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第四章 求道
第四章 求道 36
しおりを挟む 『騎士王』が友人や仲間にまれに自慢するのは、『夜の加護』であった。
それは祖国を出る前、騎士の誓いを断った『ラーシャの御子』がほんの気紛れに口にした程度の文言だったという。
『夜の加護ぞある』
『怪我をしないように、気を付けて』
――そらに月がのぼる限り、夜は己に加護――幸運を約束するのだと、『騎士王』は語るのだった。
5、悪い大人が此処に居ますよ
「この心理はなんであろう。僕は今、武勇伝を誰かに語りたいような己の中だけで愛でたいような気分である」
ニュクスフォスを縛り上げて出させた後日の事、クレイは上機嫌で紅薔薇勢の集会に顔を出していた。
「少しお目にかからぬ間にご成長なされて……」
「大人びたご様子ですね」
メルギン伯やルフォーク伯がそんなことを言っているのが耳に快い!
(そう、僕は大人になったのだよ)
しかし、具体的に言うのは恥ずかしいな! やはり性的な事はな――クレイはふわふわとした笑みを浮かべた。
(しかし、僕は今誇りたい……っ、僕が凄い事をしたのだと、誰かに知ってほしくてたまらぬのだ)
何を誇りたいのか、何が凄い事なのかと言うと、その中身は『恋人のアレをあれして……』というお下品な武勇伝である。
毒性を淡く浮かべた菫色の瞳がそわそわと周囲を見る。そして、侯爵に連れられて参加しているアイザール国のミハイ皇子を発見した。
「ふ……、」
クレイは涼やかな顔でミハイに近付いた。
年上の余裕を全身から溢れさせるようにして。
「ミハイ。僕が遊んであげる。拒否権はない」
「いつかざまぁしてやる……」
不穏な事を言われつつ、年下のミハイと個室に移れば、祖父ブノワが付けた監視役と思しきカルロ・エクノが付いてくる。
いつからだったかは忘れたが、このカルロは集会の時に密やかな空気のような存在感で傍にいるのだ。
まるで、呪術師のレネンが集会の間だけ増えたよう。クレイはこっそりとこのカルロを気に入っていた。カードゲームも強いのだ。
紅茶の香りが気持ちを落ち着かせてくれる、そんな室内のソファの上、クレイはそわそわとミハイの耳に口を寄せた。
「ミハイ。僕の武勇伝を教えてあげる」
「はいはい。なんだよ」
ミハイには年上を敬う気持ちがない。
クレイは若干それを心地よく思いつつ、にんまりとした。
「僕は、『騎士王』を縛って、あれをこすって、出させた」
「くふっ」
壁際で空気のようになっていたカルロが噎せたような声を洩らした。
少し声が大きかったかもしれぬ――クレイはそっと反省して、声をひそめた。
「こう、……両手で愛でてやった。ミルヒみたいなのが出たぞ。僕は『良い子』だねって撫でてやったのだ」
「……っ!!」
ミハイはしらっとした顔できいているが、カルロが口を押えてショックを受けた顔をしていた。
(ふうむ。喋り手が僕しかいない部屋なのだもの。聞こえても仕方ない……けれど、そんなに顔に出してしまって将来、外務系のお仕事が務まる?)
4歳年上のカルロは将来、外務系のお仕事を志望しているのだ。
クレイは知らぬが、実は『騎士王』がファーリズの伯爵公子だったころからの友人でもある。
「フン。こすって出して終わり? そんな程度で自慢するなんて、おこちゃまだね。そんなの友達同士でも兄弟間でもするよ」
ミハイはというと、生意気な目でせせら笑うではないか――、
「ふ、ふむ? 友達同士でも兄弟間でもする行為であったか――僕は、あまりそういう仲の者がいないのだ」
「恋人ともなれば、つっこんでフィニッシュしないと」
不穏な会話に、カルロがあたふたしている――、この危険な会話を止めた方がいいのでは、と。
「そうか……薄い本のあれか」
クレイは薄い本を思い出した。
勇者の攻略時に、それはもうたくさん読んだ不健全な本たちは、確かによくつっこんでいた。
「あれは、薄い本だから出来るのでは? 現実であれはできないだろ……」
「できる」
ミハイはどや顔で肩をそびやかしている。
「ボクはアレクセイにやってる!!」
「おお……。でも、でも。それはミハイのがちいさいからできるのでは?」
率直に思ったことを述べれば、ミハイはムッとした様子で眦を釣り上げた。
そして、カルロが止める暇もなく、慣れた仕草でクレイを押し倒した。
押し倒す方も慣れているが、押し倒される方もそうされるのに割と慣れている。クレイは動じることなくのんびりとした目で年下のミハイを見上げた。
「あ。そういえば……」
(ミハイに壁ドンを披露してやろうと思っていたのだった。しかし、先にやられたな)
特に抵抗もなくふわりと倒れてやれば、ミハイは『してやったり』といった生意気な顔で上に乗って見下ろし、クレイのブラウスに手をかけている。
(ふっ、ミハイ……すまないが全然ドキドキしない……。僕は普段『騎士王』の色香に慣れているからな)
あの『騎士王』が時折発する、特有のあやしげな、見てはいけない感じも何もない。
小柄なミハイが上に乗ると、不思議と子どもをあやしているような気分になる。
首筋に音を立てて吸いつかれても、飼い猫に舐められたみたい。
とても健全だ……!
(つまり、この気分とは僕を相手にしている時の『騎士王』の気分なのではあるまいか)
クレイはほんのりと気持ちを下降させた。
「殿下たち、そういった遊びはおやめくださいね!」
カルロがミハイを止めて、引っ剥がした。
「ふふ、ミハイ。僕は全然ときめかなかった……ごめんね」
クレイは余裕の態度で気分良く帰ったのだった。
しかし、居室で『騎士王』と会ってみれば、その余裕も儚く崩れる事となる。
「殿下、その痕はいかがなさいましたかな」
それはもう驚いた様子で血相を変えてニュクスフォスが問いかけて、鏡を見せてくれたのだ。
「おお……」
見ればなるほど、ミハイは痕をしっかり付けていた。
「大人な感じがする」
感慨深く呟けば、傍らからは「そのご様子だと知らぬ間に付けられたのですかな」と、少し不穏な気配がする。
「うーん」
鏡をしげしげと見つめながら、クレイは首を傾げた。
(これは、僕に対する認識を変えさせる好機なのでは?)
「お、怒っているわけではありませんよ、と」
沈黙をどう解釈したか、ニュクスフォスが気配を和らげている。
「殿下もショックでいらっしゃるのでしょう……俺は護衛役に注意をしないとなりませんね」
「いや、別にショックではない」
護衛が怒られてしまうではないか――クレイは慌てて声をあげた。
「僕は別にショックではない。今、僕はどちらかといえばちょっと楽しい」
「な、な、なんですと……」
夜に誘うような眼差しが『陛下』を見る。
「お前は以前、僕が痕を付けてあげたのに、僕にはお返しに痕を付けてくれなかった……」
そっと呟く声は拗ねたような声色だった。
「僕も痕が欲しかった。僕に付けてくれたら、見せびらかして自慢できたのだ……ゆえに、僕は他の者にこれを貰ったのである」
「あ、痕が欲しいと……」
ニュクスフォスが紅の目を見開いて肩を震わせている。
(さすがに、ちょっとはしたない事を申しただろうか)
若干の自覚と共に紅の目を見つめていれば、青年はサッと立ち上がって何処かに行ってしまった。
無言で。
「あっ……」
怒ったのだろうか。
ご機嫌を損ねてしまったのだろうか?
腹の底に重い石がずんと沈んだように、気持ちが暗くなる。
「レネン……」
そろそろと視線をやれば、呪術師は知らん顔をしていた。
「知りません」
(そもそも、レネンだって僕がミハイに痕を付けられたのを見ていただろうに)
クレイは唇を尖らせた。
「レネンは意地悪だ……」
(『陛下』が怒っちゃったじゃないか。あいつ、何言ってもニコニコしてそうなのに)
「怒ったのかな? レネンはどう思う。レネンが持つ常識的な感性による見解を僕に教えて欲しい」
「知りませんね――」
「そ、そう」
少年はしおしおとした。
「まあ、でも。僕は自分でなんとなくわかるよ。あれは僕に痕を嫌がってほしかったのだろう。ショックを受けてしょんぼりするようなピュアな反応を期待していたに違いないね」
レネンが何かを言い返そうとしたとき、ノックも何もなしにニュクスフォスが戻ってきた。
手には、資料みたいなものを抱えて――どさりどさりと床にばら撒いて。
「んっ?」
「お勉強をしましょう」
「んん?」
「クレイ様は、俺とお勉強をしましょう。公爵家の教育がおかしいとは前々から思っていたものの、おかしいのも含めて莫迦道楽貴族の魅力と思っておりましたが、これは見過ごせません」
どさくさに紛れて何か言ってる――しかし、ここで反応したら莫迦道楽貴族になってしまう。
クレイは「今なにか言ったかなぁ……ちょっときいてなかったなぁ……」って感じの顔でニコニコしておいた。
ニュクスフォスは資料の真ん中にクレイを抱えて座り込み、順に資料を広げていく。
「さて何処から参りますか。おしべとめしべ?」
「それはわかるよ!」
なんと性教育。
直球の座学だ。
お子様向けから始まるじゃないか――クレイはうんざりした。
レネンが冷ややかな目で存在感を薄くして見守っている。
「婚姻前の姫君はみだりに肌をさらさず、男子を部屋に招く際は扉を開けて……」
「僕は姫君じゃないよ!」
つっこみの声が冴える。
