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セレナーデ
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◆◆◆◆◆
一階ホールの影から、泰臣らが合流するのを確認し、光留は入口へ向かう。勿論、晃子を出迎える為だ。
あの日、瀬戸物町の密か事を知り、顔に戸惑いが浮かぶことを恐れたが、足踏みしている場合でもなく、指を銜えて眺めるマヌケに成り下がるつもりも毛頭ない。
一時は、もうダメだ――と余命幾ばくもない病人のような心境で、汽船に乗ったことを思えば、現状は捨てたものではない。
縁談は、まとまっていない。これだけが希望だった。何故なら一旦、話が上がった者達が、いつの間にか相手が変わっていた――なんてこともあるからだ。全ては宗秩寮にかかっているのだが、引っ掛かるのは、晃子の気持ちだった。家の事情から、晃子が妾を嫌うことは把握しているが、だからと羽倉崎を嫌うか?となると話は、別のような気もしないでもない。
如何せん、どんなに頭で算盤を弾いても、人様の胸裏を覗くことなんて出来はしない。光留は、宮内省からの招待状を泰臣に渡すと、屋敷へ逃げ帰った。
「宵さん!便箋と万年筆!」
「まあ、まあ、坊っちゃま!大声を出して、お行儀が悪うございますよ」
「元からです」
宵は、急ぎ部屋の隅に寄せられていた文机を、光留の前に置き、紙と筆がまとめ置かれた黒漆器の盆を畳に滑らせた。
「万年筆でよろしいので?洋製の墨汁は、官ではご法度なのでは?」
「これは、個人的なものです。問題ありません」
「個人的……」
「ああ!覗かないで!字が歪む!」
数行走り書きし、横に控える宵を尻目に家令を呼びつけた。
「尾井坂男爵の晃子さんへ、久我の宮津子から預かったと」
「え?」
「尾井坂男爵家の晃子様へ、久我侯爵家の宮津子様から。急いで」
「は、はい」
頭だけ廊下へ突き出し、駆け出す家令を見送る宵は、気も漫ろと「何故、宮津子様?」と尋ねた。
「宗秩寮からの言伝てを伝え忘れたのです。僕の名で手紙を届けたら、アチラも驚くでしょう」
「左様ですか。嘘は、泥棒の始まりと申しますよ」
「何のことやら……」
光留は、失笑を漏らす。
手紙には、こう書いた。
『蚊遣り火の効果をお試しされる気があれば、馬車を寄越します』
晃子が承諾しても、遊びに加わった軽い気持ちだと分かっている。一見、言葉のお遊びだが光留にとっては、ただの遊びではなかった。少なくとも、多少は好意を持ってくれている――。そう確信できる遊びだった。
ホール入口に立つ、ドアマンに走り寄ると口早に尋ねた。
「先程、久我さんの馬車が入ってきたでしょう?」
「はい。あちらの馬車止めに……」
「ありがとう」
宮津子の名を騙ったのだから、念には念をと、馬車も借り受けた格好だ。その代わり、宮津子を迎えにいく羽目になったが、帰りは侯爵家の馬車に宮津子を押し込み、晃子を自分の馬車へ同乗させようと、目論む光留は、息せき切って駆け寄った。
侯爵家から拝借した馬車は、一頭立てであることから助手などはおらず、御者台に座る1人が付き添いのようなものだった。その為、暇をもて余していたのか、ぼんやりと周りを眺める御者は近づく光留に気づかなかったようだ。
「ご苦労様」
「あ!これは、光留様!」
あ――!と、気づいた御者は、ヒラリと台から飛び降りると深々と頭を下げた。
「お申し付けの通りに」
「ありがとう」
先程は、宮津子からの不意の引っ掛けに慌てたが、よくよく考えれば晃子が到着したら、そのまま留め置くようにと申し付けていた。
光留は、きちんと仕事をこなした御者に、労いの言葉を放つと同時に、その懐に封筒を捩じ込む。手っ取り早い口封じだ。
「晃子さん、失礼」
声を掛けると滅金に指を掛け、茶褐色のドアを引いた。臙脂色の椅子張りと袖ガラスから射し込む斜光に染まる晃子は、辛うじて微笑んでいるのが見てとれるのみだった。
「ああ、失敗しました。貴女の頬が、僕を見て染まっているのか、それとも普段と変わらず物柔らかでいらっしゃるのか、見当がつきません。どちらでしょうか?」
