KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

第五章 強者

第五章 強者 4

夕方、賢和と清栄は人通りの少ない住宅街の道を歩いていた。

「とは言ったものの、確かに今の俺じゃ、儀間のジジイに勝てる確証がねぇ。いや、ジジイに勝てる程度の力じゃ駄目だ。俺はいつか琉球一の武術家になる。そのためには琉球最強の武術家、あの本部の猿を超える力を手に入れなきゃならねぇ」

「賢和の兄貴ならきっとできますよ。本部朝基を倒して、そしていつか琉球一の武術家に……」

「ああ。けど、このまま何もしないで強くなれるなんて虫のいい話はねぇ。俺はもっと強ぇ奴と戦って、実戦経験を積む必要がある。誰か俺とカキダミシしてくれる奴でもいりゃあな……」

「強い奴なら、1人知ってますよ」

「何？」

賢和と清栄は道の途中で立ち止まり、話を続ける。

「カキダミシのできる相手か？　誰だ？」

「守央さんの息子です。守央さんのことは、兄貴も知ってますよね？　あの人の2番目の息子に、守優って奴がいるんですけどね。この間、俺と美那古と幸允でカキダミシしに行った時に、辻で守央さんとばったり会って、ちょうどその時に守央さんが守優を連れてきてたから、カキダミシの相手をしてもらったんですよ。そしたら、もう強いのなんのって……俺も本気出して全力で勝ちに行ったんですが、負けちまいましたよ」

「その守優って奴はどこにいる？　辻にはよく来るのか？」

「俺も守優とはその1回しか会ったことないんで、いつも辻にいるかどうかはわかりませんけど……あ、でも守央さんが連れて来てたってことは、守央さんと一緒に住んでるかもしれませんね。俺、守央さんちなら知ってますよ」

「なら、話は早はえぇな。案内しろ、清栄。俺もその守優って奴とカキダミシしてやる。本気のお前に勝ったってんなら、そいつが強ぇのは間違いねぇ。行くぞ」

賢和が再び歩き始めると、清栄も慌てて賢和の後を追うように歩き出す。

「ちょ……ちょっと、賢和の兄貴！　待ってくださいよ！　今から行くんですか！？」

清栄と賢和は道の彼方へと歩き去っていった。