KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

ジェド

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第六章 運命

第六章 運命 4

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同時刻、久米村――

街の中心部では多くの人々が通りを行き交い、賑わいを見せていた。

中国建築の商店や人家の他、人々の中にも髻や辮髪を結い、漢服や満州服を着ている者が時折見られる。

そんな中、世璋と守央はそれぞれ青い盤領袍ばんりょうほう鸂鶒けいちょくの描かれた補子ほし、白い長ズボン状の袴、黒い烏紗帽うしゃぼう、銀で装飾された革帯を身に着け、人通りの多い道を歩いていた。

「ここは相変わらず清国人が多いよな。唐栄って呼ばれるだけのことはあるぜ」

「久米村の士族達も明国人の末裔だしな。古くから琉球と唐の国を繋いできた外交の中心地だ」

しばらくすると、二人は平屋建ての商店にやって来た。

店構えは中国建築であり、『張家雑貨堂』と書かれた看板が付けられている。

店内の土間には複数の棚が置かれており、中年の男が様々な商品を陳列していた。

男は黒い辮髪と髭、糸目、恰幅の良い体が印象的で、藍色の長袍チャンパオと同色の瓜皮帽グアピーマオ、白い長ズボン状の袴を身に着けている。

守央と世璋は店内に足を踏み入れると、男に向かって拱手礼をしながら官話で話し始めた。

張文ジャンウェンさん、お忙しいところ失礼いたします」

「例の調査のことで報告に来たぜ」

「やあ、2人共。待っていたよ。それで、先日急にうちへ来た男については、何かわかったかね?」

張文と呼ばれた男が拱手礼を返しながら官話でそう言うと、守央は張文と話を続ける。

「はい、張文さんに取引を持ち掛けてきた男は、貿易業を営むまともな商人でした。出身地は日本の大阪市西区で、珍品や雑貨を取引するために沖縄へ来ているそうです」

「大阪から来た商人か。道理でこの辺りじゃ聞かない奇妙な喋り方をするわけだな」

張文がそう言うと、今度は世璋が張文と話し始める。

「そりゃあ多分、摂津弁ってやつじゃねぇか? 最近は関西からこっちへ来てる寄留商人も多いらしいぜ」

「なるほど。とりあえず、あの男は怪しい人物じゃないというわけか。ありがとう、二人共。光永殿にも礼を言っておいてくれ。料金は約束通り、銀行に振り込ませてもらうよ」
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