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第四章 求道

第四章 求道 20

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守優はしゃがんで盗賊の攻撃を躱すと、左手で盗賊の右足首を掴み、右手刀で盗賊の右膝を押した。

盗賊が仰向けに投げ倒されると、さらに守優は左脇に盗賊の右足首を抱え、両腕で盗賊の右踵骨腱しょうこつけん(右アキレス腱)を極めながら康正の方を振り向く。

「康正! 後ろだ!」

守優がそう叫ぶと、康正はしゃがんだままハッと目を見開き、背後を振り返った。

康正の目の前では、盗賊が鬼のような形相を浮かべ、打刀を頭上に振り上げている。

「死ねぇえええええっ!!」

盗賊が康正目掛けて真上から打刀を振り下ろすと、突然康正と盗賊の間に1人の男が割って入り、左手に持つ拵袋で盗賊の左手を受け止めた。

男は長い黒髪を後頭部で一つにまとめて垂らし、切れ長の目が印象的で、白いドレスシャツとライトブラウンのスリーピース・スーツ、丸眼鏡を身に着けている。拵袋は勝色を基調とし、唐獅子牡丹の文様が入っていた。

盗賊と康正は男の姿に目を向け、ハッとした表情を浮かべる。

「なっ……!?」

「ち、父上!」

康正から父と呼ばれたその男は、目の前の盗賊に鋭い眼差しを向けていた。

「フン、威勢がいい割には剣の扱いがなっていない。闇雲に腕力で振り回しているだけか。弱過ぎる。その程度の実力では、どんな業物を使ったところで宝の持ち腐れだ」

「な、なんだと……!?」

盗賊が両手で康正の父の左手を押さえ込もうとしていると、突然康正の父は右中段縦突きを盗賊の腹に食らわせる。

盗賊の体がくの字に曲がると、さらに康正の父は右掌底で盗賊の顎を突き上げた。

盗賊が仰向けに投げ倒されると、康正の父はすかさず盗賊の顔面に右踏み蹴りを食らわせた。

他の盗賊たちはその様子に目を向けながら、恐る恐る後退りし始める。

「ひいぃ……!」
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