108 / 150
第四章 求道
第四章 求道 33
しおりを挟む
守央はそれに気づいてハッと目を見開き、世璋に向かって叫ぶ。
「世璋、離れろ!」
守央の声を聞いた世璋はふと下に目を向けると、康裕が鯉口を切ったことに気づいてハッとした表情を浮かべた。
その瞬間、康裕は左足を一歩後ろに引き、右手で抜刀しながら世璋の右脇目掛けて左下から斬り上げる。
世璋は咄嗟に後ろへ飛び退いて康裕の斬撃を躱し、両手を地面についてしゃがむように着地した。
「くそっ!」
世璋が立ち上がると、守央は世璋に声を掛けた。
「大丈夫か、世璋!?」
「あの野郎、抜きやがったな! いいぜ、やってやるよ!」
世璋は左右の手で腰の後ろから二本のトンファーを引き抜くと、物打ちを左右の前腕に沿わせて柄を握る。
「てめぇがその気だってんなら容赦はしねぇぜ!?」
世璋が左足を1歩前に踏み出して夫婦手に構えると、康裕は両手で刀の柄を握り、正眼に構えた。
「ほう、その動き……ティーの心得があるようだな? いいだろう、こちらも手加減はしない。死ぬ気でかかってこい」
康裕と世璋が対峙すると、守央は慌てて2人をなだめる。
「やめろ、2人共! 無闇に争ったって何も解決しないだろ!」
しかし、康裕と世璋は武器を下ろさず、争いを中断する素振りも見せなかった。
「時と場合によってはそうとも言い切れん。問題解決の手段として、争いが必要な場合もある。そして、今がそのときだ」
「守央、お前も抜け! もう、あいつに何を言ったって通じねぇ! やられる前にやるぞ!」
「チッ、やむを得ないか……」
守央は舌打ちすると、左右の手で腰の後ろから二本の釵を引き抜き、U字型の鉤の根元に左右の親指を添えて柄を握る。
「できれば、こういう事態は避けたかったんだがな」
守央が左足を1歩前に踏み出して夫婦手に構えると、世璋は険しい表情を見せた。
「さあ、今度はこっちの番だぜ! 守央、俺の動きに合わせろ!」
「ああ!」
守央と世璋が素早く康裕との間合いを詰めると、3人は様々な軌道でトンファーと刀、刀と釵を交え、あるいはそれぞれの攻撃を躱し合う。
世璋は右足を一歩前に踏み込むと、康裕の頭目掛けて右手のトンファーを右上から振り下ろした。
すると、康裕は刀でトンファーを受け止めながら左足を1歩前に踏み込み、柄頭を世璋の顔面に打ちつける。
世璋が倒れると、守央は右足を1歩前に踏み込み、康裕の頭目掛けて右手の釵を左上から振り下ろした。
その瞬間、康裕は刀で釵を受け止めると、右足を1歩前に踏み込みながら刀で釵を下へ押さえ込む。
「世璋、離れろ!」
守央の声を聞いた世璋はふと下に目を向けると、康裕が鯉口を切ったことに気づいてハッとした表情を浮かべた。
その瞬間、康裕は左足を一歩後ろに引き、右手で抜刀しながら世璋の右脇目掛けて左下から斬り上げる。
世璋は咄嗟に後ろへ飛び退いて康裕の斬撃を躱し、両手を地面についてしゃがむように着地した。
「くそっ!」
世璋が立ち上がると、守央は世璋に声を掛けた。
「大丈夫か、世璋!?」
「あの野郎、抜きやがったな! いいぜ、やってやるよ!」
世璋は左右の手で腰の後ろから二本のトンファーを引き抜くと、物打ちを左右の前腕に沿わせて柄を握る。
「てめぇがその気だってんなら容赦はしねぇぜ!?」
世璋が左足を1歩前に踏み出して夫婦手に構えると、康裕は両手で刀の柄を握り、正眼に構えた。
「ほう、その動き……ティーの心得があるようだな? いいだろう、こちらも手加減はしない。死ぬ気でかかってこい」
康裕と世璋が対峙すると、守央は慌てて2人をなだめる。
「やめろ、2人共! 無闇に争ったって何も解決しないだろ!」
しかし、康裕と世璋は武器を下ろさず、争いを中断する素振りも見せなかった。
「時と場合によってはそうとも言い切れん。問題解決の手段として、争いが必要な場合もある。そして、今がそのときだ」
「守央、お前も抜け! もう、あいつに何を言ったって通じねぇ! やられる前にやるぞ!」
「チッ、やむを得ないか……」
守央は舌打ちすると、左右の手で腰の後ろから二本の釵を引き抜き、U字型の鉤の根元に左右の親指を添えて柄を握る。
