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第六章 運命

第六章 運命 8

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辻村――

夜、街の中心部では多くの人々が通りを行き交い、賑わいを見せていた。

そんな中、守優と美嘉、守善の3人は、人通りの多い道を歩きながら辺りを見回している。

「今日も賑わってるな」

「これなら噂の女流武術家もすぐ見つかりそうね」

「連日勝負を挑まれてるってぐらいだし、もしかしたら今頃――」

守善はそう言い欠けると、すれ違い様に志保と目が合い、ハッとした表情を浮かべた。

志保が守善を尻目に歩き去っていく中、守善は立ち止まって志保を見送る。

美嘉と守優は立ち止まり、守善の方を振り返った。

「守善様?」

「どうかしたんですか、兄上?」

「いや、ごめん。なんでもない」

守善達は再び歩き出す。

(あの女の子、どこか不思議な雰囲気を感じたけど、気のせいかな?)

守善は眉をひそめながら、守優や美嘉と共に道の彼方へと歩き去っていった。
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