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第二章 真意 前篇

第二章 真意 前篇 19

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西村――

夕方、松浦たちが幽閉されている町屋には、畳敷の部屋がもう1つあった。

部屋の中では、数日前の夜に松浦たちを襲った少女が正座して黙想に耽っている。

すると、突然部屋の襖が開いて村上が現れた。

「おい、次の仕事だ」

村上がそう言うと、少女は無表情で正座したまま目を開け、瞳孔の開いた瞳を村上に向けた。

村上は特に少女の様子を気にすることもなく、言葉を続ける。

「これから俺たちは辻へ出て、松浦商会の連中を探し出す。もし奴等が俺たちの要求に従わなければ、ここへ連れて来る。またお前の力で存分に奴等を叩きのめしてやれ。行くぞ」

村上が顎をしゃくると、少女は立ち上がって部屋を出て行った。
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