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第三章 真意 後篇

第三章 真意 後篇 20

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真加が残心したまま息を荒らげていると、そこへ善良が駆け寄ってくる。

「真加!」

善良の声に気づいた真加は構えを解くと、安堵したような表情を浮かべて善良に駆け寄った。

「先生!」

真加は涙を流しながら、善良と互いに強く抱き締め合う。

「ごめんなさい、先生。勝手に家出したりして……わたし、先生に言われるまま型稽古ばかりしてるのが嫌だったんです。型なんか実戦じゃ役に立たない。組手をしないと強くなれないと思って……でも、あの時先生がわたしに組手をさせなかった理由、やっとわかりました。強くなるために型を稽古することが、どれだけ大事なことか……その大事な基礎を疎かにしてたわたしが、どれだけ未熟だったか……先生、本当にごめんなさい。これからは、ちゃんと型稽古頑張ります。だから……また、先生にティーを習ってもいいですか?」

「真加……」

善良はハッと目を見開くと、やがて口元に小さく笑みを浮かべた。

「もちろん、明日からでも稽古を再開しよう。それに、わたしも君がいなくなってからよく考えてみたんだ。今までのわたしの指導が、本当に真加のためになっていたのか……もしかしたら、君の才能をもて余すような稽古をしていたんじゃないかと……それで、わたしもようやく答えを出せた。君の言う通り、ティーは型稽古だけじゃなく対人稽古も必要なのかもしれない。わたしの方こそ、君を適切に指導できていなかった。本当にすまない。これからは組手稽古も増やしていこう。今の君でも大の男をこれだけ相手にできるんだ。もっと効果的な練習を積んでいけば、きっと君は今以上に強くなれるはずだ。まずは、変手の稽古を増やしていこう。型の意味を理解するためには変手が一番だとわたしは思うのだが、どうだろう?」

「先生……!」

真加はハッとした表情を浮かべると、涙を拭って満面の笑みを見せる。

「ありがとうございます、先生!」

真加がそう言うと、善良も満面の笑みを返した。

一方、光永は砂浜を歩き、村上の右手から弾き飛ばされた拳銃を拾い上げていた。

村上は目を覚まし、顔をしかめながら上体を起こす。

「いってて……くそっ、あのアマ……」

村上が鼻血を手で拭うと、光永は村上の前に現れて拳銃を懐に仕舞った。

「村上久だな? 松浦たちの行方について話がある。詳しく聞かせてもらおう」

光永が鋭い眼差しで村上を見下ろすと、村上は座ったまま光永を睨み返す。

「あ? なんだ、お前? いったい、なんの話だ?」
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