だが、力いっぱいの声が返ってくるではないか。
「クレイ様は、俺のお姫様ですッ!」
「っ!?」
クレイの頬がほわほわと赤くなる。
(これはなんだろう。ちょっと嬉しいと思っている自分がいるではないか)
ちらちらと視線を向けるが、青年の瞳は資料に縫い付けられているようだった。
「決まった相手がいる場合は、他の男と関係を持たぬのは当然として、関係を持ったと疑われぬよう気を付けるべし――痕は肌での接触であり、関係の示唆にして、マーキングともいわれます。ゆえに、痕を欲しがるなど言語道断、見せびらかして自慢なども非常識極まりない――」
これは大人しくきいていよう。
クレイはウンウンと従順に頷き、お勉強をした。
内容は全部知っていて、面白くもなんともなく、子供扱いも阿呆らしいが、『貴方が大切なのだ』と言われる温度はこそばゆいような心地の良さを感じさせてくれるのだ。
(ニュクスがやりたいというなら、僕は付き合おう。それで気持ち良くなるなら……僕もちょっと気持ち良い。保護されてるピュアなお子様な気分になれて、なかなか悪くない……)
「身体的、精神的に未熟な若年者を肉体的有利さでどうこうしようなどという大人は多く、ひ弱な殿下などは油断するとすぐ悪戯されてしまいますからね」
「うん、うん」
レネンが壁際で「それをあんたが言うんですか」といった気配を覗かせている。
「孤立していたり困っている相手に手を差し伸べたりして懐柔したり、弱みにつけこんだり、優しい年長者を装って関係性を支配してから、性的な行為に及……」
読み上げていた声が途絶えて、後ろめたそうに視線が逸れる。
(これはお前の事を書いてるみたいだね! って言ったら、だめなんだろうなあ)
クレイは空気を読んだ。
「僕、座学に飽きて来たよ」
あくびを噛み殺すように言えば、ニュクスフォスはすこし安心したような顔をした。
「では――」
「うん、うん」
(休憩かな。お菓子と紅茶でもお供に、平和で楽しい話でもしようじゃないか)
クレイはニコニコとした。
「では、実技をいたしましょう」
「はっ?」
――不思議な事を言うではないか。
見返した瞳は真剣だった。
「よいですか、悪い大人はこうやって抱き着いてきたりしますからね。逃げましょうね」
するすると抱き着きながらそう言って、「悪い大人はこんな風に脚に触れたりしますからね」と手を下に滑らせるではないか。
「嫌だって言わないといけませんよ。いいですねクレイ。さあやってみましょう、逃げて拒絶して、はい!」
「ええ……」
(黒歴史だ。ニュクス、お前……これ結構な狂気の沙汰だよ。恥ずかしいぞ。僕とお前、二人して何をするというのか。お子様育成ごっこ遊びにもほどがあるよ。ああ……本気か、お前、これ本気なのか……)
一応、逃げやすいようにしてくれている。
そろりと逃げると、次が仕掛けられる――部屋の中でスローモーションの鬼事でもするように、不思議な実技だか遊戯だかが始まった。
「ほら、のんびりしてると壁際に追い詰められてしまいますからね!」
「わあ……、あ、僕の壁ドンをみせてあげるよ」
「カベドン? なんです、それは」
(ちょうど良いではないか)
クレイは張り切ってニュクスフォスに指示をだし、壁を背に座らせて、壁と自分で閉じ込めるようにして練習した壁ドンを披露した。
両手を壁につけて、体重を預ける。
顔を近づけて、触れるか触れないかで止める――、
「今なにのお勉強をしていたか覚えていらっしゃいます?」
呆れたような声がした。
「ん。そうだった。慎み深く、清らかに」
「そんな感じです」
壁に縫い付けるようにした青年は俯くように溜息を零した。
(あんまり効いてないどころか、なんだか逆効果になっちゃったな)
体勢を維持していると、すこし支配的な気分にもなってくる。
なるほど、『抵抗しない者を壁際に追い詰めるとこんな気分なのだ』――これは正しく実技を学んだと言える、と、クレイは頷いた。
一応、以前レネンを地面に押し倒した事はあったのだけれど。壁と地面はやはり、また違うものだ。
そのまま、白い髪に唇を落とすようにして言葉を零す――詫びるように。
