127 / 150
第五章 強者
第五章 強者 9
しおりを挟む
翌日、首里――
晴れた昼間、儀間の家の庭では、賢和と清栄、美那古、幸允の4人が補助運動をしていた。
賢和は、庭の片隅に設置された立巻藁目掛けて右正拳を何度も打ち込み、拳を鍛えている。
一方、清栄はチーシーを手にして振り、腕の筋骨を鍛えていた。
そして、美那古と幸允は小手鍛えをしており、互いに向かい合って左右の腕を打ち合い、筋骨と皮膚を鍛えている。
しばらくすると、賢和は巻藁打ちを止め、小さくため息を吐いた。
「はぁ……くそ、駄目だ。こんな鍛練ばかりで、あの本部の猿に勝てるわけがねぇ。おい、清栄。稽古が終わったら、そのまま辻に行くぞ。今日こそ守優を見つけてカキダミシしてやる」
「え~、また辻に行くんですか?」
清栄はチーシーを地面に置き、賢和と話を続ける。
「昨日行っても守優に会えなかったじゃないですか。それよりも、直接また守央さんの家まで行った方が早いですって。守優だって、いつも辻に来てるとは限らないんですから……」
「いや、守優は間違いなく今日も辻に来る。奴が真の武人なら、カキダミシの相手にふさわしい強者を探すはずだ。強者を求めるのは俺も同じ。俺と奴が拳を交えるのは、もはや必至だ」
賢和がそう言うと、美那古と幸允も小手鍛えを止め、賢和と話し始める。
「賢和兄さん、守優君とカキダミシするんですか?」
「あいつはなかなか強いですよ。俺たちが辻でカキダミシした時も、守優はセイユンチンの動きを応用して清栄に勝っちまいましたからね。型の動きをそのまま実戦で出せるなんて、大した奴ですよ」
「ほう、そいつは面白ぇ話だな。ますます奴とカキダミシするのが楽しみになってきたぜ」
晴れた昼間、儀間の家の庭では、賢和と清栄、美那古、幸允の4人が補助運動をしていた。
賢和は、庭の片隅に設置された立巻藁目掛けて右正拳を何度も打ち込み、拳を鍛えている。
一方、清栄はチーシーを手にして振り、腕の筋骨を鍛えていた。
そして、美那古と幸允は小手鍛えをしており、互いに向かい合って左右の腕を打ち合い、筋骨と皮膚を鍛えている。
しばらくすると、賢和は巻藁打ちを止め、小さくため息を吐いた。
「はぁ……くそ、駄目だ。こんな鍛練ばかりで、あの本部の猿に勝てるわけがねぇ。おい、清栄。稽古が終わったら、そのまま辻に行くぞ。今日こそ守優を見つけてカキダミシしてやる」
「え~、また辻に行くんですか?」
清栄はチーシーを地面に置き、賢和と話を続ける。
「昨日行っても守優に会えなかったじゃないですか。それよりも、直接また守央さんの家まで行った方が早いですって。守優だって、いつも辻に来てるとは限らないんですから……」
「いや、守優は間違いなく今日も辻に来る。奴が真の武人なら、カキダミシの相手にふさわしい強者を探すはずだ。強者を求めるのは俺も同じ。俺と奴が拳を交えるのは、もはや必至だ」
賢和がそう言うと、美那古と幸允も小手鍛えを止め、賢和と話し始める。
「賢和兄さん、守優君とカキダミシするんですか?」
「あいつはなかなか強いですよ。俺たちが辻でカキダミシした時も、守優はセイユンチンの動きを応用して清栄に勝っちまいましたからね。型の動きをそのまま実戦で出せるなんて、大した奴ですよ」
「ほう、そいつは面白ぇ話だな。ますます奴とカキダミシするのが楽しみになってきたぜ」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
おてんばプロレスの女神たち ~男子で、女子大生で、女子プロレスラーのジュリーという生き方~
ちひろ
青春
おてんば女子大学初の“男子の女子大生”ジュリー。憧れの大学生活では想定外のジレンマを抱えながらも、涼子先輩が立ち上げた女子プロレスごっこ団体・おてんばプロレスで開花し、地元のプロレスファン(特にオッさん連中!)をとりこに。青春派プロレスノベル「おてんばプロレスの女神たち」のアナザーストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
狩野岑信 元禄二刀流絵巻
仁獅寺永雪
歴史・時代
狩野岑信は、江戸中期の幕府御用絵師である。竹川町狩野家の次男に生まれながら、特に分家を許された上、父や兄を差し置いて江戸画壇の頂点となる狩野派総上席の地位を与えられた。さらに、狩野派最初の奥絵師ともなった。
特筆すべき代表作もないことから、従来、時の将軍に気に入られて出世しただけの男と見られてきた。
しかし、彼は、主君が将軍になったその年に死んでいるのである。これはどういうことなのか。
彼の特異な点は、「松本友盛」という主君から賜った別名(むしろ本名)があったことだ。この名前で、土圭之間詰め番士という武官職をも務めていた。
舞台は、赤穂事件のあった元禄時代、生類憐れみの令に支配された江戸の町。主人公は、様々な歴史上の事件や人物とも関りながら成長して行く。
これは、絵師と武士、二つの名前と二つの役職を持ち、張り巡らされた陰謀から主君を守り、遂に六代将軍に押し上げた謎の男・狩野岑信の一生を読み解く物語である。
投稿二作目、最後までお楽しみいただければ幸いです。

【完結】風天の虎 ――車丹波、北の関ヶ原
糸冬
歴史・時代
車丹波守斯忠。「猛虎」の諱で知られる戦国武将である。
慶長五年(一六〇〇年)二月、徳川家康が上杉征伐に向けて策動する中、斯忠は反徳川派の急先鋒として、主君・佐竹義宣から追放の憂き目に遭う。
しかし一念発起した斯忠は、異母弟にして養子の車善七郎と共に数百の手勢を集めて会津に乗り込み、上杉家の筆頭家老・直江兼続が指揮する「組外衆」に加わり働くことになる。
目指すは徳川家康の首級ただ一つ。
しかし、その思いとは裏腹に、最初に与えられた役目は神指城の普請場での土運びであった……。
その名と生き様から、「国民的映画の主人公のモデル」とも噂される男が身を投じた、「もう一つの関ヶ原」の物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる