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Ⅱ.未編集
第41夜
しおりを挟むあの桐生彗が授業にきちんと参加し、尚且つ皆んなの前で問題を解いたと次の休み時間では校内に広まった。
たかがそれだけで何故こうまで噂になるのか、彗自身は分かっていないが、良くも悪くも目立つ彼の動向は注目の的だった。
さらに最近では彼の悪評を聞くことも少なくなり、不仲と言われていた爽との行動が増えたことも手伝って「実はそんなに怖くないかも」とプラスな話も出回っていた。
「爽、お前何を企んでいる?」
しれっと隣に座っている弟を半眼で見やる。
「何のこと?」
「トボけるな。ここ最近、俺について何やら噂が流れているみたいだが…絶対お前のせいだろ?」
「ひどいな。僕は何にもしていないよ」
本当、むしろ前は色々としていたけどーーなどと爽が考えているとは知らない彗は、腑に落ちないものの元々頓着はしない性格だ。
まぁ、どうでもいいかと思い直す。
(俺は平和に学校生活を送れればそれで…そういえば近頃喧嘩をふっかけてくる奴も減ったな)
しみじみと思い返せば、最後の喧嘩はもう数週間前の話だ。
前は3日と置かず誰かしらが彗の元を訪れては返り討ちにあっていた。
(…考えるだけ無駄か)
気を取り直して次の授業の確認をし、古典なら寝ても問題ないなとチャイムの音を聴きながら思ったのだった。
ところが、彗の甘い考えはもろく崩れ去った。
「…次の問題を桐生くん。あ、兄の方ね。に解いてもらおうかな」
「はっ…?」
「田場先生から真面目にやらなかったら報告して欲しいと頼まれてね。何やら大変そうな課題を準備していたから…先生的には積極的に授業に取り組んで欲しいな」
(ウソだろ…)
どうやら新しい担任はやる気満々のようだ。
そもそも問題を起こすのは彗としても不本意だった。
だから今までだって出席日数はギリギリでも課題とテストは逃したことがない。
根は真面目なのだ。
けれど、授業に参加するのは普通に面倒くさく、そっちが不良として接してくるならそれらしくサボってもいいかなくらいで考えていた。
そこに気づく先生はおらず、見逃してくれていたから自由気ままな学生でいられた。
そのことを十分に理解している彗は諦めのため息を吐く。
二者面談とかゴメンだし、ヘタをすれば親呼び出しまでされそうだ。
「…彗」
「…何だよ」
小声で爽に呼ばれる。
「これからは真面目にしなきゃだね?元は彗の方が頭も良いんだし、これを機に一緒に頑張ろう」
「…お前の差し金じゃないよな?」
なんのこと?とキョトンと返され、さすがにそれは無いかと思い直した。
いくらこいつでも先生にまで影響力があるわけーーないとは言い切れないが、今回の発端はどうやら田場らしい。
無気力に見えて存外教職に向いているようだ。
それから俺は、各先生たちに脅しに近い文句を言われるハメになったのだ。
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