから」

きぃぃぃん。

おまんじゅうの角が、光り始める。

「――みんなで、追い払います」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

【R18 】必ずイカせる! 異世界性活

飼猫タマ
ファンタジー
ネットサーフィン中に新しいオンラインゲームを見つけた俺ゴトウ・サイトが、ゲーム設定の途中寝落すると、目が覚めたら廃墟の中の魔方陣の中心に寝ていた。 偶然、奴隷商人が襲われている所に居合わせ、助けた奴隷の元漆黒の森の姫であるダークエルフの幼女ガブリエルと、その近衛騎士だった猫耳族のブリトニーを、助ける代わりに俺の性奴隷なる契約をする。 ダークエルフの美幼女と、エロい猫耳少女とSEXしたり、魔王を倒したり、ダンジョンを攻略したりするエロエロファンタジー。

超人気美少女ダンジョン配信者を救ってバズった呪詛師、うっかり呪術を披露しすぎたところ、どうやら最凶すぎると話題に

菊池 快晴
ファンタジー
「誰も見てくれない……」 黒羽黒斗は、呪術の力でダンジョン配信者をしていたが、地味すぎるせいで視聴者が伸びなかった。 自らをブラックと名乗り、中二病キャラクターで必死に頑張るも空回り。 そんなある日、ダンジョンの最下層で超人気配信者、君内風華を呪術で偶然にも助ける。 その素早すぎる動き、ボスすらも即死させる呪術が最凶すぎると話題になり、黒斗ことブラックの信者が増えていく。 だが当の本人は真面目すぎるので「人気配信者ってすごいなあ」と勘違い。 これは、主人公ブラックが正体を隠しながらも最凶呪術で無双しまくる物語である。

幼女になった響ちゃんは男の子に戻りたい!【TS百合】:1 ~「魔法さん」にTSさせられた僕がニートを貫いた1年間~

あずももも
大衆娯楽
僕はある朝に銀髪幼女になった。TSして女の子になった。困ったけども身寄りもないし「独身男性の家に銀髪幼女がいる」って知られたら通報される。怖い。だから僕はこれまで通りに自堕落なニートを満喫するって決めた。時間だけはあるから女の子になった体を観察してみたり恥ずかしがってみたり、普段は男の格好をしてみたりときどき無理やり女の子の格好をさせられたり。肉体的には年上になったJCたちや「魔法さん」から追われてなんとか逃げ切りたかった。でも結局男には戻れなさそうだし、なにより世界は変わったらしい。――だから僕は幼女になってようやく、ひとりこもってのニートを止めるって決めたんだ。 ◆響ちゃんは同じことをぐるぐる考えるめんどくさい子です。癖が強い子です。適度に読み飛ばしてください。本編は2話~50話(の1/2まで)、全部で111万文字あります。長いです。それ以外はお好みで雰囲気をお楽しみください。 ◆3部作のうちの1部目。幼女な女の子になったTS初期の嬉し恥ずかしと年下(肉体的には年上)のヒロインたちを落とすまでと、ニートから脱ニート(働くとは言っていない)までの1年間を描きます。1部のお家を出るまでの物語としては完結。2部では響ちゃんの知らなかった色々を別の視点から追い直し、3部でTSの原因その他色々を終えて……幼女のままハーレムを築いてのTS百合なハッピーエンドを迎えます。特に生えたり大きくなったりしません。徹頭徹尾幼女です。 ◆小説として書いた作品を2019年にやる夫スレでAA付きで投稿&同年に小説として「幼女にTSしたけどニートだし……どうしよう」のタイトルで投稿して完結→22年12月~23年8月にかけてなるべく元の形を維持しつつ大幅に改稿→23年7月から漫画化。他小説サイト様へも投稿しています。 ◆各話のブクマや★評価が励みです。ご感想はツイッターにくださると気が付けます。 ◆セルフコミカライズ中。ツイッター&ニコニコで1Pずつ週2更新です。

超激レア種族『サキュバス』を引いた俺、その瞬間を配信してしまった結果大バズして泣いた〜世界で唯一のTS種族〜

ネリムZ
ファンタジー
 小さい頃から憧れだった探索者、そしてその探索を動画にする配信者。  憧れは目標であり夢である。  高校の入学式、矢嶋霧矢は探索者として配信者として華々しいスタートを切った。  ダンジョンへと入ると種族ガチャが始まる。  自分の戦闘スタイルにあった種族、それを期待しながら足を踏み入れた。  その姿は生配信で全世界に配信されている。  憧れの領域へと一歩踏み出したのだ。  全ては計画通り、目標通りだと思っていた。  しかし、誰もが想定してなかった形で配信者として成功するのである。

底辺ダンチューバーさん、お嬢様系アイドル配信者を助けたら大バズりしてしまう ~人類未踏の最難関ダンジョンも楽々攻略しちゃいます〜

サイダーボウイ
ファンタジー
日常にダンジョンが溶け込んで15年。 冥層を目指すガチ勢は消え去り、浅層階を周回しながらスパチャで小銭を稼ぐダンチューバーがトレンドとなった現在。 ひとりの新人配信者が注目されつつあった。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

処理中です...