「また、そのような。皆様にも?」
「また――は、こちらの台詞です。皆様、皆様と仰いますが、何故そんなに気になるのです?僕が他のご令嬢と、どんな言葉を交わしているのか、お気になさっているのですか?それとも、ただの興味本位なのでしょうか?」
「あら、どちらが都合がよろしいのかしら?お好きな方にお取りになっても、よろしいんじゃなくって?」
「良いのですか?」
「可笑しなこと。どう受け取ろうが、見た人の勝手ですわ。ただ……正しいかは知りませんけれど」
「……そうですか、僕の勝手ですか。それでは失礼」
光留は、言うなり蹴込みに足を掛けると、そのまま飛び乗った。
「光留様……!」と、制止する御者の声が背に掛かるが、身体は既に広がるドレスの裾を踏みつけ、互いの真っ白な指先は指切りをするように固く結ばれた。当然ながら驚き、身を引く晃子の十指は、意思を示すことなく搦め捕られているだけなのだが。
「よく見えました。貴女の頬が染まる理由は僕です」
「それは不埒な真似をなさるから……!」
「聞く耳は持ちません。ああ、でもどうしょう。明日の新聞を騒がせたい気分です。首相官邸でのマスカレードの醜聞のように、鹿鳴館で洋行帰りの子爵家の従五位が、婚約者がいる男爵令嬢を馬車に閉じ込め、しばらく出てこなかった――など、なかなか面白い読み物になると思いませんか?」
「一体、どうしたと言うのです。私を、からかうおつもりで誘われたのですか?」
「からかう?とんでもない。気まぐれなどではないのです。カプリッチョよりも セレナーデを。ことに、僕は貴女にお伝えしたいことがあるのです」
「愛を囁くセレナーデが、気まぐれではないと何故、言い切れるのでしょうか?」
「はは!これは手厳しい!」
光留は、パッと握りしめていた指を開き「ご無礼しました」と身体を引くと、改めて手を差しのべる。
「僕の話を聞き、それでも偽りがあると仰るのならば、そう仰って下さい。それとも、話など端から聞きたくもないと仰るのならば、この手を払い退けて下さって結構」
光留は、秀麗な面立ちに得も言われぬ微笑を浮かべた。
「さあ、晃子さん、お手をどうぞ」
一階ホールの影から、泰臣らが合流するのを確認し、光留は入口へ向かう。勿論、晃子を出迎える為だ。
あの日、瀬戸物町の密か事を知り、顔に戸惑いが浮かぶことを恐れたが、足踏みしている場合でもなく、指を銜えて眺めるマヌケに成り下がるつもりも毛頭ない。
一時は、もうダメだ――と余命幾ばくもない病人のような心境で、汽船に乗ったことを思えば、現状は捨てたものではない。
縁談は、まとまっていない。これだけが希望だった。何故なら一旦、話が上がった者達が、いつの間にか相手が変わっていた――なんてこともあるからだ。全ては宗秩寮にかかっているのだが、引っ掛かるのは、晃子の気持ちだった。家の事情から、晃子が妾を嫌うことは把握しているが、だからと羽倉崎を嫌うか?となると話は、別のような気もしないでもない。
如何せん、どんなに頭で算盤を弾いても、人様の胸裏を覗くことなんて出来はしない。光留は、宮内省からの招待状を泰臣に渡すと、屋敷へ逃げ帰った。
「宵さん!便箋と万年筆!」
「まあ、まあ、坊っちゃま!大声を出して、お行儀が悪うございますよ」
「元からです」
宵は、急ぎ部屋の隅に寄せられていた文机を、光留の前に置き、紙と筆がまとめ置かれた黒漆器の盆を畳に滑らせた。
「万年筆でよろしいので?洋製の墨汁は、官ではご法度なのでは?」
「これは、個人的なものです。問題ありません」
「個人的……」
「ああ!覗かないで!字が歪む!」
数行走り書きし、横に控える宵を尻目に家令を呼びつけた。
「尾井坂男爵の晃子さんへ、久我の宮津子から預かったと」
「え?」
「尾井坂男爵家の晃子様へ、久我侯爵家の宮津子様から。急いで」
「は、はい」
頭だけ廊下へ突き出し、駆け出す家令を見送る宵は、気も漫ろと「何故、宮津子様?」と尋ねた。
「宗秩寮からの言伝てを伝え忘れたのです。僕の名で手紙を届けたら、アチラも驚くでしょう」
「左様ですか。嘘は、泥棒の始まりと申しますよ」
「何のことやら……」
光留は、失笑を漏らす。
