KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

ジェド

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第一章 初戦

第一章 初戦 9

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「そのカキダミシの相手を探す場所として昔から有名なのが、辻村だ。本部朝基もとぶちょうきっつー武術家の話、お前らも少しは聞いたことあるだろ?」

世璋の言葉を聞くと、守優は嬉々とした表情を浮かべた。

「知ってます! 本部御殿うどぅん猿御前サーラーウメーとか、本部のサールーとか呼ばれてる王族出身の武術家ですよね!? 辻で夜な夜なつえぇ奴等と勝負しまくって連戦連勝してるって話、聞いたことありますよ!」

守優がそう言うと、守央と世璋はさらに話を続ける。

「ああ。今や子どもから大人まで誰もがその武名を知ってるが、それも本部朝基がカキダミシで実力を示してきた結果だ。型稽古を重視する武人達から顰蹙を買うこともあるが、カキダミシは単に勝ち負けを決めるだけの試合じゃない。ティーの修業として、自分の力量を図りながら相手の技を学ぶための重要な鍛練でもある。強い武人として大成するためには、豊富な実戦経験が必要不可欠だ」

「つーわけで、今から辻へ行ってカキダミシの相手を探すぞ。さっき守央も言った通り、カキダミシは立派なティーの修業だ。本部の猿みてぇに強くなりてぇなら、カキダミシは積極的にやっておいた方がいい。どうしても嫌だってんなら無理強いはしねぇが、普段の修業じゃ味わえねぇ緊張感と面白さがカキダミシにはあるぜ。さあ、どうする?」

世璋が口元に不敵な笑みを浮かべると、守優は意気軒昂とした様子を見せた。

「俺、やります! カキダミシ、なんか面白そうじゃねぇか! 美嘉、お前もやるだろ!?」

「ま……まあ、あたしもちょっと興味あるし、試しに1回ぐらいならやってみてもいいけど……」

「よし、そうこなくっちゃな! 兄上はどうします!?」

「もちろん、僕もやるよ。ほかの武術家と手合わせできる機会は滅多にないし、面白そうだね」

守善が口元に小さく笑みを浮かべると、守央と世璋は不敵な笑みを見せ、互いに顔を見合わせる。

「決まりだな」

「ああ、早速行こう。善は急げだ」

世璋達5人は家の門をくぐると、目の前を横切る道を右に曲がって歩き出した。

守優と美嘉、守善の3人は、守央と世璋の後をついて歩く。

「よっしゃあ! やってやるぜ!」

「あんまり調子に乗って油断しないでよ、守優?」

「アハハッ、守優はいつも通りだね。こんなときでも緊張しないでいられるなんて、羨ましいよ」

守善達は淡い夕陽に照らし出されながら、住宅街の道の彼方へと歩き去っていった。
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