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第5話 - 3
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「ぁ……」
節立った指がゆっくりと蜜路に入ってくる。下腹部から小さな波が立ち、文音は吐息とともに声を漏らした。全身にじんわりと熱を運んでいっては、熱だけを残し消えていく。その快い波が完全に消える頃、京也が指を引き抜き始める。
「ん……」
彼が繰り返し与えてくる甘い疼きを、少しでも大きなものにしようと、文音は瞼を下ろし下腹部に意識を向けた。彼の指が抜けてしまう。そう感じ取った瞬間、わずかに蜜口のあたりが動いたような気がした。初めてみせる自分の身体の動きに、文音は内心驚いた。
「なぁ、文音。気づいてたか?」
「なんです、か……」
京也の声を聞いた途端、心臓がドキっとする。閉じていた瞼をそっと開けてみると、笑みを浮かべて自分を見下ろす京也の姿が目に入ってきた。何も身に付けていない自分とは対照的に、彼は服を着たままだった。
(……京也さん、今日も途中で帰っちゃうのかな……)
最初のテストから一ヶ月くらい経っただろうか。あれから彼は二、三日に一回の割合で家に来ては、じっくりと時間を掛けてこの身体に甘美な感覚を教え込んでいった。
回を重ねるごとに気持ち良さは増し、今では全く痛みを感じることなく、指を受け入れられるようになった。それから服をすべて脱がされるようになり、至るところに愛撫を施されていく。そしてさんざん焦らした後、彼はいつもそこで帰ってしまうのだった。
(初めてテストをした時に、京也さんはスケジュールが押してるって言ってたけど……)
そう告げられた前も後も、彼が忙しそうにしているところを、文音は一度も見たことがなかった。それどころか、二人きりになるなり直ぐにじゃれてきては、文音が注意するまで京也は仕事をしないのだった。
「そこ、だめ……です……んぅ……」
呼び掛けておきながら、京也が蜜路に指を挿し入れ、中をまさぐってくる。文音は目を閉じ、身体を揺らした。すると、京也の指はするりと外に出ていき、蜜口からとろりと愛液が零れていく。目を開けてみると、目の前に濡れた京也の手が現われた。
「この、文音の愛液にまみれた手をいつも拭いて帰った後……」
そう言ってから、京也はおもむろに手を自身の鼻先へと寄せていった。そして上体を起こしながら、もう片方の手でベルトを掴む。
「手に残った匂いから、文音のエロい姿を思い出して……」
「――!! きょ、京也さん……!?」
片手でベルトを外すと、京也はスラックスの中から硬く反り返ったモノを取り出し、ゆるゆると扱き始めた。生々しい彼の行為に文音の目が釘付けになる。不意に淫らな映像が脳裏を過った。繰り返し想い描いては恥ずかしくて言えずにいる欲求。
「へ、変態っ」
固唾を呑んだ瞬間、文音はハッと我に返り顔を逸らした。
「俺だけ? 文音は違うのか?」
耳朶に唇を押しつけて京也が囁いてくる。文音の心臓が大きく揺れ動いた。
「きょ、京也さん……だけ」
「へぇ、じゃあ――」
京也が蜜穴に指を二本押し込んでくる。そして中から愛液を搔き出すかのように指を使ってきた。湿った水音に紛れて空気が出ていく音がする。その卑猥な音に煽られ、頬だけでなく耳にまで熱が広がっていく。
「文音のここ、さっきよりもエッチな蜜でいっぱいになってるのは、何でなんだ?」
京也が顔を覗き込みながら目を細めて聞いてきた。文音は視線を落として口を引き結ぶ。
「なあ、文音。どっちを想像した? 俺が文音のことを想いながらしてるのと、文音のここに俺のが入っていくところ」
「どっちも……ち……ぁ……」