「できれば、こういう事態は避けたかったんだがな」
守央が左足を1歩前に踏み出して夫婦手に構えると、世璋は険しい表情を見せた。
「さあ、今度はこっちの番だぜ! 守央、俺の動きに合わせろ!」
「ああ!」
守央と世璋が素早く康裕との間合いを詰めると、3人は様々な軌道でトンファーと刀、刀と釵を交え、あるいはそれぞれの攻撃を躱し合う。
世璋は右足を一歩前に踏み込むと、康裕の頭目掛けて右手のトンファーを右上から振り下ろした。
すると、康裕は刀でトンファーを受け止めながら左足を1歩前に踏み込み、柄頭を世璋の顔面に打ちつける。
世璋が倒れると、守央は右足を1歩前に踏み込み、康裕の頭目掛けて右手の釵を左上から振り下ろした。
その瞬間、康裕は刀で釵を受け止めると、右足を1歩前に踏み込みながら刀で釵を下へ押さえ込む。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
神楽
モモん
ファンタジー
前世を引きずるような転生って、実際にはちょっと考えづらいと思うんですよね。
知識だけを引き継いだ転生と……、身体は女性で、心は男性。
つまり、今でいうトランスジェンダーってヤツですね。
時代背景は西暦800年頃で、和洋折衷のイメージですか。
中国では楊貴妃の時代で、西洋ではローマ帝国の頃。
日本は奈良時代。平城京の頃ですね。
奈良の大仏が建立され、蝦夷討伐や万葉集が編纂された時代になります。
まあ、架空の世界ですので、史実は関係ないですけどね。
おてんばプロレスの女神たち ~男子で、女子大生で、女子プロレスラーのジュリーという生き方~
ちひろ
青春
おてんば女子大学初の“男子の女子大生”ジュリー。憧れの大学生活では想定外のジレンマを抱えながらも、涼子先輩が立ち上げた女子プロレスごっこ団体・おてんばプロレスで開花し、地元のプロレスファン(特にオッさん連中!)をとりこに。青春派プロレスノベル「おてんばプロレスの女神たち」のアナザーストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
狩野岑信 元禄二刀流絵巻
仁獅寺永雪
歴史・時代
狩野岑信は、江戸中期の幕府御用絵師である。竹川町狩野家の次男に生まれながら、特に分家を許された上、父や兄を差し置いて江戸画壇の頂点となる狩野派総上席の地位を与えられた。さらに、狩野派最初の奥絵師ともなった。
特筆すべき代表作もないことから、従来、時の将軍に気に入られて出世しただけの男と見られてきた。
しかし、彼は、主君が将軍になったその年に死んでいるのである。これはどういうことなのか。
彼の特異な点は、「松本友盛」という主君から賜った別名(むしろ本名)があったことだ。この名前で、土圭之間詰め番士という武官職をも務めていた。
舞台は、赤穂事件のあった元禄時代、生類憐れみの令に支配された江戸の町。主人公は、様々な歴史上の事件や人物とも関りながら成長して行く。
これは、絵師と武士、二つの名前と二つの役職を持ち、張り巡らされた陰謀から主君を守り、遂に六代将軍に押し上げた謎の男・狩野岑信の一生を読み解く物語である。
投稿二作目、最後までお楽しみいただければ幸いです。

【完結】風天の虎 ――車丹波、北の関ヶ原
糸冬
歴史・時代
車丹波守斯忠。「猛虎」の諱で知られる戦国武将である。
慶長五年(一六〇〇年)二月、徳川家康が上杉征伐に向けて策動する中、斯忠は反徳川派の急先鋒として、主君・佐竹義宣から追放の憂き目に遭う。
しかし一念発起した斯忠は、異母弟にして養子の車善七郎と共に数百の手勢を集めて会津に乗り込み、上杉家の筆頭家老・直江兼続が指揮する「組外衆」に加わり働くことになる。
目指すは徳川家康の首級ただ一つ。
しかし、その思いとは裏腹に、最初に与えられた役目は神指城の普請場での土運びであった……。
その名と生き様から、「国民的映画の主人公のモデル」とも噂される男が身を投じた、「もう一つの関ヶ原」の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる