KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

第二章 真意 前篇

第二章 真意 前篇 23

「どうしたの！？」

「美嘉、兄上！　あそこにあいつが……！」

守優が男たちと少女の方を指差すと、それを見た美嘉と守善は眉をひそめた。

「あれって、カキダミシ？」

「には見えないけど、こんな所で何してるんだろう？ あっちの男の人たちもさっき僕らとすれ違ったし、あの女の子と何か関係があるのかな……？」

守善たち3人が男たちと少女に目を向けていると、男たちは身構えながら少女に向かって怒号を響かせた。

「て、てめぇ！！　村上商会に雇われて、俺たちを潰しに来たんだな！？」

「松浦さんたちをどこへやりやがった！？」

「なんで、てめぇみてぇな小娘が村上に肩入れなんてしてやがるんだ！？　ああ！？」

「なんとか言えや、ゴラァ！！」

「答えろっつってんのが聞こえねぇのか、このくそアマァ！！」

男たちが激昂するも、少女は無表情のまま沈黙を守る。

少女が瞳孔の開いた不気味な眼差しを男たちに向けていると、男の1人は舌打ちをした。

「チッ、意地でも答えねぇつもりか！　だったら、こっちにも考えがあるぜ！　どの道俺たちだって、てめぇら村上商会からコソコソ逃げ回るのはもううんざりしてんだ！　今からてめぇをこの場で叩きのめして、松浦さんたちの居場所を力ずくで吐かせてやる！　覚悟しやがれ、くそアマァアアアアッ！！」

5人の男たちが少女の顔面目掛けて一斉に拳を振り下ろすと、少女は男たちの攻撃を左右の腕で受け流し、あるいは躱しながら、様々な軌道の突きや蹴りを放って男たちを打ち倒していく。

美嘉と守善は激しい乱闘に目を向け、額に冷や汗を浮かべる。

「な、何！？　どうなってるの！？」

「わからないけど、カキダミシっていうよりは喧嘩になってるみたいだ！　とにかく、父上と世璋さんを呼ばないと……！」

守善がそう答えると、守優は驚喜しながら意気込んだ。

「すげぇ！　あいつ、1人で5人も相手にしてるぞ！　自分たちだけ楽しみやがって、ずるい奴等だぜ！　俺も混ぜろぉおおおおっ！！」

守優が全速力で草地の斜面を駆け下りると、美嘉と守善はそれに気づいた。

「えっ！？　ちょっと、守優！？」

「守優、1人じゃ危険だ！　行かない方が――」

守善がそう言い欠ける中、守優は男たちと少女目掛けて全速力で砂浜を走り出す。

守善は守優の背中に目を向けながら、険しい表情を浮かべた。

「くそっ、このままじゃまずい……！　美嘉、僕は父上と世璋さんを呼んで来る！　それまで守優のこと見といて！」

「わ、わかりました！」