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5章 戦いの前の休息

142話 楽しいパジャマパーティー配信

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「……そうですねぇ。 私、最初はダンジョンなんか潜る気がなかったんです……怖いですし。 ですから、親の勧めでとりあえず講習を受けただけで……なので、今でもまだ信じられないような感じなんです」

【あやちゃん……】
【だろうなぁ】
【大学生になってからとか遅咲き過ぎだもんなぁ】
【その分、伸びしろはでかいはずだから】
【そうそう、魔法職なら何十年できるらしいし】

【まぁそれもまだ予測の話だけどな】
【ダンジョンとかレベルが現れてまだ11年だからねぇ……】
【あの惨劇が、もう11年前なのか……】

最初の30分くらいはみんな、ばーってしゃべってて。

こうやって、ただお話しする配信ってのは今までなかったし、特に光宮さんとひなたさんは話し好きだし。

でもみんなでおやつとか食べながらだらだらしゃべってたら、ちょっとずつ気持ちは落ち着いてきたらしい。

まぁね、ご飯を食べてお風呂入っちゃったし、もう夜だし。

みんなでお泊まりとかすると朝まで遊ぼうってなるけども、意外とすぐに眠くなっちゃうんだよね。

『――――――――――――』

「………………………………」

「きゅ」
「ぴ」

……それにしても。

僕は、何度目かに目線を上げる。

ひなたさんの部屋――お家か、借りてるマンションの。

引っ越してきたばっかりだからか、ベッドとか机とか……今みんなで座ってるカーペットとか、必要最低限しかなくって、まだひなたさんって感じはしない部屋。

……何かが聞こえる気がするんだけど……壁、薄いのかなぁ。

【草】
【ちょうちょ】
【まーたユズちゃんがちょうちょしてる】
【ユズちゃんだからね】

【種族的な特性ならしょうがない】
【さっきからちらちらぽやぽやしてる】
【ユズちゃんだからね】
【ユズちゃんだからな】

【割とガチで固有能力の代償かもって説も出てきたし、そっとしといたげて……】
【天然ちゃんでうまく行ってるとこをヘタに直しちゃうとテイマーの能力落ちるかもだし……】
【実害ありすぎそうで草】

【原因不明であんなレベルだったんだもんなぁ】
【なんか怖……くないな、ユズちゃんだし】
【ああうん、ユズちゃんならどんなことになっても愛でられるな!】
【草】

【ユズちゃんを見守り隊】
【理央様もね】
【優しく見守ってあげるんだよ】
【天然だからね、そのまますくすく育ててあげて】

「あはは……でも、ちょっと前まではここまでじゃなかった気もするんですけどねぇ、先輩って……」

「あ、そうだ! りおちゃんってゆずきちゃんとずっと一緒なんだよね! なんかおもしろい話ある?」
「幼馴染みさんたちのエピソード……聞きたいです」

【聞きたい】
【聞きたい】
【ユズちゃんの許可は?】
【ちょうちょしてるから……】
【草】

【まー、たまにワードで反応して我に返って会話に参加してるし、困る話なら止めに来るだろ】
【完全の天然でもないからなぁ】
【戻って来たら普通に会話してるし……】

【じゃあなんなんだよこれ……】
【このちょうちょっぷり……】
【え? ユズちゃん】
【草】
【「ユズちゃん」……絶妙に情報を豊かに含んだ概念だ……】

「柚希先輩? 良いですか?」
「え? あ、うん」

「分かってなくってそういうの、良くないクセですよ?」
「え……あー、ごめんごめん」

ぼーっとしてたら、いつの間にかみんながこっち見てきてる。

……僕の悪いクセだなぁ……学校の授業とか勉強とか、本読んでるときとか映画観てるときとかはちゃんと集中できるのになぁ……。





「ちっちゃいころのゆずきちゃん、かわいー!」
「今の柚希さんを、さらに小さく……あ、ごめんなさい」

「大丈夫です、柚希先輩、今はモフるので忙しいので」

【草】
【さすが理央様、よく理解なされている】
【さす理央】
【理央様……】
【もう会話に興味失ってる……】
【ユズちゃんだからね!】

【確かにさっきからひたすらモフってるな】
【おまんじゅうちゃんもチョコちゃんも嬉しそうで何より】
【なんだかんだご主人様が1番なのか】
【ユズちゃんがご主人様だって!?】
【世界一向いてない気がするな……】
【草】
【姫だよな!】
【柚希姫……】

そういえば、ひなたさんのお風呂に入ったけども、そこに置かれてたシャンプーとコンディショナー、ボディソープは、ひなたさんの匂いだった。

当然と言えば当然なんだけども、なんだかフシギな感覚。

だって、ここに居るみんなからひなたさんの匂いがするんだよ?

「すんっ……すんすん……」

【かわいい】
【かわいい】
【ガチでかわいくて草】
【おめめつぶってあっちこっちすんすんしてる】

【犬とか猫かな?】
【なにこのかわいいいきもの】
【ユズちゃんっていうの  大事に観察してあげてね】
【草】

「……ゆーずちゃん♪」
「んっ……あれ、ひなたさん」

「ちゃん!」
「ごめんごめん、ひなたちゃん」

なんだか匂いが強くなったなって思ったら、目の前にひなたさん……じゃない、ひなたちゃんだね。

ひなたちゃんが居て、ぐいっと僕の横に座ってくる。

【ガタタッ】
【キマシ?】
【キマシ】
【ここで先行するはロリコンビのひなたちゃん】
【ロリロリしい……】

「ゆずちゃんって、生き物とか好き?」
「うん。 今まで何匹か犬とか猫とかお世話したことあるよ。 もらわれていくまでの一時期だけどね、みんな」

「うちのとこ、地域猫も結構居ますからねぇ」
「羨ましいです……私の住んでいる場所では、猫さんなんてなかなか……」

今までは……お母さんの病気に僕のバイト、そもそもとして食事代とかも切り詰めてる状態だったから、ペット、ちゃんとは飼ったことなかったんだ。

……だから、なのかな。

だから、おまんじゅうとチョコが……余計にかわいくって。

「君たちはずっと、僕の大切な仲間だからねー」

「きゅきゅきゅきゅっ」
「ぴぴぴ!」

「あはは、分かるの? あんっ……重いよぉ」

【!?】
【●REC】
【ユニコーン、よくやった!】
【思わずでユズちゃんに飛びついたユニコーンの体重で、ユズちゃんが押し倒されたぞ……!】

【しかも今の声】
【素で出してるのがまた……】
【ああ……】
【それにさ  仰向けだから、胸の膨らみが……】
【ああ……!】
【ちょっとは、あるんだよな……!】
【ブラでも良い  膨らんでる事実が、あれば良いんだ……】

おまんじゅうたちがすりすりしてくれるけども、ちょっと息苦しいから持ち上げてひと呼吸。

「………………………………」

……してたら、横には胸を揉んでる?ひなたちゃんが。

【ほう……】
【なるほど……】
【同世代の女子同士の胸の悩み……】
【いい……】
【なんとも言えない顔でもみもみしてるのが……】
【自然体なのがまた、ぐっとくるな……】
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