KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

ジェド

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第一章 初戦

第一章 初戦 21

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しばらくの後、守優たち5人はとある人家の前に立っていた。

母屋と庭は石垣に囲まれており、部屋の明かりが障子を通して縁側を淡く照らしている。

そんな家の門の前では、世璋と守央が立ち話をしていた。

「はぁ~、明日も仕事か。めんどくせぇな」

「明日は午前中から光永さんと西村に行くぞ」

「おっ、久々に3人で外出か。じゃあ、光永の旦那にうまい昼飯でも奢ってもらおうぜ。また明日な」

「ああ」

守央と世璋がそう話す中、守善と守優、美嘉の3人も話をしている。

「じゃあね、美嘉」

「また明日な」

「うん。また明日」

美嘉が世璋と共に道の彼方へ歩き去っていくと、守央と守優、守善の3人は、家の門をくぐって母屋の庇の下までやって来た。

守善と守優は、沓脱ぎ石の上で草鞋を脱ぎ始める。

『ただいま戻りました!』

すると、畳敷の三番座(居間)の腰付障子が開き、一人の女が姿を現した。

女は、中分けの長い黒髪を肩の後ろで一つにまとめて垂らしている。大きく穏やかな目が若々しい雰囲気を感じさせ、桃色の足首丈の着物と同色の細帯を身に着けていた。

「あら、2人共。お帰りなさい。もうお夕飯の時間だから、先に着替えて待ってなさい」

『はい、母上』

守優と守善は、縁側に置かれた桶の水と手拭いで両足の土埃を洗い落とすと、裸足で三番座の中へと入っていった。

守央が沓脱ぎ石の上で草鞋を脱ぎ始めると、女は守央と話を続ける。

「お帰りなさい、あなた」

「ただいま、美戸みと。帰りが遅くなってすまない」

「いいえ、お気になさらないでください。それにしても、守善と守優はいったいどこまで行っていたんでしょう? あんなに着物を汚して……」

「世璋と美嘉と一緒に辻でカキダミシをさせてきたんだが、清栄たちに相手を頼んだら随分と白熱してな」

「まあ、カキダミシ? しかも、世璋様と美嘉ちゃんまで……どうして、あんな遊廓で……?」

美戸と呼ばれた女が少々驚いた様子を見せると、守央は桶の水と手拭いで両足の土埃を洗い落とす。

「辻はカキダミシの名所だ。ティーの修業の一環として、守善と守優にカキダミシを経験させるのもいいと思ってな」

「そうですか、ティーの修業で……けど、やっぱり少し心配です。あんな子ども2人で遊廓に行くなんて……」

「あの2人はもう元服してる。自分の面倒は自分で見られるだろう。親の俺たちがいつまでも子ども扱いしてたら、あいつらだって気の毒だ」

「そういうものなんでしょうか?」

「もちろん、美戸の気持ちもわかる。俺だってまったく心配してないわけじゃない。親心っていうのは難しいな。けど、今はあいつらの成長を見守ってやるのもいいんじゃないか? それもきっと親の務めだ」

「あなた……」

美戸は口元に小さく笑みを浮かべた。

「そうですね。私も、あの子たちを信じないといけませんね」

美戸がそう言うと、守央は桶と手拭いを持ちながら裸足で縁側に立つ。

「さて、飯にするか。あいつらも腹空かしてるだろうし、早く行ってやらないとな」

「フフッ、そうですね」

美戸と守央は縁側を歩き、三番座へと入っていった。
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