言葉を口にした途端、京也が指の動きを抽送へと変えてくる。さらに緩急を加え、彼は焦らしに掛かった。昇り詰めそうになっては引いていく快楽の波に、文音の理性が削られていく。気づくと彼の執拗な指の動きに合わせて、腰が勝手に応え始めていた。
「どっちでもないのなら、今日はここで終わりにするしかないな」
京也の言葉に、文音は眉根をきゅっと寄せ、ふるふると頭を振った。
「それならどっちか選べ。文音が言った方を俺はする。このまま文音を想いながら俺は今日も一人でした方がいいのか、それとも文音が俺を受け入れて一緒にしてくれるのか」
優しく告げながら京也が花芯に指を当ててくる。そして中と外を同時に刺激し始めた。その瞬間、快楽の波が津波となって文音を襲う。
「だ、だめ……それ――」
目をぎゅっとつぶり文音は一気に高みへと駆け上がっていった。しかし、あと一歩というところで、京也がそれを阻んだ。
「答えてくれないなら仕方ないな。今日はここまでだ」
京也の指がずるりと抜けていく。文音は咄嗟に目を開け、京也の顔を見た。
「決まったか?」
口元に笑みを浮かべ京也が首を横に倒す。それから頬と肩の間に挟まれるようにして置かれている手に、彼は頬を擦りつけ口づけをする。文音はキスされた自分の手を見つめながら、小さな声で言葉を発していった。
「……京也さんのを、……わたしに、ください」
そろりと視線を動かしていく。すると嬉しそうに頬を緩めて笑う京也の表情が目に入ってきた。彼は静かに顔を寄せると、軽く唇を重ねてから口を開いた。
「ちゃんと言えた、ご褒美をあげないとな」
そう言うなり、京也は文音の中に指を埋め、緩くかき回すようにして手を動かし始めた。そして優しく花芯を圧しほぐす。全身にじわじわと快感が広がっていき、下腹部が熱を孕んでいく。文音の背中が少しずつベッドから浮き上がっていった。
「ぁ……」
突き出た胸の先端を、京也が舌と指を使って責め立てくる。あらゆるところから刺激を送り込まれ、文音はついに絶頂へと達した。
「あっ……もっ、……ちゃう……、ぁ……や、い……いくっ――」
腹部にぐっと力が入る。何層にも積み上げてきた快感が勢いよく弾け、身体がふわりと浮いたような感覚に包まれていった。その直後、今度は重力が増したかのように全身が重くなっていく。目を開けることすら億劫になり、文音は目を閉じたまま自分の呼吸が落ち着くのを待った。
「ん……」
不意に揺れを感じ、文音は目を開けた。柔らかい笑みに続き、京也のがっしりとした体躯が視界に映る。彼はいつの間に服を脱いだのだろうか。そんなことをぼんやりと思っている間にも、京也は手早く避妊具をつけ、蜜口に硬くて熱いモノをあてがってきた。
「力抜けよ……」
優しい声音でそう囁くと、京也は慎重に腰を前へと進めていった。
「んっ……ぁぁ……」
「痛いか?」
動きを止め、京也が心配そうな表情をして聞いてくる。
「ぁ……だ、大丈夫です。……その、なんか気持ち良くって……」
ほんのりと頬を赤くし、文音はやや上目遣いに京也の目を見ながら答えた。入口の辺りを擦り上げられた瞬間、快い刺激が全身を駆け巡り思わず声が出てしまったのだ。
京也はふっと表情を緩めると、短いストロークを繰り返し、ゆっくりと文音の中へと入っていった。
「文音、どうだ? 何ともないか?」
奥まで入ったことを告げる代わりに、京也が軽く腰を揺すってくる。文音がコクリと頷き返すと、京也は腰をぴたりと重ねたまま頬や唇に口づけを落とし始めたのだった。
「……京也さん」
文音が身をよじりながら名前を呼ぶ。するとそこで、ようやく京也が腰を使い出した。彼は首筋に唇を這わせ、やわやわと乳房を揉み、緩やかな抽送を行う。
「ぁ……んっ……ぁん……ぁ……」
文音の口から零れ出る声が甘みを帯びてくる。それに合わせて京也が抽送を速めた。
「文音……っ、あと少しだけ……、いいか……?」
