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第六章 運命
第六章 運命 2
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5月上旬、那覇・若狭町村――
夜、郊外の広い草原では若い男と少し背の高い少女が組手をしていた。
男は短い黒髪と切れ長の目が印象的で、砥の粉色の上衣と同色の細帯、灰色の長ズボン状の琉球袴を身に着けている。
少女は中分けの長い黒髪と大きな目が上品な雰囲気を感じさせ、水色の上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けていた。
男と少女は様々な軌道の突きや蹴りを繰り出し合いながら、互いの攻撃をそれぞれ腕や脚で受け流し、あるいは躱し合う。
草原には老齢の男が立っており、若い男と少女の戦いに目を向けていた。
老齢の男は短い白髪と口髭、鋭い三白眼が印象的で、媚茶色の足首丈の着物と同色の細帯、栗色の羽織を身に着けている。
若い男は右足を1歩前に踏み込み、少女の顔面目掛けて左正拳上段突きを繰り出した。
その瞬間、少女は右手で若い男の左拳を左へ受け流し、右上段後ろ回し蹴りを若い男の右側頭部に食らわせる。
若い男が倒れると、少女はすかさず左正拳下段突きを若い男の顔面に寸止めで放ち、すぐに左拳を引いて残心した。
若い男が顔をしかめていると、そこへ老齢の男もやって来る。
「その程度の実力では、うちの娘はやれんな。出直して来るがよい」
老齢の男が若い男を見下ろすと、若い男は上体を起こして舌打ちした。
「チッ、そうさせてもらう」
若い男は不機嫌そうな表情を浮かべて立ち上がると、背中を向けて歩き去っていく。
老齢の男と少女は若い男を見送った。
「フン、まったくどいつもこいつも骨のない連中ばかりだな。そろそろ1人ぐらい、満足のいく強者が現れてもいい頃だと思うのだが……」
「ご心配には及びません、お父様。この志保、必ずやわたくしより強い殿方を見つけ、その妻となります」
志保と名乗る少女は、月明かりの下で凛とした眼差しを浮かべていた。
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その瞬間、少女は右手で若い男の左拳を左へ受け流し、右上段後ろ回し蹴りを若い男の右側頭部に食らわせる。
若い男が倒れると、少女はすかさず左正拳下段突きを若い男の顔面に寸止めで放ち、すぐに左拳を引いて残心した。
若い男が顔をしかめていると、そこへ老齢の男もやって来る。
「その程度の実力では、うちの娘はやれんな。出直して来るがよい」
老齢の男が若い男を見下ろすと、若い男は上体を起こして舌打ちした。
「チッ、そうさせてもらう」
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「フン、まったくどいつもこいつも骨のない連中ばかりだな。そろそろ1人ぐらい、満足のいく強者が現れてもいい頃だと思うのだが……」
「ご心配には及びません、お父様。この志保、必ずやわたくしより強い殿方を見つけ、その妻となります」
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