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4章 初心者ダンジョン卒業、中級者ダンジョンへ

129話 今回の報酬は、いっせん……

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「……はぁ。 びっくりしましたねぇ……」
「うん、なんだかまだ実感がないよ」

「ひなたもー」
「私もです……」

【俺も……】
【俺もだよ……】
【僕も……】
【私も……】
【草】

【まるで実感ないよなぁ】
【ああ……】
【何がって、まーだ配信が続いてるってことがな……】
【ああ……】

【まさかと思ったが、普通に継続されてるな……】
【配信、1回減った視聴者の倍以上増えちゃったもんねぇ……】
【さらにひどいことになってるもんねぇ……】
【草】

【もしかして:ユズちゃん】

【それでしかない】
【もうそれでいいや】
【ユズちゃん……】
【ユズちゃんだもん、もうどうしようもないよ】
【どうにでもなーれ☆】

【えーっと、国家機密暴露配信まだまだ続くの??】
【字面だけでやべーって分かる配信】
【そんじょそこらの炎上系暴露配信とは規模が違うぜ!】
【大丈夫、やろうとしても普通はここまでできないから】
【事の重大さを分かっているほどにできないもんな!】
【無意識のリミッターなんて存在しないもんな!】
【そのようだな……】

【あー、理央様のお友達も、理央様のスマホの電源切れてるとかで連絡取れないってさ】
【マジか】
【もうだめだ……】
【唯一の希望だったのに……】

【あの激闘だったからなぁ、壊れてるかもな】
【生え替わりに巻き込まれてからずっと、電話とかコメント欄追っかけてたから電池使っただろうしなぁ】

【もしもしダンジョン協会さん???】
【どうやらそれどころじゃないらしい】
【まー、魔王軍の襲来だしな】
【さすがにユズちゃん1人の国家機密<<人類存亡の危機だわな】
【いつ気づいてくれることやら】

「お疲れでしょうから、書類などは後ほど。 まずはゲート前から出ないで休んでいてください」って言われた僕たちは、とぼとぼと廊下に出て、気が付けばさっきの休憩室にUターン。

さっきまではあんなにたくさん居た人たちも、もうお仕事が終わったのか誰も居なくって静かで。

「きゅいー……」
「ぴ」

「大丈夫だからねー、落ち込んでないよー」

【かわいい】
【かわいい】
【モンスターたちを気遣ってるユズちゃんマジ天使】
【気をつけろ、妖精と呼べ】
【天使とか女神は実在するって知ってるからな……】
【ユズちゃんはそれ以上にならないで……】
【人間のままで居て……】

【え、でも妖精なんじゃないの? この子】
【精霊なんじゃね?】
【座敷わらしとかそういう系統よね】
【草】

【お前らひどくない??】
【だってユズちゃんだよ?】
【ごめん、反論できない】
【草】

ぱたんと閉じたドア。

「あうー……」

ぽふんっと脱力しながらベッドにダイブしてるひなたさん。

【かわいい】
【ロリダイブ】
【跳ねるツインテが素敵】
【こういうとこは年相応だね】
【だって小学生だもん】

「……疲れ、ましたね……」

ぎしっとベッドに腰を下ろしているあやさん。

【●REC】
【おい、あやちゃんにセクハラは厳禁だぞ】
【でもさ、こんなお姉さんがベッドに腰掛けてるんだぞ?】
【わくわくするな!】
【草】

「……まさか、柚希先輩があんなことになってるだなんて……」

そして、僕からおまんじゅうを抱き上げてモフってる光宮さん。

【理央様!】
【理央様でさえ、おまんじゅうをモフらないと立ち直れないか……】
【ユズちゃんがあんなことになってるとはなぁ】
【それに多分、落ち着いてきたからこそ魔族のこととか、俺たちみたいに実感として感じてるんだと思う】
【あー】

