KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

第三章 真意 後篇

第三章 真意 後篇 21

「とぼけるな。お前たちと松浦商会の間で何があったかは、こちらも聞いている。お前はあの少女を雇って松浦商会の事務所を襲撃し、松浦たちを拉致した。加えて、昨日の夜も松浦の部下たちを襲い、力尽くで自らの傘下に引き入れようとした。言い逃れはできんぞ。関係者から証言も取ってあるからな」

「証言だと……？」

村上は眉をひそめると、やがて不敵に笑いながら立ち上がった。

「ハッ！　さてはお前、松浦商会に雇われて俺を脅しにきたな？　だとしたら、残念だったな。悪いが俺は何も知らないし、お前と話してやる義理もない。とっとと俺の前から消えな」

「まだシラを切るつもりか？　確かに、お前たち村上商会が松浦たちを拉致したという決定的な証拠は、これまで挙がってこなかった。だが、今なら話は別だ」

「何が言いたいんだ、お前は？」

村上が光永を睨み付けると、光永は善良と真加を尻目に見る。

「あの少女だ。我々のこれまでの調査によれば、彼女は松浦たちを襲撃した張本人だ。実行犯ならば、松浦たちの行方を知っているだろう。ちょうど我々は別件であの少女を探していたのでな、見つけ次第彼女も保護する予定でいた。もし、どうしてもお前が口を割らないと言うのなら、彼女の口から真相を聞かせてもらおう」

「な、なんだと……？」

「さあ、どうする？　喋る気になったか？」

「チッ、汚きたねぇ真似しやがって……」

「汚い？　海賊崩れのお前に言われる筋合いはないな。お前は松浦たちを少女1人に襲撃させ、自分の手を汚すこと　なく松浦商会を手に入れようと目論んだ。だが、結局は飼い犬に手を噛まれ、今こうして散々に叩きのめされた挙げ句、今度は自分たちが壊滅の危機に瀕している。実に愚かだな。お前のような馬鹿には、ふさわしい末路だ」

「なんだと、この野郎……」

村上は額に青筋を立て、左手で光永の胸倉を掴み上げた。

「それ以上喋るんじゃねぇ！　このくそったれがぁあああっ！！」

村上は鬼のような形相を浮かべながら、光永の顔面目掛けて右拳を振り下ろす。

その瞬間、光永は左手で村上の右拳を左上へ受け流しながら掴み、右手で村上の左襟を掴んで大外刈おおそとがりを繰り出した。

村上が仰向けに刈り倒されると、光永はすかさず袈裟固めを繰り出し、村上を地面に押さえ込む。

「最後まで往生際の悪い奴だな。今さらもがいたところで状況が覆ることはない。無駄な抵抗はよせ」

「くっ……」

村上は顔をしかめると、やがてため息を吐いた。

「はぁ……わかった、もういい。あとはお前らの勝手にしやがれ、クズ共が」

村上は諦め顔を浮かべ、夜空に輝く無数の星々を見上げた。