KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-

第一章 初戦

第一章 初戦 1

◆琉球豆知識・壱「琉球王国の位階と行政区画」


【位階】
身分は上位から順に王族、上級士族、一般士族、平民の4つに大きく分かれる。各身分は称号によって細かく分かれており、功績を積むことで昇格し、逆に働きがなければ降格することもあった。

・王子オージ
王族の称号の1つ。国王の子、王叔、王弟の他、功績のある按司にも与えられる。

・按司アジ
王族の称号の1つ。王子に次ぐ称号で、王子や按司の嗣子が賜る。按司は王家の分家当主の称号であり、日本の宮家当主に相当する。功績があれば王子に昇格するが、逆に歴代当主に功績がなければ7代で士族に降格する。按司の称号を賜った王族は、1間切を領地とする按司地頭あじじとうの職に就いた。

・親方ウェーカタ
上級士族の称号の1つで、士族が賜る称号としては最高位のもの。品位は正一品から従ニ品。親方の称号を賜った士族は1間切を領地とする総地頭そうじとう、もしくは1村を領地とする脇地頭わきじとうの職に就いた。

・親雲上ペークミー
上級士族の称号の1つ。品位は役職によって正三品から従七品まで広く分かれる。1村を領地とする脇地頭の職に就いた。

・里之子親雲上サトゥヌシペーチン
譜代の一般士族の称号。品位は従四品から正七品。

・筑登之親雲上チクドゥンペーチン
譜代及び新参の一般士族の称号。品位は従四品から従七品。

・里主サトゥヌシ
里之子と同じ発音だが意味は異なり、総地頭家や脇地頭家の嗣子に与えられる称号。品位は正八品から従九品。

・里之子サトゥヌシ
譜代の一般士族の称号。品位は正八品から従八品。

・筑登之チクドゥン
譜代及び新参の一般士族の称号。品位は正九品から従九品。

・子シー
譜代士族の子弟で、無位の者に与えられる称号。

・仁屋ニヤ
新参士族の子弟で、無位の者に与えられる称号。

・百姓ヒャクショウ
平民のこと。農業、漁業、工業、商業など様々な経済活動に従事する。首里・那覇・久米村くめむら・泊村とまりむらに居住する者は町百姓、それ以外の地域に居住する者は田舎百姓と呼ばれた。


【行政区画】
　琉球王国の行政区画は、国・間切・村の三段階に分かれていた。国の行政を司る王府では、役人達がそれぞれの身分ごとに定められた役職に就いていた。間切と村では平民の一部が地方役人ぢかたやくにんに選ばれ、各間切の番所や村屋の行政を担当した。

・間切まぎり
　都道府県に相当する地方行政区分。按司地頭と総地頭が共同で一つの間切を治めるが、基本的に両者は首里に住んでいたため、実際の行政は地方役人が代行することが多かった。

・村むら
　市町村に相当する地方行政区分。脇地頭が治めていたが、基本的に脇地頭も首里に住んでいたため、実際の行政は地方役人が代行することが多かった。


※参考文献
岩井虎伯『本部朝基と琉球カラテ：復刻 私の唐手術・沖縄拳法唐手術（再版）』愛隆堂、2013年
沖縄県立総合教育センター『百姓にあたえられた百姓地、地頭や間切役人 ― 沖縄の歴史』
　http://rca.open.ed.jp/history/story/epoch3/saiken_6.html
沖縄大百科事典刊行事務局『沖縄大百科事典』沖縄タイムス社、1983年
真境名安興「沖縄一千年史」『真境名安興全集 第一巻』琉球新報社、1993年
東恩納寛惇『南島風土記』沖縄文化協会・沖縄財団、1950年
宮里朝光監修／那覇出版社編『沖縄門中大事典』那覇出版社、1998年
又吉真三『琉球歴史総合年表』那覇出版社、1988年