KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

ジェド

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第五章 強者

第五章 強者 14

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激しい攻防の中、賢和は思考を巡らせていた。

(そうだ。こいつの言う通り、まだ勝負はこれからだ。こいつはあくまでサソリ蹴りを習得しただけで、対抗策がねぇことに変わりはねぇ。こいつにもう一度サソリ蹴りを食らわせれば、今度こそ俺の勝ちだ!)

賢和が目をカッと見開くと、守優は左足を1歩前に踏み込み、賢和の顔面目掛けて右正拳上段逆突きを繰り出した。

賢和は右手で守優の右拳を左へ受け流すと、守優の右側頭部目掛けて右サソリ蹴りを繰り出す。

その瞬間、守優は右腕で賢和の蹴りを受け流すと、左肘打ちを賢和の首筋に食らわせた。

賢和が倒れると、守優はすかさず右正拳下段突きを賢和の顔面に寸止めで放ち、すぐに右拳を引いて残心する。

守優が肩で息をしていると、そこへ清栄が駆けつけた。

「兄貴、大丈夫ですか!?」

「あ、ああ。大丈夫だ」

賢和が顔をしかめながら上体を起こすと、さらにそこへ美嘉と守善も駆けつける。

「すごい! 守優がサソリ蹴りを破った!」

「サイファの応用技……けど、守優。よくあの技でサソリ蹴りに対抗できるって思い付いたね」

「思い付いたっていうか、自然に体が動いただけですよ。型稽古で身に付けた技が無意識に出るのは、いつものことじゃないですか」

守優がそう言うと、清栄と賢和はハッとした表情を浮かべた。

「技が無意識に……」

「それが型稽古の成果ってわけか。クックックッ……」

賢和は可笑しそうに笑って立ち上がった。

「なるほどな。よくわかったぜ。新垣守優、今回は俺の負けだ。認めてやる。お前は確かに強ぇ。だが、次は俺が勝たせてもらうぜ。その時まで、せいぜい腕を落とすなよ?」

「おう! 次のカキダミシも楽しみにしてるぜ、賢和のあんちゃん!」

「フン……楽しみに、か。その意見にだけは同意してやる。清栄、帰るぞ。目的は果たした。明日も修業だ」

「あ、兄貴! ちょっと待ってくださいよ!」

清栄が賢和の方を振り向くと、賢和はすでに背を向けて歩き出していた。

清栄は慌てた様子で再び守優たちの方を振り向く。

「守優、今日は賢和の兄貴とカキダミシしてくれてありがとな。守善と美嘉も、今度また俺たちの相手してくれよ。じゃあな」

清栄が賢和を追って走り去っていく中、美嘉と守優、守善の3人は清栄と賢和を見送った。

「行っちゃったね」

「次に清栄のあんちゃんたちとカキダミシするのが楽しみだぜ! 兄上、俺たちも明日からもっと修業しましょう!」

「うん、そうだね。じゃあ、僕たちもそろそろ帰ろうか」

守善と守優、美嘉の3人も、賢和や清栄に続いて歩き出した。
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