39 / 84
39 アドバイス
しおりを挟む正味2時間ほどの営業時間を恙なく終えたワタシのお店、小銀貨ショップのプレオープン
多少のゴタゴタはありましたが、上出来だったのではないでしょうか
(大金貨ももらっちゃったし、もう営業しなくてもいいくらいだよね?)
お貴族様のご来店には少々驚きましたが、
怪我の功名? 災い転じて? そんな感じで爆益をいただいちゃいました
閉店作業を始める前に、まずはお世話になった恩人にお礼を言わなければです
「ジェニー姐さん、さっきはありがとうございます」
「ん? さっき?」
「御者のおじさんのお誘いのヤツと、エラそうな従者さんです」
「ああ、アレね?」
「あなた、隠しているつもりなんでしょうけど、収納系のスキルを持っているのでしょ?」
「ハイです」
「収納系はどこでも重宝されるけど、変なのに目をつけられやすいから要注意よ?」
「今後もアレコレ勧誘されるでしょうから、普段から気をつけなさいね?」
「了解です」
「それと、本来はあまり遭遇しないのだけれど、お貴族様には気を付けなさいね?」
「権力者っていうのは、対応を間違えると大変よ?」
「今回は何とかなったけれど、今後は、どうなるか分からないわよ?」
「そこのところ、どう考えているのかしら?」
「え? えぇっと・・・」
「何も考えていないのね?」
「は、ハイです・・・」
「あまり横からごちゃごちゃ言いたくないけれど・・・」
「正直見ていて危ういのは確かだから・・・」
「まあ、人生の先輩からの助言だと思って聞いてちょうだいね?」
「はい」
「目立つことをすれば、それなりにリスクが付いてくるわ」
「それが魅力的なモノであればあるほど、悪意や欲望、権力といったものを引き寄せるの」
「そのリスクを回避する方法や太刀打ちできる手段がないのなら、ある程度自粛するべきかもね?」
「ゴブリンの群れの前で無防備に騒いだら、全て奪われるだけよ?」
ゴブリン云々は正直よく分かりませんが、
たしかに、目立ち過ぎることがよろしくないことは分かります
今回は何とかなりましたが、それはジェニー姐さんがいてくれたから
ジェニー姐さんという権力に対抗できうる人が、ワタシに代わって交渉してくれたから
ワタシひとりだったら、どうなっていたことか
お貴族様が権力を振りかざしてきたら、小娘ひとりなんて、ひとたまりもありません
(実際、あのいけ好かない従者さんにLED照明を奪われそうだったしね)
そんな風に反省していると、ジェニー姐さんから思わぬご提案です
「それで、物は相談なのだけど、スキニーちゃん」
「あなた、私の助手やらない?」
人生の先輩からのアドバイスだったのが、全くの想定外のお話になっちゃいました
「へ? ワタシがジェニー姐さんの助手です?」
「そう。あなたにもらったあの薬、とても良いモノだったわ」
「もし、他にも良い薬があるのなら、お願いしたいのよ」
「見かけ上、助手という形をとるけれど、薬師である私に、スキニーちゃんが薬を卸す」
「そして私が薬師として薬を患者に処方する」
「つまり、スキニーちゃんは薬師の助手という形で間接的だけれど、薬を販売しない?」
「この形なら、スキニーちゃんが直接表立ってアレコレしなくて済むでしょ?」
「だから、今日みたいなリスクは回避できると思うのだけれど、どうかしら?」
「もちろん、薬以外のモノを薬師の助手として、販売してもいいわ」
何だか素晴らしいお誘いを受けてしまいました
ワタシは直接お客さんとやり取りせずに済みますし、
それでいてジェニー姐さんの助手として販売に関与できます
ジェニー姐さん的にもメリットがあるようですし・・・
(アリなんじゃないでしょうか!)
プレオープンで大金貨を稼いでしまった今、
ガツガツ商売する必要性も感じないですし、
それに元々コミュ障気味なワタシです
むしろ、こちらからお願いしたいご提案です
よって、お返事は、快諾あるのみ
「よ、よろこんで!」
なぜか居酒屋の新米バイトさんのような返答になってしまったワタシなのでした
27
お気に入りに追加
1,792
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転移した優しい旅人は自分を取り巻く愛と呪いに気付かない
知見夜空
ファンタジー
生まれつきの病により18歳で命を落とした神凪命(かんなぎみこと)は、気が付くと『神の宝物庫』と呼ばれる場所に居た。
神の宝物庫は未練を抱えて死んだ魂たちが集まる場所。
そこでは魔法の道具を1つ選び、そのままの姿で異世界に行く『転移』と、高い能力や身分を持った現地人として生まれ変わる『転生』が選べる。
「でも君には『全知の鏡』である俺を持っての転移を選んで欲しいんだ」
全てを見通す鏡の賢者に自分を人間に戻して欲しいと頼まれたミコトは、彼とともに異世界へ旅立つ。
彼を人間に戻す方法を探すとともに、今度は自分が誰かの力になりたいという、彼女自身の願いを叶えるために。
素直で健気な旅人ヒロインが魔法の道具たちを駆使して、たくさんの人を幸せにする愛と魔法の異世界ファンタジー(このお話は小説家になろうにも投稿しています)。
聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!
幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23 女性向けホットランキング1位
2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位 ありがとうございます。
「うわ~ 私を捨てないでー!」
声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・
でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので
「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」
くらいにしか聞こえていないのね?
と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~
誰か拾って~
私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。
将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。
塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。
私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・
↑ここ冒頭
けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・
そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。
「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。
だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。
この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。
果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか?
さあ! 物語が始まります。
異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~
ぱつきんすきー
ファンタジー
突然「神」により異世界転移させられたワタシ
以前の記憶と知識をなくし、右も左も分からないワタシ
唯一の武器【買い物履歴】スキルを利用して異世界でぼちぼち生活
かつてオッサンだった少女による、異世界生活のおはなし
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる