KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

第二章 真意 前篇

第二章 真意 前篇 16

「長嶺の旦那なら娘の顔がわかるし、可愛い弟子が心配でいても立ってもいられねぇはずだ。あと、ほかに手伝ってくれそうな奴は……っと、ちょうどあいつらが帰ってきたな」

世璋が守央と共に立ち止まると、そこへ守優と美嘉、守善の3人がやって来た。

守優は縦縞模様の入った藍色、美嘉は牡丹の花模様の入った白、守善は絣模様の入った生成色の風呂敷をそれぞれ背負っている。

「父上、世璋さん！」

「ただいま私塾から戻りました」

「今日は寛惇かんじゅん先生が夕方からご予定があるそうで、授業も少し早く終わりました」

守善がそう言うと、守央と世璋は守善たちと話を続ける。

「そうか、寛惇先生も相変わらず忙しそうだな」

「こっちは仕事が少し厄介なことになっちまってな。一五歳の女流武術家を辻で探さねぇといけねぇんだが、お前らも今夜暇なら手伝ってくれねぇか？　その女流武術家もカキダミシの相手探してるみてぇだからよ。もし見つけたら、そいつにカキダミシ吹っ掛けてもいいぜ」

世璋が口元に不敵な笑みを浮かべると、守央は慌てて口を挟んだ。