KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

ジェド

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第一章 初戦

第一章 初戦 8

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「守優と守善にとっても、英典がいい練習相手になるといいな。世璋、今度またみんなで集まって合同稽古でもしよう。俺たちのティーは両方とも那覇手の系統だが、技や形に相当な違いがある。技術交流を深めれば、その分お互いに得るものも多いんじゃないか?」

「ああ。最後に俺たちで合同稽古したのは、随分前だしな。けどよ、せっかくなら俺たちだけじゃなくて、もっといろんな奴等とも技術交流したくねぇか? ティーの系統が違えば当然形も技も違うが、俺たちみてぇに同系統のティーを修業しててもこれだけ技が違うんだぜ? 気心が知れた身内同士で仲良く稽古するのもいいけどよ、ほかの連中とイリクミ(自由組手)でもやって戦術の研究するってのもいいと思わねぇか?」

「イリクミか。確かに、イリクミなら相手と自由に技を掛け合う中で、実戦に必要な駆け引きも学べるな」

「だろ? たまには、美嘉と英典にも普段と違う修業させてぇと思ってたしよ。なあ、守央。誰かお前の知り合いで、ほかにイリクミの相手してくれそうな奴は心当たりねぇか?」

「それなら、1ついい方法がある。カキダミシだ。いろんな相手とイリクミがしたいなら、これが一番手軽だぞ」

守央が口元に不敵な笑みを浮かべると、英典は突然顔を青ざめさせた。

(か、カキダミシ……!? それって確か、武術家同士が腕を試し合う実戦のことでは……? 美嘉殿相手でも力及ばない自分が、ほかの強い武術家とまともな勝負などできるわけが……)

英典の表情が固まる中、世璋も口元に不敵な笑みを浮かべる。

「なるほどな、カキダミシか。最近やってなかったせいで、その手があったのもすっかり忘れてたぜ。よし……じゃあ、早速今夜みんなで辻に出掛けるとするか。おい、英典。よかったら、お前も一緒に――」

世璋がそう言い欠けると、英典はすでに背中を向けてその場から走り出していた。

「世璋先生!! 自分、家の用事を思い出しましたゆえ、お先に失礼いたします!!」

「お、おう……」

世璋が呆気に取られている中、英典は後ろも振り返らずに猛然と走り去っていった。

守優と美嘉、守善の3人は英典を見送る。

「どうかしたのか、英典のあんちゃん?」

「さ、さあ……?」

「すごい勢いで走っていったね」

守善達は再び守央と世璋の方を振り向いた。

「父上、世璋さん。カキダミシって、いったいどういうものなんですか? 噂で少し聞いたことはあるんですが、あまりよく知らなくて……」

「カキダミシはティーの組手試合だ。立会人の前で対戦者同士が自由に技を掛け合い、ある程度勝負が着いたところで試合が終わる……勝ち負けのあるイリクミだと思えばいい」
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