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第一章 初戦

第一章 初戦 26

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清栄が頭を仰け反らせると、さらに守優は左右の正拳突きや回し突き、上げ突き、裏突き、縦突きを連続で繰り出した。

清栄は体勢を立て直すと、左右の腕で守優の攻撃を受け流し、あるいはかわしながら徐々に後ろへ下がっていく。

(こいつの連続攻撃は一見すると厄介だが、最後の1発に付け入る隙がある。次にこいつが左足を踏み込んだら、もう一度俺の拳を食らわせてやるぜ!)

清栄が口元に不敵な笑みを浮かべると、守優は左足を1歩前に踏み込み、右正拳上段逆突きを繰り出した。

清栄はカッと目を見開く。

(来た!)

清栄は右手で守優の右拳を左へ受け流し、左足で守優の左足首の内側を払った。

守優がよろめくと、清栄は守優の顔面目掛けて左正拳上段刻み突きを繰り出す。

(これで終わりだ!)

その瞬間、守優は体勢を立て直すと、右手で清栄の左拳を右へ受け流しながら掴み、左背刀打ちを清栄の右側頭部に食らわせた。

清栄は体勢を崩し、ハッとした表情を浮かべながら地面に倒れていく。

(何……!?)

清栄が倒れると、守優はすかさず左正拳下段突きを清栄の顔面に寸止めで放ち、すぐに左拳を引いて残心した。

美嘉と守善はその様子に目を向け、額に冷や汗を滲ませる。

「すごい! あの速い突きを受け流したの!?」

「セイユンチン(制引戦)の応用技か。守優の一番得意な型だけど、まさか本当に実戦で使うなんて……けど、これで守優の勝ちだね」

「やったぁ!」

美嘉と守善が嬉々とした笑みを浮かべると、世璋は守優と清栄の所へやって来た。

「よし、勝負ありだな。いい戦い見させてもらったぜ」

さらに、そこへ美那古と幸允も駆けつけ、清栄に手を貸す。
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