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第一章 初戦

第一章 初戦 17

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守善が左手で幸允の左拳を右へ受け流すと、さらに幸允は左右の廻し蹴りや正拳突き、裏廻し蹴りを連続で繰り出した。

守善は幸允の攻撃を左右の腕と脚で受け流し、あるいはかわしながら徐々に後ろへ下がっていく。

幸允は右足を1歩前に踏み込み、守善の顔面目掛けて左正拳上段逆突きを繰り出した。

すると、守善は右手で幸允の左拳を左へ受け流し、右上段後ろ廻し蹴りを放つ。

幸允は右腕で守善の蹴りを防ぐと、左肩からの体当たりを守善に食らわせた。

守善が仰向けに倒れると、幸允はすかさず守善に向かって右正拳下段突きを放とうとする。

その瞬間、守善は両足で幸允の腹を蹴り、幸允から間合いを取るように横転して立ち上がった。

守善は左足を1歩前に踏み出すと、左拳を胸の高さ、右拳をみぞおちの高さにそれぞれ構える。

それは琉球王国時代から一般的な空手の構えとして知られてきた、夫婦手ミートゥディーの構えと呼ばれるものだった。

(すごい力だ。おまけに動きも俊敏で隙が無い。正攻法で戦っても勝ち目は無いだろうし、もっと戦術を工夫しないと……)

守善は幸允に向かって突進すると、左右の廻し蹴りや横蹴り、正拳突きを連続で繰り出した。

幸允は左右の腕と脚で守善の攻撃を受け流し、あるいはかわしながら徐々に後ろへ下がっていく。

守善は左足を1歩前に踏み込むと、幸允の顔面目掛けて右正拳上段逆突きを繰り出した。

すると、幸允は左手で守善の右拳を左へ受け流しながら掴み、右腕を守善の左脇の下に通して大腰おおごしを繰り出した。

守善が仰向けに投げ倒されると、幸允はすかさず守善の顔面に向かって右正拳下段突きを放つ。
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