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第三章 真意 後篇

第三章 真意 後篇 9

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首里・山川村――

夕方、善良の家には二番座と呼ばれる畳敷の仏間があり、善良が仏壇の前に正座していた。

(昨夜真加と共にいたあの男達は、いったい何者なんだろうか? 雰囲気からして、ただの堅気とは思えない。真加はあの男達とどういう関係にある? あの男達に脅されて、何かの悪行に加担させられているのか? もしそうだとすれば、あの子は武術家の道どころか人の道すら外れてしまう。今の私は、本当にただこうしてじっとしているだけでいいのか?)

善良は険しい表情を浮かべて立ち上がる。

「いや、駄目だ! 私が弱気になってどうする!? 弟子が道を踏み外したならば、それを正すのも師の務め……私にも何か出来ることがあるはずだ!」

善良は自らに強く言い聞かせると、二番座の腰付障子を開けて縁側に立った。

(待っていてくれ、真加! 必ず私がお前を救ってみせる!)

善良は縁側に腰掛けると、沓脱ぎ石の上で草鞋を履き始めた。
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