上 下
78 / 152
第四章 求道

第四章 求道 2

しおりを挟む
首里・赤田村あかたむら――

深夜、街には泡盛の製造所がいくつも建っており、煙突から煙を立ち昇らせていた。

そんな中、街の中心部から少し離れた人通りのない道では、馬方の男たちが様々な色や模様の着物と細帯を身に着け、3頭の琉球馬と共に歩いている。

三頭の馬は代赭色たいしゃいろの大きな甕をそれぞれ両脇に括り付けており、用心棒の男たちを随伴させていた。甕の表面には白文字で『時雨酒造』と縦書きされている。用心棒たちは一際屈強な体格をしており、様々な色や模様の上衣と細帯、長ズボン状の琉球袴を身に着けていた。

馬方たちは疲労感に苛まれた様子で、明かりの点いた提灯を手にしている。

「はぁ~……なんで、わざわざこんな夜中に泡盛運ばせたりするんだよ?」

「なんでも、依頼主の1人息子が嫁を貰ったらしくてな。祝宴が近いっていうんで、大量に泡盛を用意することになったんだとよ」

「それにしたって多過ぎだろ。こっちはそもそも酒を造るところからやってんだぞ。うちの事業規模と従業員数を考慮したら、普通こんなに注文してこねぇだろ」

「しかも明日の朝までに持って来いだなんて、無茶もいいとこだ。ホント、神様面した客ってのは扱いに困るぜ」

「こんなことなら手配師に頼んで、もう何人か馬方雇っておくんだったな。そうすれば多少楽に――」

馬方の1人がそう言い欠けると、突然薄暗い袋小路から若い盗賊の男が現れ、両手で六尺棒を振り上げながら馬方に向かって飛び掛かった。

「ハッハァ! 死ねや、おらぁ!!」

若い盗賊が不敵な笑みを浮かべながら馬方の頭に六尺棒を打ち込むと、馬方はその衝撃で後方へ弾き飛ばされた。

馬方が倒れると、他の馬方たちはそれに気づき、慌てて3頭の馬を止める。

「ど、どうした!?」

「おい、大丈夫か!?」

馬方たちが駆け付けると、倒れた馬方は顔をしかめて頭の傷から出血していた。

そこへ複数の人影が現れると、馬方たちはそれに気づいてハッとした表情を浮かべる。

「なっ……!?」

馬方たちの目の前に現れたのは、多数の盗賊の男たちだった。

盗賊たちは様々な色や模様の着物と細帯を身に着け、打刀や六尺棒、薙刀、唐棹、鎌などの武器を手にしている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

浅井長政は織田信長に忠誠を誓う

ピコサイクス
歴史・時代
1570年5月24日、織田信長は朝倉義景を攻めるため越後に侵攻した。その時浅井長政は婚姻関係の織田家か古くから関係ある朝倉家どちらの味方をするか迷っていた。

バーチャル女子高生

廣瀬純一
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...