上 下
79 / 163
第三章 真意 後篇

第三章 真意 後篇 19

しおりを挟む
村上がそう叫ぶと、男達は善良に向かって一斉に襲い掛かった。

善良は舌打ちし、提灯を地面に置く。

「チッ……やはり、こうなるのか。ならばやむを得ん。無闇に拳を振るうのは不本意だが、少し痛い目に遭ってもらうぞ!」

善良は全速力で斜面を駆け降りると、男の1人の顔面に右飛び横蹴りを食らわせた。

男が仰向けに倒れると、善良は砂浜に着地し、様々な軌道を描く突きや蹴り、あるいは多彩な投げ技や関節技を繰り出して次々と他の男達を倒し始める。

男の1人は右足を1歩前に踏み込み、右手に握った短棒を善良目掛けて裏袈裟に振り下ろした。

善良は右手で男の右手を斜め右上へ受け流しながら掴むと、左上段肘打ちを男の顔面に食らわせる。

男が頭を仰け反らせると、さらに善良は両手で男の右手を逆手に掴み、大きく左へ振り回した。

男が仰向けに投げ倒されると、善良はすかさず右踏み蹴りを男の顔面に食らわせる。

別の男は右足を1歩前に踏み込み、右手に握った短棒を善良目掛けて袈裟に振り下ろした。

善良は両手で男の右手を左斜め上へ受け流しながら掴むと、一本背負投を繰り出す。

男が仰向けに投げ倒されると、善良はすかさず男の顔面に右正拳下段突きを食らわせた。

真加は立ち尽くし、善良と男達の戦いに目を向けている。

(これが、先生の強さの秘訣……1つひとつの技が、全部型の動きの応用になってる!)

真加がハッとした表情を浮かべる中、守善と美嘉、守央、世璋、光永、守優の6人も、善良と男達の戦いに目を向けていた。

「す、すごい……」

「あんな大勢の相手を、たった1人で……」

「まさか、長嶺さんがあれほど激しく戦う武人だったとは……」
しおりを挟む

処理中です...