「けれど、陛下が最初に仰ったではないか。『崇高で尊厳ある遊戯にて、人生に喜びと幸福をもたらすもの。豊かな感受性を育て、最高の喜びを共有し合う』と。性的快楽を覚えられるのは素晴らしいと。吐精はめでたいのだと、大人になったと――恋人のキスだって教えてくれたではないか」
「誰とでも性的に触れ合いまくって喜んではならぬと、そういう話です。悪い大人には特に気を付けよと、そういう――、」
常は陽気で快活な青年の声が、珍しく歯切れ悪くなっていく。
壁際に追い詰めているだけに、クレイは自分が苛めているような錯覚に陥って、なんだかそわそわした。
「……すぐ近くに悪い大人代表みたいな俺がいるんですよ、と」
青年が初めて見せるようなしょげたような困っているような顔をするので、クレイはドキドキした。
――これだ。
この感覚が、ミハイにはできないのだ。
「陛下は……」
悪い大人じゃない、と言えば理想なのだろうなとクレイは思った。
けれど、その言葉が軽くて薄っぺらくて、真実味も何もない気がして言えないのだった。
(だってこいつ、そんなに『清く正しく善良』って感じでもないのだもの……? そうじゃない?)
オスカーという名前だったころから、こいつはチャラチャラしていて学院にも遊びに来ていたようだし。
女性にも軽く軟派に声をかけて、遊びまくっていた。
父伯の金と権力を使っての少年騎士団、ケイオスレッグは勝つために手段は択ばないんだって感じだったし。
「うーん……」
悩む。
悩む自分を視ている視線を感じる。
(僕を音楽室から落とそうとした。僕に毒を盛った。自作自演で漁夫ってアーサー王を殺すとか言って、調子の良い嘘をついて……僕に悪戯して、恋薬を盛って)
「ううーん」
考えれば考えるほど、「そうですね悪い大人ですね」と言った方が真実味がある感想になってしまいそう。
「陛下は、僕の恋人で婚約者なのだから、性的に触れ合って喜んでも好いのではない? ミハイは、『友達や兄弟でもそれくらいする』と言っていたよ……お堅いのだ……」
最後の一言は、少しだけ棘を絡めた。
(あと、僕はお前が思ってるほどピュアなお子様でもないのだ……そこは本当にごめんね。僕がもう10歳くらい年下だった方がよかったのかなぁ。夢を見させてあげたい気もするのだけれど)
そして、ふと自分の失敗に気付くのだった。
「ああ、そうか。僕はお前のものだものね」
気付いた瞬間、痕のあたりがじくじくと嫌な違和感を覚えさせ始めた。
「他の者に触れさせたらだめなのだ。軽率にそれを許した僕が悪かった」
――なるほど、なるほど――嫌がる感性を持たせたいのだ。年相応の分別がないから教えようとするのだ。
「ごめんね」
壁から離れるように腕をほどいて背を向けようとすれば、肩が抱かれる。
実技の再開みたいに体位を入れ替えられて、壁に自分が縫い留められる。
全く同じ姿勢――意識したときには、首筋に唇が押し付けられていた。
――舐められて、吸われる感覚。
「あ……」
痕をつけてくれている。
そう思うと、嬉しくなった。
「悪い大人が此処に居ますよ」
自嘲するように言って、ニュクスフォスが力を緩める。
「恋人でも、支配的に事に及ぼうとする輩はいけませんよ……」
その声がなんだか痛々しくて、クレイはやわやわと慰めるように頭を撫でてあげた。
なにやら、調子が悪そうではないか――、
何となく理由は察する事ができていて、それが何とも申し訳ないのだった。
(僕が相手だと、罪悪感とか背徳感を覚えるのだな)
世間でもあれこれと噂されているらしいのだもの――野放しにしていたけれど、今度紅薔薇勢に頼んで困った噂を封じておかなくては、とクレイは心に留め置いた。
(まあ、まあ。うん。この者はそもそも、僕の従者になりたかったらしいのだから――なんか、恋人になったけれど。ごめんね)
「支配しているのは僕ではない? 僕は、騎士『夜光』の主なのだもの」
触れ慣れた髪を優しく撫でていると、ずっと拾えなかったものを拾ったのだと言う感覚が湧いてくる。
――僕はこれを拾ったのだ。
――そうではないか?
