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第三章 真意 後篇

第三章 真意 後篇 16

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守央は守善と話を続ける。

「きのうも見た通り、相手は堅気の連中じゃない。しつこいようだが、くれぐれも無茶な真似はしないでくれ」

「はい、気を付けます」

さらに、今度は光永が守善と話し始めた。

「それで、君たちが通ってきた場所にあの少女らしき者はいたか?」

「いえ。僕たちは、きのうあの子とすれ違った道を歩いてきたんですが、それらしい姿は見かけなくて……」

「ふむ、そうか」

光永が左手を顎に当てると、世璋は再び守央と話し始める。

「長嶺の旦那の弟子は、松浦商会の連中を狙ってんだよな? あいつらがいそうな店にでも当たってみるか?」

「それも1つの手だな。ほかにも長嶺さんの弟子が通った場所があれば、そこも調べて――」

守央がそう言い欠けると、突然美嘉は表情を明るくした。

「あっ、そうだ! ねぇ、守善様。きのうあの子がいた砂浜はどうですか? もしかしたら、今日もいたりして……?」

「どうかな? あんな人通りのない所にわざわざ1人で行ったりなんてしないんじゃ……」

守善と美嘉が話していると、光永と世璋、守央の3人は口を挟んだ。

「いや、あり得るかもしれん。確かに、昨日はあの少女も成り行きで海岸に来たのかもしれんが、あそこなら誰かに犯行を目撃される可能性も低い」

「じゃあ、とりあえず砂浜まで行ってみるか」

「ああ、そうしよう」

守央たちが話をまとめると、守優は口元に不敵な笑みを浮かべた。

「よっしゃあ! ぜってぇあいつを見つけて、今度こそ決着つけてやるぜ!」

守優が駆け出すと、美嘉もそれに気づいて走り出す。

「あっ! 待ちなさいよ、守優!」

美嘉が守優の後を追い始めると、守善と守央、世璋、光永の4人も駆け出し、道の彼方へと走り去っていった。
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