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44 環境にやさしいタイプです
しおりを挟む野生の? 豚さんを完全スルーでやり過ごし、
お散歩という名の魔物退治実験を再開するワタシとジェニー姐さん
(ジェニー姐さんは、ただの付き添いですし、)
(魔物退治の実験といっても、ただ蚊取り線香をワタシが勝手に設置しているだけなんですけどね)
そんな感じで、引率の先生こと、ジェニー姐さんの誘導のままに歩いていると、
かなり開けた場所に出たのでした
「ここは少し草原の草が少ないです?」
「そうね、こういう開けた場所には大体・・・」
「あっ、いたわね! あそこよ、見える?」
おもむろに指をさすジェニー姐さんの視線の先を見つめると、
あたりの草よりかなり大きな、木のようなモノを見つけたのでした
「あれはなんです?」
「あれはね、カルニバルスといって、動物や魔物を捕食する植物よ」
「え? ・・・バルス?」
「カルニバルスよ」
「・・・なんだか、全てが崩壊しそうなお名前ですね・・・」
(アレ好きだったなぁ~)
(40秒で支度しちゃうアニメ!)
(1分未満だよ? なかなかの手際だよね~)
ん?
アニメ?
「・・・あなた、また、崩壊とか変なこと言い出して・・・」
「大丈夫なの?」
「はっ! すいませんです」
「いろいろなことが脳裏に・・・」
「まあいいわよ。なんだかもう慣れたしね」
「・・・」
「とりあえず、アレにもう少し近づいてみましょう?」
「でもあまり近づきすぎてはダメよ、1メートル以上は離れておきなさいね」
「ハーイ先生!」
「私はいつから先生になったのかしら?」
(ていうか、長さの単位は同じなんだね)
(さすが、並行世界って感じかな?)
ん?
並行世界?
カルニバルスの外見は、いわゆる食虫植物のそれで、
二枚貝のようになって獲物をパクンとしちゃう大きな葉っぱ? が数十個、
それこそ鈴なりに生えています
そのお口のような葉っぱには、牙のようなギザギザの棘が無数に散りばめられていて、
噛まれたら痛いどころではないのは容易に想像できます
「これって、草と同じ、植物ってことでいいんです?」
「ええ。見た目はアレだけど、根があるし、植物で間違いないわよ?」
「そうなんですね、ふむふむ・・・」
(植物なら、移動して向かってくることはないし、距離をとっていれば安全だよね?)
そんなことを考えていたら、勝手に現れる【買い物履歴】画面
画面中央の[あなたにお勧め]
そこには、
【除草剤グランドダウン 土にやさしいタイプ 2リットル 1,280円】
これはアレです。ホームセンターで購入したヤツです
地面に落下しても、土壌微生物に分解されるタイプなので、土にも環境にもやさしいヤツです
別荘地にあるワタシの自宅は、中途半端にお庭が広くて、100坪ぐらいあったのです
自然豊かな山間地でもあったので、春先から夏、そして晩秋まで、冬以外はずっと雑草との戦いでした
そんな別荘地住民の強い味方、除草剤さんなのです
(植物なら、除草剤で枯らせるのではないか、ということですね?)
(なるほど、これは分かりやすいチョイスですね!)
[あなたにお勧め]のチョイスにひとり納得していると、
ジェニー姐さんからアドバイス的なお言葉を頂きました
「植物系の魔物には、氷結(フリーズ)系の魔法か、火炎(フレーム)系の魔法が有効よ?」
「へ? それって、ワタシに言ってます?」
「ええもちろん。あなたってば体力なさそうだし、武器意外で倒すのなら、魔法でしょ?」
「いえいえ、ワタシは魔法を使えませんです」
「え? そうなの? てっきり属性魔法使いだと思っていたわ?」
「それじゃ、さっきの話はどういうこと?」
「さっきの話?」
「駐在員のみんなの前で、子モスキーを倒したって、あなた自慢してたじゃない?」
「あぁ、アレですね。あれは、特殊な道具? 薬剤? そんな感じのモノを使ったんです」
「もしかして、さっきの煙みたいに?」
「まぁ、モノは全然別物ですけど、似たような感じのモノで駆除しましたです」
「へぇ~、あなた、意外とできる感じなのかしら?」
「およ? ワタシってば、できる女な感じなのです?」
「・・・その感じじゃ、勘違いなのかしらね・・・」
そんなやり取りの後、ついに作戦行動開始です
とはいえ、ただ単に、1メートル離れたところから、
カルニバルスに向けて除草剤をぶちまけるだけなんですけど・・・
除草剤がかかった瞬間、カルニバルスは、
昔懐かしい、
サングラスをかけた踊るフラワー人形のように、クネクネし始めました
(アレは確か、ひまわりだったような・・・)
愛嬌の欠片もない食虫植物の身もだえる姿を見つつ、待つこと2~3分
カルニバルスは枯草のようになって、ピクリともしなくなりました
「おや? やったかな?」
「おっといけない、これはフラグってやつですよね? わかります」
「え? ふらぐ?」
「いえいえ、こちらのことです、お気になさらず」
「まあいいけど、それにしたって・・・」
「本当に魔法なしで倒しちゃうなんて・・・」
「あなたの言っていたこと、本当だったみたいね?」
「でしょでしょ?」
「ワタシは意外とできる子なんです!」
「発言はアレだけど・・・」
「でも、このカルニバルスの討伐は、結構骨が折れるのよね」
「この辺りは草原だから、火炎(フレーム)魔法は使いにくいし、」
「かと言って、氷結(フリーズ)魔法は使い手があまりいない魔法だし、」
「そういう理由で、カルニバルスは放置されることが多いのよ」
「それをこんな短時間で片づけてしまうなんて・・・」
「あなた、意外と魔物退治、向いているのかもね?」
「え? やっぱりできる女な感じなのです?」
「その発言を聴いちゃうとね・・・」
そんなやり取りをしつつ、【買い物履歴】画面を確認するワタシ
「ヤフー! チャージ魔力量ゲットだぜぇ!」
【買い物履歴】画面のチャージ魔力量を見れば、【36482】まで上昇していました
昨晩寝る前に確認した値から、2万近くの上昇です
「もしかしてあなた、今、倒した魔物から、魔力を取得したの?」
喜びの最中、ジェニー姐さんから突如質問です
「へ? そうですけど」
「どうやって・・・」
「普通は魔物を解体して、魔石を取り出すのだけれど・・・」
「えっ? 解体です? これ、触るんです? イヤですよ、バッチイですよ~?」
魔物の死体を指さし、体全体で拒否アピールをするワタシ
「・・・あなた、やっぱり、向いてないわね、こういうの・・・」
ジェニー姐さんから注がれる、ちょっと残念な子を見る眼差し
そんな目線であっても、ちょっとてれてれしちゃう、シャイなワタシなのでした
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