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第一章 初戦

第一章 初戦 23

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「すげぇ、攻撃がさっきより速くなってやがる!」

「勝負を決めるつもりかもしれないね」

一方、清栄と幸允は嬉々とした表情を浮かべている。

「いいぞ、美那古! さすがは俺の妹だぜ!」

「そのまま押し切れ、美那古!」

清栄と幸允がそう言うと、美那古は左足を1歩前に踏み込み、美嘉の左側頭部目掛けて右上段廻し蹴りを繰り出した。

すると、美嘉は左腕で美那古の蹴りを防ぎながら両手で美那古の体を掴み、右中段膝蹴りを美那古の腹に食らわせる。

美那古の体がくの字に曲がると、さらに美嘉は左腕を美那古の右脇の下に通し、両手で美那古の体を引き込んだ。

美那古が仰向けに投げ倒されると、美嘉はすかさず右正拳下段突きを美那古の顔面に寸止めで放ち、すぐに右拳を引いて残心する。

美那古はしばらく呆気にとられたまま美嘉を見上げていたが、やがて潔く自らの敗北を認めた。

「ま、参りました……」

2人の戦いに決着がつくと、そこへ守央がやって来る。

「よし、それまで。2人共、いいカキダミシだったぞ」

守央が口元に小さく笑みを浮かべると、守優と守善は嬉しそうな笑みを見せた。

「よっしゃあ! 兄上に続いて美嘉も勝ったぜ!」

「美嘉も技が上達して、ますます強くなったね。これも、普段から世璋さんや英典さんと稽古してるおかげかな」

一方、幸允と清栄は感心した様子を見せる。

「惜しかったな。美那古にも勝機はあったと思うんだが、あの美嘉って小娘も大したもんだぜ」

「ああ。俺達も見たことが無いような技を、相当多く身に付けてるな。勝敗はどうあれ、美那古はよく戦ったぜ。次は俺の番だ。ここはせめて俺一人ぐらいは勝っておかねぇと、格好がつかねぇよなぁ?」

清栄は口元に不敵な笑みを浮かべた。
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