KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

ジェド

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第一章 初戦

第一章 初戦 3

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「おい! 何しやがんだ、このガキ!」

それに気づいた守央と世璋は、他の客達と共に茶屋の出入り口の方に目を向けた。

「なんだ?」

「揉め事みてぇだな。行ってみようぜ」

「ああ」

守央と世璋は土間で草鞋を履き、他の客たちと共に外へ出ると、茶屋の出入り口に面した通りで人だかりを目の当たりにする。

「随分と人が集まってるな」

「ここだとよく見えねぇし、もうちょっと前に行ってみねぇか?」

世璋が群衆の隙間から通りの様子を覗こうとしていると、そこへ2人の少年がやって来た。

少年の一人は少し体格が小さく、短い黒髪と大きな三白眼が快活な雰囲気を感じさせ、赤い上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けている。

「父上、世璋さん!」

一方、もう一人の少年は少し背が高く、短い黒髪と大きく穏やかな目が印象的で、青い上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けていた。

「どうされたんですか、こんな所で?」

2人の少年に話し掛けられると、世璋と守央はそちらを振り向く。

「おう、守優しゅう守善しゅぜんじゃねぇか。奇遇だな」

「俺たちは仕事の合間に一息ついてたところだったんだが……2人こそ、東村まで来るなんて珍しいな」

守央がそう言うと、守優と呼ばれた少し小柄な少年は苦笑いを浮かべた。

「#今日__きょう__は兄上と一緒に闘鶏を見に行ってたんですけど、帰る途中ここを通ったら揉め事を見かけたんで、つい気になって……」

さらに、守善と呼ばれた少し背の高い少年も、守優に続いて口を開く。

「僕たちも今来たばかりなので詳しいことはわからないんですが、どうも割れた壺が原因でいざこざになってるみたいなんです」

守善の言葉を聞くと、守央と世璋は眉をひそめた。

「壺?」

「そいつは確かに気になるな。どれ、俺たちも見させてもらうとするか」

世璋たち4人は人混みの中へと分け入り、通りの様子に目を向ける。

通りでは、がっちりとした体格の髭面の男と幼い小柄な少年が、地面に置かれた深緑色の大きな風呂敷を挟んで対峙していた。

髭面の男は黒髪を頭頂部でカタカシラに結っており、萱草色かんぞういろの着物と同色の細帯を身に着けている。

幼い少年は黒髪を真結いにしており、柿色の着物と同色の細帯を身に着けていた。

広げられた風呂敷の上には、陶製の小さな壺が割れた状態で置かれている。壺の表面は白を基調とし、瑠璃紺色の双魚文様が描かれていた。

髭面の男は壺を指差しながら、幼い少年を睨み付けている。

「おい、このくそガキ。どうしてくれんだ、これよぉ? てめぇの責任で弁償できんのか? あ?」

「ご、ごめんなさい」
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