そう思うと、目の前の青年に申し訳ないと思うと同時に充足感が湧いてくるのだった。
それは祖国を出る前、騎士の誓いを断った『ラーシャの御子』がほんの気紛れに口にした程度の文言だったという。
『夜の加護ぞある』
『怪我をしないように、気を付けて』
――そらに月がのぼる限り、夜は己に加護――幸運を約束するのだと、『騎士王』は語るのだった。
5、悪い大人が此処に居ますよ
「この心理はなんであろう。僕は今、武勇伝を誰かに語りたいような己の中だけで愛でたいような気分である」
ニュクスフォスを縛り上げて出させた後日の事、クレイは上機嫌で紅薔薇勢の集会に顔を出していた。
「少しお目にかからぬ間にご成長なされて……」
「大人びたご様子ですね」
メルギン伯やルフォーク伯がそんなことを言っているのが耳に快い!
(そう、僕は大人になったのだよ)
しかし、具体的に言うのは恥ずかしいな! やはり性的な事はな――クレイはふわふわとした笑みを浮かべた。
(しかし、僕は今誇りたい……っ、僕が凄い事をしたのだと、誰かに知ってほしくてたまらぬのだ)
何を誇りたいのか、何が凄い事なのかと言うと、その中身は『恋人のアレをあれして……』というお下品な武勇伝である。
毒性を淡く浮かべた菫色の瞳がそわそわと周囲を見る。そして、侯爵に連れられて参加しているアイザール国のミハイ皇子を発見した。
「ふ……、」
クレイは涼やかな顔でミハイに近付いた。
年上の余裕を全身から溢れさせるようにして。
「ミハイ。僕が遊んであげる。拒否権はない」
「いつかざまぁしてやる……」
不穏な事を言われつつ、年下のミハイと個室に移れば、祖父ブノワが付けた監視役と思しきカルロ・エクノが付いてくる。
いつからだったかは忘れたが、このカルロは集会の時に密やかな空気のような存在感で傍にいるのだ。
まるで、呪術師のレネンが集会の間だけ増えたよう。クレイはこっそりとこのカルロを気に入っていた。カードゲームも強いのだ。
紅茶の香りが気持ちを落ち着かせてくれる、そんな室内のソファの上、クレイはそわそわとミハイの耳に口を寄せた。
「ミハイ。僕の武勇伝を教えてあげる」
「はいはい。なんだよ」
ミハイには年上を敬う気持ちがない。
クレイは若干それを心地よく思いつつ、にんまりとした。
「僕は、『騎士王』を縛って、あれをこすって、出させた」
「くふっ」
壁際で空気のようになっていたカルロが噎せたような声を洩らした。
少し声が大きかったかもしれぬ――クレイはそっと反省して、声をひそめた。
「こう、……両手で愛でてやった。ミルヒみたいなのが出たぞ。僕は『良い子』だねって撫でてやったのだ」
「……っ!!」
ミハイはしらっとした顔できいているが、カルロが口を押えてショックを受けた顔をしていた。
(ふうむ。喋り手が僕しかいない部屋なのだもの。聞こえても仕方ない……けれど、そんなに顔に出してしまって将来、外務系のお仕事が務まる?)
4歳年上のカルロは将来、外務系のお仕事を志望しているのだ。
クレイは知らぬが、実は『騎士王』がファーリズの伯爵公子だったころからの友人でもある。
「フン。こすって出して終わり? そんな程度で自慢するなんて、おこちゃまだね。そんなの友達同士でも兄弟間でもするよ」
ミハイはというと、生意気な目でせせら笑うではないか――、
「ふ、ふむ? 友達同士でも兄弟間でもする行為であったか――僕は、あまりそういう仲の者がいないのだ」
「恋人ともなれば、つっこんでフィニッシュしないと」
不穏な会話に、カルロがあたふたしている――、この危険な会話を止めた方がいいのでは、と。
「そうか……薄い本のあれか」
クレイは薄い本を思い出した。
勇者の攻略時に、それはもうたくさん読んだ不健全な本たちは、確かによくつっこんでいた。
「あれは、薄い本だから出来るのでは? 現実であれはできないだろ……」
「できる」
ミハイはどや顔で肩をそびやかしている。
「ボクはアレクセイにやってる!!」
「おお……。でも、でも。それはミハイのがちいさいからできるのでは?」
率直に思ったことを述べれば、ミハイはムッとした様子で眦を釣り上げた。
そして、カルロが止める暇もなく、慣れた仕草でクレイを押し倒した。
押し倒す方も慣れているが、押し倒される方もそうされるのに割と慣れている。クレイは動じることなくのんびりとした目で年下のミハイを見上げた。
「あ。そういえば……」
(ミハイに壁ドンを披露してやろうと思っていたのだった。しかし、先にやられたな)
特に抵抗もなくふわりと倒れてやれば、ミハイは『してやったり』といった生意気な顔で上に乗って見下ろし、クレイのブラウスに手をかけている。
(ふっ、ミハイ……すまないが全然ドキドキしない……。僕は普段『騎士王』の色香に慣れているからな)
あの『騎士王』が時折発する、特有のあやしげな、見てはいけない感じも何もない。
小柄なミハイが上に乗ると、不思議と子どもをあやしているような気分になる。
首筋に音を立てて吸いつかれても、飼い猫に舐められたみたい。
とても健全だ……!
