KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

ジェド

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第四章 求道

第四章 求道 12

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同時刻、東村――

光永の屋敷の離れ家では、光永と守央、世璋の3人が、それぞれの席で事務をしていた。

世璋と守央はそれぞれ小筆を硯の上に置くと、和罫紙を手にして椅子から立ち上がる。

「旦那、聞き込みで得た情報は整理できたぜ。やっぱり被害が多いのは、首里、那覇、久米村、泊辺りの都会だな」

「特に、首里三箇と呼ばれる鳥小堀トゥンジュムイ、崎山、赤田の3村は、酒造所が集中してることもあって狙われやすいのかもしれませんね。真和志まわし間切でも被害が複数見られますが、いずれも首里や那覇、泊に近い地域です」

2人が和罫紙をそれぞれ光永に差し出すと、光永は小筆を硯の上に置いて和罫紙を受け取った。

「なるほど。つまり、首里の各酒造所は那覇や泊へ泡盛を輸送するにあたり、必ず近辺の村を経由することになる。その経路を先読みして、盗賊団は犯行に及んでいるというわけか」

光永が机の上に複数の和罫紙を広げると、世璋と守央もそれらの記載に目を向ける。

「にしても、マジで広範囲に出没してんだな。こんなんで安全な輸送経路なんて確保できんのかよ?」

「いつどこを通るにしても、盗賊団と遭遇する可能性は多少なりともあるな。せめて、盗賊団の行動に規則性があれば、少しでも遭遇を回避できそうだが……」

守央がそう言うと、光永は1枚の和罫紙を手に取った。

「規則性は一応あるぞ。最も古い事例でいえば、盗賊団は首里周辺に数日間出没したあと、今度は那覇周辺へ移動し、さらに泊周辺へ移動したのち、数日後には再び首里周辺まで移動している」

光永が和罫紙の記載を指差すと、守央と世璋もそこに目を向ける。

「ということは、この規則性に従って盗賊団の動きを予測すれば……」

「多少は安全な輸送経路も確保できるかもしれねぇな。最近の事例でいうと、盗賊団は首里周辺で輸送隊を襲撃しながら真和志間切を移動してる。次に出没するとしたら、那覇周辺だろうな」

2人が話している中、光永は再び和罫紙を机の上に置いた。

「念のため、真和志間切と那覇でも聞き込みをしよう。二手に分かれて調査すれば、夜までには終わるだろう。まずは、真和志間切へ向かうぞ」

光永は椅子から立ち上がり、背後のコートラックに掛けられた中折れ帽を手に取った。
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