上 下
76 / 298
3章 珍しいスライムさんをゲット

76話 また会った、教官のお姉さん

しおりを挟む
「……最後に、テイムしていたシルバースライムが。 それで間違いはなさそうでしょうか、星野さん」

「え……えっと……眠くって覚えてませんけど、多分……?」

僕の頭がすっきりして、それからみんなにいろいろ教えられて。

僕が寝ちゃった後、怒り状態になったボスモンスターが僕にターゲット変えて突撃して来て。

ひなたさんが間に合わなさそうで、大変になって。

「……しかし、リストバンドが作動しないなんて……」

「1年前にありました……リストバンドが壊れて危険な目に遭った方が居た、あの事故からすべてのリストバンドを改修したので、事故という事故は起きていなかったのですがねぇ……」

そこになぜか板みたいなのが出現して、イノシシさんは衝突のエネルギーそのまま1人で受けて、勝手に討伐されて。

「命の保証をする緊急脱出装置が。 ダンジョン事業の根幹を揺るがす一大事です。 ……回収したこれらを分析して、調査を……」

「原因究明のためにこのダンジョンを閉鎖するのは仕方がないにしても、リストバンドシステムそのものの不調だった場合……また、全国全てのダンジョンを閉鎖しなければ……」

……って思ったらそれは、僕がテイムしてたシルバースライムのおかげで。

「……はぁ……今月は缶詰か……」
「1年ぶりの悪夢か……」
「まぁ、あれよりはマシだろう……」
「どうか全部回収しての改修とか言うデスマはやめて……」

けど僕、いつの間にテイムしてたんだろ?

「……星野さんと向日さんに治癒魔法は掛けましたし、配信も戦闘場面だけ観させていただきましたが、おふたりとも、特に激しい攻撃を受けていないようですし」

「はい! 大丈夫です!」
「あ、僕も大丈夫です。 痛いところとかは特に」

「色も元に戻ってるから大丈夫だよね」って、みんなで飛び込んだ転移陣の先にはたくさんの職員さんたちが居て。

おじさんたちに囲まれて、救護班さんたちから治癒魔法を何回もかけられて。

シルバースライムさんはずっとみんなから武器向けられてたけども、おとなしくしてくれてて……何かの機械で、僕のテイムって分かったらしくって。

「……はぁっ……よ、良かった……」

「……? あのときの教官さん?」

かっかっかっかってハイヒールで駆け込んで来たのは、初心者講習のときの人。

ハイヒールなのに、すっごく安定した走り方だなー。

「ふぅっ……たまたま、この隣のダンジョンの事務をしてまして……それで、SNSに上がっていましたあなたたちのことを……」

「あ、あのときのお姉さん!」
「先日はお世話になりました」

「……いえ。 ご無事そうで、何よりです……あ、私はこういう者でして。 彼女たちのことは私に……」

彼女は名刺か何かを他のおじさんたちに見せて……救護班さんたちごと部屋から外へ出させる。

「……はー……ちょっと大変な事態だったとは言え、女の子だけのあなたたちを取り囲むようにして……ごめんなさいね、気が利かなくて。 周りを男性ばかりで怖かったでしょう」

「いえ、特には」

そもそも僕、男だし。

おばさんよりはおじさんの方が……あんまり話しかけてこなくって撫でてこないって意味では楽だもん。

おばちゃんパワーはすごいんだ。

気を抜くとすぐに、子供さんとか親戚さんの女の子の写真見せてきて会わせようとしてくるし……。

ぱたんと閉められるドア。

……スライムさんに銃口向けてた人たちも含めて20人くらい居たのが、あのときのお姉さんだけになってちょっと安心。

「ふぅ……」
「きゅい?」

「あ、今起きたんだおまんじゅう。 おはよ」
「きゅいっ!」

僕よりもねぼすけだったおまんじゅうは、今さら起きて……つい今までずいぶん騒がしかったのに、よく寝てられるよね。

モンスターのくせに案外図太いんだ。

あ、そういえば配信はおしまいにしたらしい。

僕たちは無事だったし、そもそも今日は普通のボス倒したらおしまいの予定だったしってことで。

……けど、カメラとスマホまで取り上げられたのはちょっと納得いかない。

僕が間違って配信しちゃう?
そんなの最初だけじゃん。

ちょっと間違って2回くらい配信しちゃってただけじゃん。
それくらい、誰だって間違えることあるよね?

レジの打ち間違えとか名前の予備間違えとか、ほんのささいなことだもんね。

「……改めて、星野さんもお元気そうで何よりです。 向日さんと夢月さんも」

「ひなたたちの名前、覚えてくれてたの!? じゃない、ですか!!」
「こういうのって嬉しいよねぇ」
「うん!」

「……教官さん……ちょっと」
「ええ……少し失礼しますね」

あやさんが教官さんに何かを話しかけると……なぜか2人は部屋の隅っこに行って話し始める。

うん、やっぱり最年長のあやさんがリーダーだもんね。

実力的には光宮さんだけども、こういうときは年齢が物を言うんだ。

大学生さんだもんね。
きっと頼りになるんだ。

きっと、リーダーさんとの細かいいろいろの話なんだろう。

「けどゆずきちゃん、すごいねー。 スライムさんまでテイムしちゃうだなんて」
「あ、うん。 テイムしたつもりはなかったんだけど……君、どうして来てくれたの?」

「ぴぎ?」
「きゅい?」

おじさんたちと一緒に居た人たち……何でもダンジョン周辺の警備隊なんだって……が居なくなって、気が付いたらおまんじゅうの背中に張り付く感じで液体状になってるスライムさん。

おまんじゅうも首をぐりぐり動かしてガン見してたけども、別に嫌がるでもなく……自分の尻尾を追いかけるようにしてくるくる回ってる。

「きゅっ」
「ぴっ」
「きゅきゅ?」
「ぴぴっ」

2匹とも、なんだか楽しそうにお話ししてるし……きっとじゃれ合ってるだけなんだろう。

そうして張り付いてるの見ると……顔も何も見えないけども、なんかかわいいね。

おまんじゅうも嫌がってないし、スライムさんの方も懐いてるみたい。

これなら多頭飼いしても……って。

……スライムさんって、なに食べるんだろ。

おまんじゅうは高級野菜スティックで良いとして……あとで光宮さんに聞こうっと。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~

椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。 探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。 このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。 自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。 ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。 しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。 その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。 まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた! そして、その美少女達とパーティを組むことにも! パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく! 泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~

尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。 ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。 亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。 ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!? そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。 さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。 コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く! はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう

果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。 名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。 日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。 ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。 この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。 しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて―― しかも、その一部始終は生放送されていて――!? 《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》 《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》 SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!? 暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する! ※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。 ※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう

なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。 だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。 バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。 ※他サイトでも掲載しています

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...