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第二章 真意 前篇

第二章 真意 前篇 27

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一方、街外れの砂浜では、守優と少女の間で激しい戦いが続いていた。

少女が左右の廻し蹴りや飛び廻し蹴り、横蹴り、後ろ廻し蹴り、前蹴りを連続で繰り出すと、守優は左右の腕と脚で少女の蹴りを受け流し、あるいはかわしながら徐々に後ろへ下がっていく。

少女は左足を1歩前に踏み込むと、守優の腹目掛けて右中段前蹴りを放った。

すると、守優は左腕で少女の蹴りを左へ受け流しながら掬い上げ、右足を1歩前に踏み込んで右上段掌底打ちを少女の顎に食らわせた。

少女は後方へ弾き飛ばされると、地面を転がりながら素早く立ち上がり、再び両腕を下げたまま左足を1歩前に踏み出して構える。

守優は少女に向かって突進すると、左右の前蹴りや正拳突き、廻し蹴りを連続で繰り出した。

少女は左右の腕と脚で守優の攻撃を受け流し、あるいはかわしながら徐々に後ろへ下がっていく。

守優は左足を1歩前に踏み込むと、少女の腹目掛けて右中段前蹴りを繰り出した。

その瞬間、少女は左腕で守優の蹴りを右へ受け流し、右中段背刀打ちを守優の腹に食らわせた。

守優は後方へ弾き飛ばされると、地面を転がりながら素早く立ち上がる。

「ヘヘッ、今のは結構びっくりしたぜ。お前、投げ技も使えるんだな」

守優が左足を1歩前に踏み出して再び夫婦手に構えると、少女も両腕を下げたまま左足を1歩前に踏み出して構えた。

少女は瞳孔の開いた不気味な眼差しで守優を見据えながら、草鞋で砂浜を踏み締める。

そして、少女が左足を1歩前に踏み込もうとした瞬間、斜面の方から善良の声が聞こえてきた。

「真加!」

善良の声を聞いた少女は咄嗟に動きを止め、ハッとした表情を浮かべながら斜面の方を振り向く。

斜面から砂浜へと駆け下りて来たのは、善良と守善、美嘉、守央、世璋、光永の6人だった。

守優と少女が戦いを中断すると、そこへ善良達が駆け寄る。

「真加!」

真加と呼ばれた少女は善良の姿に目を向け、散大していた瞳を収縮させた。

「せ、先生……」

真加が可憐な声で沈黙を破ると、今度は斜面の方から村上の声が聞こえてくる。

「おい、お前! 撤退するぞ!」

村上の声を聞いた真加は、再びハッとした表情を浮かべて斜面の方を振り向いた。

斜面を登った先には、男達を引き連れた村上が立っている。

「仕事は終わりだ! そいつらのことはもういい! 早くしろ!」

村上が真加に向かってそう言うと、真加は不安そうな表情を浮かべた。

真加が走り出そうとすると、守優は真加の背中に向かって声を掛ける。

「待てよ、お前!」

そう言われた真加が立ち止まり、守優達の方を振り返ると、守優は真加に鋭い眼差しを向けていた。
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