手紙には、こう書いた。
『蚊遣り火の効果をお試しされる気があれば、馬車を寄越します』
晃子が承諾しても、遊びに加わった軽い気持ちだと分かっている。一見、言葉のお遊びだが光留にとっては、ただの遊びではなかった。少なくとも、多少は好意を持ってくれている――。そう確信できる遊びだった。
ホール入口に立つ、ドアマンに走り寄ると口早に尋ねた。
「先程、久我さんの馬車が入ってきたでしょう?」
「はい。あちらの馬車止めに……」
「ありがとう」
宮津子の名を騙ったのだから、念には念をと、馬車も借り受けた格好だ。その代わり、宮津子を迎えにいく羽目になったが、帰りは侯爵家の馬車に宮津子を押し込み、晃子を自分の馬車へ同乗させようと、目論む光留は、息せき切って駆け寄った。
侯爵家から拝借した馬車は、一頭立てであることから助手などはおらず、御者台に座る1人が付き添いのようなものだった。その為、暇をもて余していたのか、ぼんやりと周りを眺める御者は近づく光留に気づかなかったようだ。
「ご苦労様」
「あ!これは、光留様!」
あ――!と、気づいた御者は、ヒラリと台から飛び降りると深々と頭を下げた。
「お申し付けの通りに」
「ありがとう」
先程は、宮津子からの不意の引っ掛けに慌てたが、よくよく考えれば晃子が到着したら、そのまま留め置くようにと申し付けていた。
光留は、きちんと仕事をこなした御者に、労いの言葉を放つと同時に、その懐に封筒を捩じ込む。手っ取り早い口封じだ。
「晃子さん、失礼」
声を掛けると滅金に指を掛け、茶褐色のドアを引いた。臙脂色の椅子張りと袖ガラスから射し込む斜光に染まる晃子は、辛うじて微笑んでいるのが見てとれるのみだった。
「ああ、失敗しました。貴女の頬が、僕を見て染まっているのか、それとも普段と変わらず物柔らかでいらっしゃるのか、見当がつきません。どちらでしょうか?」
「また、そのような。皆様にも?」
「また――は、こちらの台詞です。皆様、皆様と仰いますが、何故そんなに気になるのです?僕が他のご令嬢と、どんな言葉を交わしているのか、お気になさっているのですか?それとも、ただの興味本位なのでしょうか?」
「あら、どちらが都合がよろしいのかしら?お好きな方にお取りになっても、よろしいんじゃなくって?」
「良いのですか?」
「可笑しなこと。どう受け取ろうが、見た人の勝手ですわ。ただ……正しいかは知りませんけれど」
「……そうですか、僕の勝手ですか。それでは失礼」
光留は、言うなり蹴込みに足を掛けると、そのまま飛び乗った。
「光留様……!」と、制止する御者の声が背に掛かるが、身体は既に広がるドレスの裾を踏みつけ、互いの真っ白な指先は指切りをするように固く結ばれた。当然ながら驚き、身を引く晃子の十指は、意思を示すことなく搦め捕られているだけなのだが。
「よく見えました。貴女の頬が染まる理由は僕です」
「それは不埒な真似をなさるから……!」
「聞く耳は持ちません。ああ、でもどうしょう。明日の新聞を騒がせたい気分です。首相官邸でのマスカレードの醜聞のように、鹿鳴館で洋行帰りの子爵家の従五位が、婚約者がいる男爵令嬢を馬車に閉じ込め、しばらく出てこなかった――など、なかなか面白い読み物になると思いませんか?」
「一体、どうしたと言うのです。私を、からかうおつもりで誘われたのですか?」
「からかう?とんでもない。気まぐれなどではないのです。カプリッチョよりも セレナーデを。ことに、僕は貴女にお伝えしたいことがあるのです」
「愛を囁くセレナーデが、気まぐれではないと何故、言い切れるのでしょうか?」
「はは!これは手厳しい!」
光留は、パッと握りしめていた指を開き「ご無礼しました」と身体を引くと、改めて手を差しのべる。
「僕の話を聞き、それでも偽りがあると仰るのならば、そう仰って下さい。それとも、話など端から聞きたくもないと仰るのならば、この手を払い退けて下さって結構」
光留は、秀麗な面立ちに得も言われぬ微笑を浮かべた。
「さあ、晃子さん、お手をどうぞ」
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