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8章 「ユズワールド」脱出と、新顔2匹/人と

235話 僕たちはワイバーンライダー

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「………………………………」

みんなの顔を見て回ったエリーさんは、もういちど、僕を見てきて。

『――――――――……』

……あ。

あったかい気持ちが流れてきた。

そっか。

テイム、してるんだもんね。

「……承知、致しました……」

彼女の声は、ちょっとだけ震えている。

「……全身全霊。 我らが種族の全てを」

ぎゅっ。

彼女は、彼女の命を抱えながら、うつむく。

「――ユズ様たちを――誰1人欠けさせることなく、お守り……しますっ」

次に顔を上げた彼女。

【痴女が】
【エリーちゃんが】
【泣いてる……】
【魔族とはいえ、コアを渡すほどだもんなぁ】

【理由はさておき、ユズちゃんに協力的なんだ  ユズちゃんがこういってるんだし、ちょっと信じようかな】

【ここまでが演技なら、もう見破るなんてムリだもんな】
【そのへんはお偉いさんに任せりゃいいもん】
【良いじゃない、庶民だもの  その場の雰囲気で応援したってさ】

……うん。

エリーさんは痴女さんだけど、悪い人じゃない。

この人となら……そう、おやびんさんたちとみたいに、一緒に戦えるはずだもんね。





「あああああ待ってください待ってくださいユズ様待ってくださいぃぃぃー!?」

「わー、すごーい!」
「へへっ……照れるぜ」

「そ、速度! ユズ様ぁ!? もっと緩め……ひゃあああああ!?」

「え? ごめん、エリーさん、聞こえないよー?」
「へへっ……照れるぜ」

【草】
【この落差よ】
【声で草】
【エリーちゃん、早速かわいそう……】
【ユズちゃんに関わっちゃったからね……】
【ああ、既にユズワールドに……】
【新鮮な犠牲者だ! 囲め!】
【草】

【ついでで完全にbotになったおやびん】
【ユズちゃんが何言ってもbotしてて草】
【おやびんもまたかわいいいきものだからね】
【草】
【ユズちゃんと相性ぴったりだもんな!】
【ああ、だからユズちゃんと酒盛りしだけでテイムされたのね……】

【言われるとすごいよな……酒の席でテイムするって】
【「なんか良い感じじゃない?」「バンドやっちゃう?」「やろっか」的なノリで草】
【軽ぅい……】
【そうか、テイムとは……】
【やっぱもうテイマー廃業しよっと……】
【草】

僕たちは、飛んでいる。

「みんなぁー、落とさないように気をつけてねぇー」

「「「うっす!!! 姐さん!!!」」」

お母さんも、飛んでいる。

後ろを――僕みたいに、サキュバスさんに抱っこされて支えられて、大きな背中に乗っかって。

「怖い怖い怖い怖い!!! ひぃぃぃぃぃー!?」

みんなも、飛んでいる。

「……確かに怖いですけど……理央さん、もしかして高所……」
「ダメなんですぅぅぅぅ……!」

理央ちゃんも元気だね。
風で聞こえないけども。

「じゃあどうして乗ったんですか……下で戦えば良かったでしょう……」
「だって柚希先輩がNTRれちゃうんですもん!!」
「ですから何ですかそれ……」

【草】
【理央様……】
【高所恐怖症がワイバーンに乗るなよ草】
【ぽんこつ理央様……】
【ユズちゃん以外にはぽんこつなのが良いんだよ】
【分かる】

【え? ユズちゃんに対してもぽんこつだけど?】
【それが良いんだよ?】
【だよな!!】
【草】

【理央様……中学までいろんなスポーツで、助っ人として出るレベルの成績残してるのに……】

【やはりユズワールド……ユズワールドが全てを崩壊させる……】
【ああ、理央様……】
【理央様も被害者なんだよ】

空中戦。

――あれから泣き止んだエリーさんによると、どうやら痴女族……じゃない、サキュバスさんたちには、触れている味方をバフ、強化する能力があるらしい。

だから、みんなでドラゴンさん――じゃないんだっけ、ワイバーンって言うんだっけ――に、人間とサキュバスさん、あるいは男のサキュバスさん?と乗って。

ブレスを得意とするワイバーンさんを強化して空からの攻撃を強めたら、この状況を打開できそうだって。

この空間の敵はみんな飛んでいるんだ。
だから、これでようやく同じ土俵ってこと――らしい。

で、クラスの人とか大学に行った人とか中学小学校のみんなが連れて来られてるけども……彼らは地上で待機、空で落とした敵が落ちてきたら寄ってたかって倒すっていう戦法だ。

こうすればワイバーンさんたちは、敵を倒すまで攻撃する必要もなくって、ブレスで弱らせて敵を落下させるのに集中できて。

飛べないみんなとかお母さんのテイムしたでっかいのたちも、地上で力を発揮できるんだって。

そういう話になったから、僕はもちろん直接テイムしてるおやびんさんの背中に、エリーさんと乗って。

理央ちゃんたちも、お母さんがテイムしてるワイバーンさんたちに――こっちはなぜか僕がテイムしたことになってるらしいサキュバスさんたちと。

「えっと、理央さんのパートナーさんたち? なるべく上下の移動を減らしてあげてくださいね?」

「畏まりました」
「押忍!」

「わーん! 私の後ろの人、おっぱいおっきくて悔しーい!!! 私にもこれくらいほしかったー!!」
「理央さん……」

さっきからさらにうるさくなってる理央ちゃんは普段通りだし、あやさんは普通に乗りこなせてるね。

かなり速度出てて風の音がすごくて、何言ってるかさっぱりだけど……どうせ理央ちゃんだ、特に意味のあることは言ってないだろう。

【理央様はもうダメだよ】
【草】
【確かにでかい】
【あやちゃんよりも……】
【こぼれそう】
【紐だもんな】

【あやちゃんがこういう格好してくれたら……ふぅ……】
【あやちゃんは清楚系美人さんだぞ、汚れ役は理央様だけで充分なんだ】
【草】
【草】
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