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第四章 求道

第四章 求道 24

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守央が口元に小さく笑みを浮かべると、守優は嬉々とした表情を見せる。

「ありがとうございます、父上!」

一方、美嘉と守善は申し訳なさそうに頭を下げた。

「ご心配をおかけして、申し訳ございませんでした」

「今後は僕たちも気を付けます」

守善と美嘉が反省の意を示すと、光永は両腕を組んで頷く。

「うむ。少々想定外の事態だったが、おかげで盗賊団についてより詳細な情報を得られたな」

光永と守央、世璋の3人は、用心棒たちに取り押さえられている盗賊たちに目を向けた。

「さて、我々の調査はひとまず終了としよう」

「まさか本当にこんな人通りの多い場所に盗賊が出没するとは、驚きましたね」

「けどよ、これで盗賊の連中は全員お巡りに引き渡されんだろ? だったら、今後しばらくは輸送隊も襲撃されずに済むんじゃねぇか?」

世璋がそう言うと、そこへ康正の父が息子と共にやって来る。

「その判断は早計だ。ここにいた盗賊の一部は、街外れの方角へ逃走している。小規模な残党とはいえ、輸送隊にとって脅威であることに変わりはないだろう」

康正の父が懐紙で刀に付着した血を拭うと、守央と世璋は康正の父を見てハッとした表情を浮かべた。

「お前は……!」

康裕こうゆうか!?」

世璋は茶化すような笑みを浮かべ、康正の父・康裕に駆け寄る。

「なんだよ、久し振りじゃねぇか! パッと見誰だかわかんなかったぜ! 眼鏡なんておしゃれなもん掛けやがって、この野郎!」

「これは遠視用だ。気安くさわるな」

康裕はぶっきらぼうな態度を見せながら、眼鏡を弄ろうとする世璋の手を軽く払い除けた。

守央は口元に小さく笑みを浮かべ、康裕と話し始める。
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