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第二章 真意 前篇

第二章 真意 前篇 3

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少女は松浦たちの攻撃を左右の腕で受け流し、あるいは躱しながら、様々な軌道を描く突きや蹴りを放って松浦たちを打ち倒していく。

やがて、2人の男たちも畳の上に倒れると、松浦は座ったまま部屋の奥まで後退り、怯えた表情を浮かべた。

「ひぃっ……! や、やめてくれ……! 頼む……! い、命だけは……!」

松浦が命乞いすると、少女は左手で松浦の胸倉を掴み上げ、不気味な眼差しで松浦の顔を見据えた。

松浦は唇を震わせ、ますます怯えた様子を見せる。

「あがっ……! た、助けてくれ……! か、金が欲しいなら……いくらでもくれてやる……! だ、だから――」

松浦がそう言い欠けると、別の男が部屋に足を踏み入れた。

男は短い黒髪と狐のような切れ長の目、細面が印象的で、縹色の着物と同色の細帯を身に着けている。

「そうやって命乞いをしてきた俺の仲間たちを、お前は何人痛めつけてきたか覚えてるか、松浦?」

狐顔の男は口元に不敵な笑みを浮かべ、様々な色や模様の着物と細帯を身に着けた男たちを引き連れていた。

松浦は狐顔の男に目を向けた瞬間、ハッとした表情を浮かべる。

「む、村上むらかみ……!?」

「久し振りだな。元気そうで何よりだぜ」

「て、てめぇ! なんでここに……!?」

「なんでもくそもあるもんかよ。お前の部下が俺の大事な仲間たちをさぞかし可愛がってくれたって聞いたもんでな、挨拶に来てやったんだよ」

「な……なんだと、てめぇ! よくもそんな口聞けたもんだな! 大体、一番最初に俺たちの縄張りを荒らしたのは、てめぇらだろうが!」

「ハッ! 何とぼけたこと抜かしてんだ、この能なしが! あの海域は40年前に俺の先祖が縄張りにし始めてから、今日までずっと俺たち村上商会のもんだってのが周知の事実なんだよ!」

「ふざけんな、この野郎! てめぇんとこがあの海域でシノギ始めたのは、もっとあとだろうが! 何が周知の事実だ! てめぇらだけで勝手に決めつけんじゃねぇ!」

「チッ……話が通じねぇのか、このアホは? まあいい。どの道、お前らはもう終わりだ。これで松浦商会は廃業も同然。お前らのシノギは俺たちが継いでやるから安心しな」

「村上ぃ、てめぇ……!」

松浦は憎悪に満ちた眼差しで、村上と呼ばれた狐顔の男を睨みつける。

村上は彼の背後に控えている男たちに指示を出した。
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