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第三章 真意 後篇

第三章 真意 後篇 18

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「いた! あの女の子だ!」

「また誰かと乱闘してるみたいですね」

「相手は松浦商会の連中か?」

「いや、あれは村上商会だ。昨日の夜にも見かけた顔ぶれがいる」

「仲間割れってことか。何があったのか知らねぇが、とりあえず制圧して話聞いてみようぜ」

「要するにあいつら全員ぶっ倒せばいいんだな? よっしゃあ! やってやるぜ!」

守優たちが真加と男たちに向かって走り出そうとすると、突然斜面を登った先から善良の声が聞こえてくる。

「そこまでだ!!」

善良の声が砂浜に響き渡ると、守優たちは足を止めて斜面を登った先に目を向けた。

真加と男たちも斜面を登った先に視線を向けると、そこには善良が立っていた。

善良は明かりの点いた提灯を手にしており、村上と男たちに鋭い眼差しを向ける。

「もうやめろ、お前たち!! 真加を傷つけることは、このわたしが許さん!! それ以上、彼女に手を出すな!!」

善良が怒りを露にすると、真加はハッと目を見開いた。

「せ、先生!」

一方、村上は善良を睨み付けながら、不機嫌そうな表情を浮かべる。

「なんだ、お前は!? 俺たちの邪魔をするつもりか!? 部外者はすっ込んでろ!!」

「その子は私の大切な弟子だ! 今すぐ解放しろ!」

「フン、弟子だと?」

村上は一瞬眉をひそめると、やがて口元に不気味な笑みを浮かべた。

「そうか! この小娘に武術を教えたのは、お前だな!? なるほど、それでここへ来たというわけか! だが、これは俺と小娘の問題だ! どうしても俺たちの邪魔をするというなら、先にお前から始末してやる!」

村上は険しい表情を浮かべると、男たちの方を振り向く。

「おい、さっさとあいつを叩きのめしてこい! 相手は1人だ! 全員でかかれぇ!」
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