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第六章 運命
第六章 運命 13
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志保と守善はそれぞれ右足を1歩前に踏み出し、肩の高さに構えた互いの右前腕を合わせる。
「早速始めましょう。お相手いたします」
「お互いにとって実りあるカキダミシにしましょう。いざ、尋常に勝負!」
守善は右手で志保の右手首を掴んで引くと、左脚を志保の右脚の外側に当てながら、左腕で志保の首を押した。
志保がよろめきながら体勢を立て直すと、2人は様々な軌道の突きや蹴りを繰り出し合いながら、互いの攻撃をそれぞれ腕や脚で受け流し、あるいは躱し合う。
志保は左足を1歩前に踏み込み、守善の腹目掛けて右中段前蹴りを繰り出した。
守善は左腕で志保の蹴りを左へ受け流しながら掬うと、右手で志保の左襟を掴み、右脚で志保の左脚の内側を払った。
志保が仰向けに刈り倒されると、守善はすかさず志保の顔面目掛けて右正拳下段突きを放とうとする。
その瞬間、志保は倒れたまま左前蹴りを守善の顔面に食らわせた。
守善がよろめきながら後ろへ下がると、志保は素早く立ち上がり、左足を1歩前に踏み出して夫婦手に構える。
守善も左足を1歩前に踏み出して夫婦手に構える中、守優と美嘉、正道の3人はその様子に目を向けていた。
「チッ、惜しかったな!」
「あとちょっとで守善様の投げ技が決まりそうだったのに……!」
「ふむ、見事な取手じゃな。とはいえ、志保も我が娘ながら琉球随一の蹴りの名手……果たして、いつまで立っておれるかのう?」
正道が腕組みをする中、志保は素早く守善との間合いを詰めた。志保と守善は様々な軌道の突きや蹴りを繰り出し合いながら、互いの攻撃をそれぞれ腕や脚で受け流し、あるいは躱し合う。
守善は右足を1歩前に踏み込むと、志保の腹目掛けて左中段前蹴りを繰り出した。
すると、志保は左腕で守善の蹴りを左へ受け流し、右上段回し蹴りを守善の左側頭部に食らわせる。
守善は右へ弾き飛ばされると、地面を転がる勢いを利用して素早く上体を起こした。
志保は右足を1歩前に踏み込み、守善の右側頭部目掛けて左上段回し蹴りを繰り出す。
その瞬間、守善はしゃがんだまま両腕で志保の蹴りを受け流して掬い、左へ振り回した。
志保は投げ倒される勢いを利用して地面を転がり、守善から間合いを取って素早く上体を起こす。
正道は志保と守善の戦いに目を向けていた。
「ほう、志保の上段蹴りを食らって立つとは……あの若人、なかなかよい鍛え方をしておるな」
正道が感心する中、守善と志保はそれぞれ立ち上がり、互いに左足を1歩前に踏み出して夫婦手に構えた。
(強い。これまで挑戦者たちを全員打ち負かしてきただけのことはある。あの強力な蹴りをまた食らったら、今度こそ立ち上がれないかもしれない。どうにかして、こっちも対抗しないと……)
(こんなに強い方とカキダミシができるなんて、これが運命というものなのでしょうか? 技の練度も非常に高く、ティーと向き合う姿勢も真摯そのもの……今までお会いした中で、最も素敵な殿方です。もしかすると、わたくしはこの勝負に敗れるかもしれません。ですが、わたくしも1人の武人として、最後まで勝利を諦めるわけにはまいりません!)
「早速始めましょう。お相手いたします」
「お互いにとって実りあるカキダミシにしましょう。いざ、尋常に勝負!」
守善は右手で志保の右手首を掴んで引くと、左脚を志保の右脚の外側に当てながら、左腕で志保の首を押した。
志保がよろめきながら体勢を立て直すと、2人は様々な軌道の突きや蹴りを繰り出し合いながら、互いの攻撃をそれぞれ腕や脚で受け流し、あるいは躱し合う。
志保は左足を1歩前に踏み込み、守善の腹目掛けて右中段前蹴りを繰り出した。
守善は左腕で志保の蹴りを左へ受け流しながら掬うと、右手で志保の左襟を掴み、右脚で志保の左脚の内側を払った。
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その瞬間、志保は倒れたまま左前蹴りを守善の顔面に食らわせた。
守善がよろめきながら後ろへ下がると、志保は素早く立ち上がり、左足を1歩前に踏み出して夫婦手に構える。
守善も左足を1歩前に踏み出して夫婦手に構える中、守優と美嘉、正道の3人はその様子に目を向けていた。
「チッ、惜しかったな!」
「あとちょっとで守善様の投げ技が決まりそうだったのに……!」
「ふむ、見事な取手じゃな。とはいえ、志保も我が娘ながら琉球随一の蹴りの名手……果たして、いつまで立っておれるかのう?」
正道が腕組みをする中、志保は素早く守善との間合いを詰めた。志保と守善は様々な軌道の突きや蹴りを繰り出し合いながら、互いの攻撃をそれぞれ腕や脚で受け流し、あるいは躱し合う。
守善は右足を1歩前に踏み込むと、志保の腹目掛けて左中段前蹴りを繰り出した。
すると、志保は左腕で守善の蹴りを左へ受け流し、右上段回し蹴りを守善の左側頭部に食らわせる。
守善は右へ弾き飛ばされると、地面を転がる勢いを利用して素早く上体を起こした。
志保は右足を1歩前に踏み込み、守善の右側頭部目掛けて左上段回し蹴りを繰り出す。
その瞬間、守善はしゃがんだまま両腕で志保の蹴りを受け流して掬い、左へ振り回した。
志保は投げ倒される勢いを利用して地面を転がり、守善から間合いを取って素早く上体を起こす。
正道は志保と守善の戦いに目を向けていた。
「ほう、志保の上段蹴りを食らって立つとは……あの若人、なかなかよい鍛え方をしておるな」
正道が感心する中、守善と志保はそれぞれ立ち上がり、互いに左足を1歩前に踏み出して夫婦手に構えた。
(強い。これまで挑戦者たちを全員打ち負かしてきただけのことはある。あの強力な蹴りをまた食らったら、今度こそ立ち上がれないかもしれない。どうにかして、こっちも対抗しないと……)
(こんなに強い方とカキダミシができるなんて、これが運命というものなのでしょうか? 技の練度も非常に高く、ティーと向き合う姿勢も真摯そのもの……今までお会いした中で、最も素敵な殿方です。もしかすると、わたくしはこの勝負に敗れるかもしれません。ですが、わたくしも1人の武人として、最後まで勝利を諦めるわけにはまいりません!)
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