(つまり、この気分とは僕を相手にしている時の『騎士王』の気分なのではあるまいか)
クレイはほんのりと気持ちを下降させた。
「殿下たち、そういった遊びはおやめくださいね!」
カルロがミハイを止めて、引っ剥がした。
「ふふ、ミハイ。僕は全然ときめかなかった……ごめんね」
クレイは余裕の態度で気分良く帰ったのだった。
しかし、居室で『騎士王』と会ってみれば、その余裕も儚く崩れる事となる。
「殿下、その痕はいかがなさいましたかな」
それはもう驚いた様子で血相を変えてニュクスフォスが問いかけて、鏡を見せてくれたのだ。
「おお……」
見ればなるほど、ミハイは痕をしっかり付けていた。
「大人な感じがする」
感慨深く呟けば、傍らからは「そのご様子だと知らぬ間に付けられたのですかな」と、少し不穏な気配がする。
「うーん」
鏡をしげしげと見つめながら、クレイは首を傾げた。
(これは、僕に対する認識を変えさせる好機なのでは?)
「お、怒っているわけではありませんよ、と」
沈黙をどう解釈したか、ニュクスフォスが気配を和らげている。
「殿下もショックでいらっしゃるのでしょう……俺は護衛役に注意をしないとなりませんね」
「いや、別にショックではない」
護衛が怒られてしまうではないか――クレイは慌てて声をあげた。
「僕は別にショックではない。今、僕はどちらかといえばちょっと楽しい」
「な、な、なんですと……」
夜に誘うような眼差しが『陛下』を見る。
「お前は以前、僕が痕を付けてあげたのに、僕にはお返しに痕を付けてくれなかった……」
そっと呟く声は拗ねたような声色だった。
「僕も痕が欲しかった。僕に付けてくれたら、見せびらかして自慢できたのだ……ゆえに、僕は他の者にこれを貰ったのである」
「あ、痕が欲しいと……」
ニュクスフォスが紅の目を見開いて肩を震わせている。
(さすがに、ちょっとはしたない事を申しただろうか)
若干の自覚と共に紅の目を見つめていれば、青年はサッと立ち上がって何処かに行ってしまった。
無言で。
「あっ……」
怒ったのだろうか。
ご機嫌を損ねてしまったのだろうか?
腹の底に重い石がずんと沈んだように、気持ちが暗くなる。
「レネン……」
そろそろと視線をやれば、呪術師は知らん顔をしていた。
「知りません」
(そもそも、レネンだって僕がミハイに痕を付けられたのを見ていただろうに)
クレイは唇を尖らせた。
「レネンは意地悪だ……」
(『陛下』が怒っちゃったじゃないか。あいつ、何言ってもニコニコしてそうなのに)
「怒ったのかな? レネンはどう思う。レネンが持つ常識的な感性による見解を僕に教えて欲しい」
「知りませんね――」
「そ、そう」
少年はしおしおとした。
「まあ、でも。僕は自分でなんとなくわかるよ。あれは僕に痕を嫌がってほしかったのだろう。ショックを受けてしょんぼりするようなピュアな反応を期待していたに違いないね」
レネンが何かを言い返そうとしたとき、ノックも何もなしにニュクスフォスが戻ってきた。
手には、資料みたいなものを抱えて――どさりどさりと床にばら撒いて。
「んっ?」
「お勉強をしましょう」
「んん?」
「クレイ様は、俺とお勉強をしましょう。公爵家の教育がおかしいとは前々から思っていたものの、おかしいのも含めて莫迦道楽貴族の魅力と思っておりましたが、これは見過ごせません」
どさくさに紛れて何か言ってる――しかし、ここで反応したら莫迦道楽貴族になってしまう。
クレイは「今なにか言ったかなぁ……ちょっときいてなかったなぁ……」って感じの顔でニコニコしておいた。
ニュクスフォスは資料の真ん中にクレイを抱えて座り込み、順に資料を広げていく。
「さて何処から参りますか。おしべとめしべ?」
「それはわかるよ!」
なんと性教育。
直球の座学だ。
お子様向けから始まるじゃないか――クレイはうんざりした。
レネンが冷ややかな目で存在感を薄くして見守っている。
「婚姻前の姫君はみだりに肌をさらさず、男子を部屋に招く際は扉を開けて……」
「僕は姫君じゃないよ!」
つっこみの声が冴える。
だが、力いっぱいの声が返ってくるではないか。
「クレイ様は、俺のお姫様ですッ!」
