KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

第五章 強者

第五章 強者 13

その瞬間、賢和は右手で守優の右拳を左へ受け流すと、後ろ廻し蹴りのような軌道で右足を振り上げ、守優の右側頭部を蹴りつけた。

守優は左へ弾き飛ばされると、地面を転がる勢いを利用して素早く立ち上がる。

「くっ……なんだ、今の蹴り！？　あんなの見たことねぇぞ！」

守優が顔をしかめると、賢和は不敵に笑った。

「クックックッ、驚いたか？　これが俺の必殺技、“サソリ蹴り”だ！」

賢和がそう言う中、美嘉と清栄、守善の3人はその様子に目を向けている。

「サソリ蹴り？」

「賢和の兄貴が独自に編み出した蹴り技……それがサソリ蹴りだ。サソリの尾が獲物に毒針を突き立てるように、脚を後方へ振り上げて相手を蹴る。体の柔らかい兄貴だからこそできる究極の技だ」

「守優は蹴られた瞬間に左へ飛んで威力を逃がしたけど、次も同じ手が通用するとは限らないし、ここからどうやって戦うんだろう？」

守善が額に冷や汗を浮かべると、賢和は左足を1歩前に踏み出し、夫婦手に構えた。

「フン、サソリ蹴りに対抗できる技なんてあるわけねぇ。サソリ蹴りは、この琉球で俺だけが使える唯一無二の技だ。初見で破れるほど柔じゃないぜ！」

賢和が守優に向かって突進すると、2人は様々な軌道の突きや蹴りを繰り出し合いながら、互いの攻撃をそれぞれ腕や脚で受け流し、あるいは躱し合う。

激しい攻防の中、賢和は口元に不敵な笑みを浮かべていた。

（こいつは俺のサソリ蹴りを警戒して、思い切った攻撃に踏み切れないはずだ。俺がこのまま攻め切ればいい。最後に勝つのは、この俺だ！）

賢和は左足を1歩前に踏み込むと、守優の顔面目掛けて右正拳上段逆突きを繰り出す。

その瞬間、守優は右手で賢和の右拳を左へ受け流し、右サソリ蹴りを賢和の右側頭部に食らわせた。

賢和は左へ弾き飛ばされる中、ハッと目を見開く。

（何……！？）

賢和が地面を転がって倒れると、美嘉と守善、清栄の3人はハッと目を見開いた。

「い、今のもサソリ蹴り！？」

「けど、守優があの技を見るのは今日が初めてのはず……」

「まさか、賢和の兄貴の動きを一度見ただけで覚えたのか！？」

清栄が額に冷や汗を滲ませると、守優は口元に不敵な笑みを浮かべる。

「へぇ～、見よう見まねでも意外とできるもんだな。こいつはなかなか面白ぇ蹴りだぜ」

守優がそう言うと、賢和は顔をしかめながら立ち上がった。