上 下
75 / 163
第三章 真意 後篇

第三章 真意 後篇 15

しおりを挟む
辻村――

夜、街の中心部では多くの人々が通りを行き交い、賑わいを見せていた。

そんな中、世璋と守央、光永の3人は、辺りを見回しながら道を歩いている。

「それにしても長嶺の旦那、どこ行っちまったんだ?」

「お前が長嶺さんの家まで行った時には、もう留守だったんだろ? 間が悪かったなら仕方ない。今回は俺たちだけでなんとかしよう」

「あの少女の行方は、既に掴んだも同然だ。まずは今夜中に彼女の身柄を確保し、松浦たちの行方を聴取しよう。あの少女も松浦たちへの襲撃に関与しているなら、何か手掛かりとなる情報を知っているはずだ」

光永がそう言うと、世璋は辟易とした表情を浮かべた。

「あ~、そうだった。松浦たちも探さねぇといけねぇんだったな。俺たち3人だけで2件も同時に人探しさせるなんて、勘弁して欲しいぜ。せめて、また手伝ってくれる奴でもいれば――」

世璋がそう言い欠けると、突然彼らの遠く前方から守善の声が聞こえてきた。

「世璋さん! 父上!」

そう呼ばれた世璋と守央が立ち止まると、道の遠くから守善と守優、美嘉の3人が走って来た。

彼らがやって来ると、世璋と守央は目を丸くして守善と話し始めた。

「お前ら!」

「なんでここに……!?」

「世璋さん、父上。勝手に美嘉と守優を連れ出してすみません。けど、あの女流武術家をまた探さなきゃいけないって聞いて、僕たちにもまた手伝えることがないかと思って……」

守善が申し訳なさそうな様子を見せると、世璋は安堵したように小さく笑みを浮かべた。

「なんだ、そういうことだったのか。それならちょうどよかったぜ。俺たちも今探してるところだからよ、ついでに手伝ってくれ。いいよな、守央?」

「あ、ああ。俺も別に構わないが……」
しおりを挟む

処理中です...