「っ!?」
クレイの頬がほわほわと赤くなる。
(これはなんだろう。ちょっと嬉しいと思っている自分がいるではないか)
ちらちらと視線を向けるが、青年の瞳は資料に縫い付けられているようだった。
「決まった相手がいる場合は、他の男と関係を持たぬのは当然として、関係を持ったと疑われぬよう気を付けるべし――痕は肌での接触であり、関係の示唆にして、マーキングともいわれます。ゆえに、痕を欲しがるなど言語道断、見せびらかして自慢なども非常識極まりない――」
これは大人しくきいていよう。
クレイはウンウンと従順に頷き、お勉強をした。
内容は全部知っていて、面白くもなんともなく、子供扱いも阿呆らしいが、『貴方が大切なのだ』と言われる温度はこそばゆいような心地の良さを感じさせてくれるのだ。
(ニュクスがやりたいというなら、僕は付き合おう。それで気持ち良くなるなら……僕もちょっと気持ち良い。保護されてるピュアなお子様な気分になれて、なかなか悪くない……)
「身体的、精神的に未熟な若年者を肉体的有利さでどうこうしようなどという大人は多く、ひ弱な殿下などは油断するとすぐ悪戯されてしまいますからね」
「うん、うん」
レネンが壁際で「それをあんたが言うんですか」といった気配を覗かせている。
「孤立していたり困っている相手に手を差し伸べたりして懐柔したり、弱みにつけこんだり、優しい年長者を装って関係性を支配してから、性的な行為に及……」
読み上げていた声が途絶えて、後ろめたそうに視線が逸れる。
(これはお前の事を書いてるみたいだね! って言ったら、だめなんだろうなあ)
クレイは空気を読んだ。
「僕、座学に飽きて来たよ」
あくびを噛み殺すように言えば、ニュクスフォスはすこし安心したような顔をした。
「では――」
「うん、うん」
(休憩かな。お菓子と紅茶でもお供に、平和で楽しい話でもしようじゃないか)
クレイはニコニコとした。
「では、実技をいたしましょう」
「はっ?」
――不思議な事を言うではないか。
見返した瞳は真剣だった。
「よいですか、悪い大人はこうやって抱き着いてきたりしますからね。逃げましょうね」
するすると抱き着きながらそう言って、「悪い大人はこんな風に脚に触れたりしますからね」と手を下に滑らせるではないか。
「嫌だって言わないといけませんよ。いいですねクレイ。さあやってみましょう、逃げて拒絶して、はい!」
「ええ……」
(黒歴史だ。ニュクス、お前……これ結構な狂気の沙汰だよ。恥ずかしいぞ。僕とお前、二人して何をするというのか。お子様育成ごっこ遊びにもほどがあるよ。ああ……本気か、お前、これ本気なのか……)
一応、逃げやすいようにしてくれている。
そろりと逃げると、次が仕掛けられる――部屋の中でスローモーションの鬼事でもするように、不思議な実技だか遊戯だかが始まった。
「ほら、のんびりしてると壁際に追い詰められてしまいますからね!」
「わあ……、あ、僕の壁ドンをみせてあげるよ」
「カベドン? なんです、それは」
(ちょうど良いではないか)
クレイは張り切ってニュクスフォスに指示をだし、壁を背に座らせて、壁と自分で閉じ込めるようにして練習した壁ドンを披露した。
両手を壁につけて、体重を預ける。
顔を近づけて、触れるか触れないかで止める――、
「今なにのお勉強をしていたか覚えていらっしゃいます?」
呆れたような声がした。
「ん。そうだった。慎み深く、清らかに」
「そんな感じです」
壁に縫い付けるようにした青年は俯くように溜息を零した。
(あんまり効いてないどころか、なんだか逆効果になっちゃったな)
体勢を維持していると、すこし支配的な気分にもなってくる。
なるほど、『抵抗しない者を壁際に追い詰めるとこんな気分なのだ』――これは正しく実技を学んだと言える、と、クレイは頷いた。
一応、以前レネンを地面に押し倒した事はあったのだけれど。壁と地面はやはり、また違うものだ。
そのまま、白い髪に唇を落とすようにして言葉を零す――詫びるように。