「……みんな、ごめんね」

「! いいえ、柚希先輩は何も悪くないです!」
「そうだよゆずきちゃん!」
「そうです!」

思わずで口から出ちゃった「ごめんね」に、がばっと反応するみんな。

【優しい世界】
【そのままの君たちで居て】
【でもユズちゃんだけは、もうちょっとがんばろうね】
【そうそう、もうちょっとちょうちょは……ね?】
【草】

【だからちょうちょはユズちゃんのレベルとか特性のせいかもって話だろ!!】

【だって、さっきの説明でもきょろきょろしてたし……】
【特に戦闘してるわけでもなく、結構どころかめっちゃ大切な説明されてるのにな……】
【あ、それは擁護できないわ】
【草】
【マジメなときは普通なのに、どうしてこの子は……】
【ユズちゃんだからね】

「あ、ううん。 心配かけちゃって、あと、びっくりとかさせちゃってって意味。 僕はもう平気だから……」

慌ててみんなをなだめて、どうにか座らせて。

「でも……これから大変、ですね」
「教官のお姉さん、学校とか当分休校って……」

「ですねぇ。 これじゃ柚希先輩の……あ、そうです!」

がばっと顔を上げた彼女が、リストバンドを操作し始める。

「さっき教官さん、『量が量なので、レアなアイテム以外は全て換金しておきました』って!」

「あ、そうだった」

なんでも今は、僕たちが戦ってた空間の調査とかで忙しいらしい。

だから一括で……ってことらしく、特に異論もなかったからそれでOKって言ったんだ。

「で、とりあえずで4等分だよね?」
「ええ、後は私たちで……と」

【気が利くな、あのお姉さん】
【まぁ忙しいのは事実だろうし】
【しかしこの場合……配分はどうなるんだ?】

ぴっ、ぴっとリストバンドを僕も触ってみる。

「………………………………」

……すごい量のモンスターたちだった。

だから、これまでよりもおっきい金額が――。

「――――――へぇぇぇ?」

【草】
【ひなたちゃん!?】
【なんちゅー声出すのひなたちゃん!】
【かわいすぎて草】

変な声がひなたさんから放たれる。

……ひなたさんがびっくりするだなんて、一体どれだけの――――――。

「……うへぇ」

【かわいい】
【かわいい】
【ひなたちゃんとだいたい同じ反応ね】
【ロリっ子同士だからな!】

【気の抜けたびっくりさ加減なユズちゃん】
【多分実感がないだけだと思うよ】
【ああ……】
【ユズちゃんの角度的にリストバンドの画面が見えるが、確かになぁ……】

「……え、えっとぉ……」

「いちじゅう……そ、そのぉ……」

画面には「モンスター457体討伐&上位種の撃退」って書いてあって。

その「総額」――パーティーに配られた金額が。

「……い、いっせん……」
「ひぇぇ……」

【すげぇ……】
【ま、まあ、あんだけ倒したらなぁ……】
【上位種、ってことは魔族を倒した功績も……】
【特にドロップとは落としてなかった気がするが】
【ダンジョン協会が、ああいうの来るって想定してたんだろ……しかしそれにしても】

「………………………………」

「……柚希先輩? ちょ、ゆずきせんぱぁい!?」

【草】
【ユズちゃんが意識を失っている】
【そらそうよ……】
【今回ばかりはさすがになぁ】

【中の上以上の中級者パーティーなら、それなりに潜ればこれくらいは目にはする……けど】
【レベルはともかく、初心者パーティーでダンジョン潜り数回目のユズちゃんだもん、その衝撃はいかほどか】

「きゅひぃぃぃぃ……!」
「ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ」

【ユニコーンとシルバースライムが喜ぶびっくりさ加減だな!】
【草】
【コイツら本当に……】
【ユニコーンはもう諦めてたけど、シルバースライムもとは……】
【ま、まあ、ユズちゃんにくっついてきたモンスターたちだからこんなもんでしょ……】
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