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第四章 求道
第四章 求道 5
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同じ頃、琉球建築の人家が並ぶ住宅街は、人通りの少ない閑静な雰囲気に包まれていた。
そんな中、とある人家の一番座では、守優と守善、美嘉の3人がそれぞれ勉学に励んでいる。
守優と美嘉はそれぞれ小さな机の前に正座し、手本を見ながら半紙に写経をしていた。
守善も守優や美嘉と向かい合って正座し、小さな机の上に数学の問題集を広げて半紙に小筆を走らせている。
部屋の奥では、恵比寿顔の男が小さな机の前に正座し、守善たちを見守っていた。
男は耳まで覆う長い灰色のくせ毛が印象的で、鶯色の足首丈の着物と茶色の羽織、丸眼鏡を身に着けている。
しばらくすると、守優は小筆を硯の上に置き、足を崩した。
「あ~、写経ってめんどくせぇ~」
守優が気だるそうな様子を見せると、美嘉は守優の方を振り向いて呆れ顔を浮かべる。
「だらしないわねぇ。少しはじっとしてなさいよ」
「俺はじっとしてるのが嫌いなんだよ。大体、こんなことして将来なんの役に立つってんだ。出家して仏門に入るわけでもねぇのに……寛惇先生もそう思いませんか?」
寛惇と呼ばれた恵比寿顔の男は、特に表情を崩すこともなく守優と話し始めた。
「う~ん……それはとても難しい質問だね、守優君。けど、それと同時にいい質問でもある。確かに、学問がなんの役に立つか考えることはとても大事だね。しかし学問というものは、いつも実務的な知識ばかりをわたしたちに授けてくれるわけじゃない。写経もまさにそうだ。般若心経の書き写しなんかしたところで、わたしたちはお金持ちになれるわけじゃないし、お願いごとが一瞬で叶ったりするわけでもない。それでも、一見すると役立ちそうもないことをわたしたちが学ぶのは、教養を身に付けるためだね」
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部屋の奥では、恵比寿顔の男が小さな机の前に正座し、守善たちを見守っていた。
男は耳まで覆う長い灰色のくせ毛が印象的で、鶯色の足首丈の着物と茶色の羽織、丸眼鏡を身に着けている。
しばらくすると、守優は小筆を硯の上に置き、足を崩した。
「あ~、写経ってめんどくせぇ~」
守優が気だるそうな様子を見せると、美嘉は守優の方を振り向いて呆れ顔を浮かべる。
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