「けれど、陛下が最初に仰ったではないか。『崇高で尊厳ある遊戯にて、人生に喜びと幸福をもたらすもの。豊かな感受性を育て、最高の喜びを共有し合う』と。性的快楽を覚えられるのは素晴らしいと。吐精はめでたいのだと、大人になったと――恋人のキスだって教えてくれたではないか」
「誰とでも性的に触れ合いまくって喜んではならぬと、そういう話です。悪い大人には特に気を付けよと、そういう――、」
常は陽気で快活な青年の声が、珍しく歯切れ悪くなっていく。
壁際に追い詰めているだけに、クレイは自分が苛めているような錯覚に陥って、なんだかそわそわした。
「……すぐ近くに悪い大人代表みたいな俺がいるんですよ、と」
青年が初めて見せるようなしょげたような困っているような顔をするので、クレイはドキドキした。
――これだ。
この感覚が、ミハイにはできないのだ。
「陛下は……」
悪い大人じゃない、と言えば理想なのだろうなとクレイは思った。
けれど、その言葉が軽くて薄っぺらくて、真実味も何もない気がして言えないのだった。
(だってこいつ、そんなに『清く正しく善良』って感じでもないのだもの……? そうじゃない?)
オスカーという名前だったころから、こいつはチャラチャラしていて学院にも遊びに来ていたようだし。
女性にも軽く軟派に声をかけて、遊びまくっていた。
父伯の金と権力を使っての少年騎士団、ケイオスレッグは勝つために手段は択ばないんだって感じだったし。
「うーん……」
悩む。
悩む自分を視ている視線を感じる。
(僕を音楽室から落とそうとした。僕に毒を盛った。自作自演で漁夫ってアーサー王を殺すとか言って、調子の良い嘘をついて……僕に悪戯して、恋薬を盛って)
「ううーん」
考えれば考えるほど、「そうですね悪い大人ですね」と言った方が真実味がある感想になってしまいそう。
「陛下は、僕の恋人で婚約者なのだから、性的に触れ合って喜んでも好いのではない? ミハイは、『友達や兄弟でもそれくらいする』と言っていたよ……お堅いのだ……」
最後の一言は、少しだけ棘を絡めた。
(あと、僕はお前が思ってるほどピュアなお子様でもないのだ……そこは本当にごめんね。僕がもう10歳くらい年下だった方がよかったのかなぁ。夢を見させてあげたい気もするのだけれど)
そして、ふと自分の失敗に気付くのだった。
「ああ、そうか。僕はお前のものだものね」
気付いた瞬間、痕のあたりがじくじくと嫌な違和感を覚えさせ始めた。
「他の者に触れさせたらだめなのだ。軽率にそれを許した僕が悪かった」
――なるほど、なるほど――嫌がる感性を持たせたいのだ。年相応の分別がないから教えようとするのだ。
「ごめんね」
壁から離れるように腕をほどいて背を向けようとすれば、肩が抱かれる。
実技の再開みたいに体位を入れ替えられて、壁に自分が縫い留められる。
全く同じ姿勢――意識したときには、首筋に唇が押し付けられていた。
――舐められて、吸われる感覚。
「あ……」
痕をつけてくれている。
そう思うと、嬉しくなった。
「悪い大人が此処に居ますよ」
自嘲するように言って、ニュクスフォスが力を緩める。
「恋人でも、支配的に事に及ぼうとする輩はいけませんよ……」
その声がなんだか痛々しくて、クレイはやわやわと慰めるように頭を撫でてあげた。
なにやら、調子が悪そうではないか――、
何となく理由は察する事ができていて、それが何とも申し訳ないのだった。
(僕が相手だと、罪悪感とか背徳感を覚えるのだな)
世間でもあれこれと噂されているらしいのだもの――野放しにしていたけれど、今度紅薔薇勢に頼んで困った噂を封じておかなくては、とクレイは心に留め置いた。
(まあ、まあ。うん。この者はそもそも、僕の従者になりたかったらしいのだから――なんか、恋人になったけれど。ごめんね)
「支配しているのは僕ではない? 僕は、騎士『夜光』の主なのだもの」
触れ慣れた髪を優しく撫でていると、ずっと拾えなかったものを拾ったのだと言う感覚が湧いてくる。
――僕はこれを拾ったのだ。
――そうではないか?
そう思うと、目の前の青年に申し訳ないと思うと同時に充足感が湧いてくるのだった。
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