眉間に皺を寄せながら京也が声を掛けてきた。ここまで来てもなお気遣ってくれる彼の様子に心まで満たされていく。文音は微笑みを浮かべ、京也の肩に腕を回した。
「大丈夫です……このまま……来てください……」
耳元でそう囁いた途端、京也が貪るようにして文音の唇を塞ぐ。
全身に彼を感じ、ゆらゆらと身体を揺り動かされ、文音の意識は次第に薄らいでいった。
「――っ」
腰を深く押しつけ、京也が苦悶の声を漏らす。文音は静かに目を閉じると、温かい彼の腕の中に自身を預けたのだった。
節立った指がゆっくりと蜜路に入ってくる。下腹部から小さな波が立ち、文音は吐息とともに声を漏らした。全身にじんわりと熱を運んでいっては、熱だけを残し消えていく。その快い波が完全に消える頃、京也が指を引き抜き始める。
「ん……」
彼が繰り返し与えてくる甘い疼きを、少しでも大きなものにしようと、文音は瞼を下ろし下腹部に意識を向けた。彼の指が抜けてしまう。そう感じ取った瞬間、わずかに蜜口のあたりが動いたような気がした。初めてみせる自分の身体の動きに、文音は内心驚いた。
「なぁ、文音。気づいてたか?」
「なんです、か……」
京也の声を聞いた途端、心臓がドキっとする。閉じていた瞼をそっと開けてみると、笑みを浮かべて自分を見下ろす京也の姿が目に入ってきた。何も身に付けていない自分とは対照的に、彼は服を着たままだった。
(……京也さん、今日も途中で帰っちゃうのかな……)
最初のテストから一ヶ月くらい経っただろうか。あれから彼は二、三日に一回の割合で家に来ては、じっくりと時間を掛けてこの身体に甘美な感覚を教え込んでいった。
回を重ねるごとに気持ち良さは増し、今では全く痛みを感じることなく、指を受け入れられるようになった。それから服をすべて脱がされるようになり、至るところに愛撫を施されていく。そしてさんざん焦らした後、彼はいつもそこで帰ってしまうのだった。
(初めてテストをした時に、京也さんはスケジュールが押してるって言ってたけど……)
そう告げられた前も後も、彼が忙しそうにしているところを、文音は一度も見たことがなかった。それどころか、二人きりになるなり直ぐにじゃれてきては、文音が注意するまで京也は仕事をしないのだった。
「そこ、だめ……です……んぅ……」
呼び掛けておきながら、京也が蜜路に指を挿し入れ、中をまさぐってくる。文音は目を閉じ、身体を揺らした。すると、京也の指はするりと外に出ていき、蜜口からとろりと愛液が零れていく。目を開けてみると、目の前に濡れた京也の手が現われた。
「この、文音の愛液にまみれた手をいつも拭いて帰った後……」
そう言ってから、京也はおもむろに手を自身の鼻先へと寄せていった。そして上体を起こしながら、もう片方の手でベルトを掴む。
「手に残った匂いから、文音のエロい姿を思い出して……」
「――!! きょ、京也さん……!?」
片手でベルトを外すと、京也はスラックスの中から硬く反り返ったモノを取り出し、ゆるゆると扱き始めた。生々しい彼の行為に文音の目が釘付けになる。不意に淫らな映像が脳裏を過った。繰り返し想い描いては恥ずかしくて言えずにいる欲求。
「へ、変態っ」
固唾を呑んだ瞬間、文音はハッと我に返り顔を逸らした。
「俺だけ? 文音は違うのか?」
耳朶に唇を押しつけて京也が囁いてくる。文音の心臓が大きく揺れ動いた。
「きょ、京也さん……だけ」
「へぇ、じゃあ――」
京也が蜜穴に指を二本押し込んでくる。そして中から愛液を搔き出すかのように指を使ってきた。湿った水音に紛れて空気が出ていく音がする。その卑猥な音に煽られ、頬だけでなく耳にまで熱が広がっていく。
「文音のここ、さっきよりもエッチな蜜でいっぱいになってるのは、何でなんだ?」
京也が顔を覗き込みながら目を細めて聞いてきた。文音は視線を落として口を引き結ぶ。
「なあ、文音。どっちを想像した? 俺が文音のことを想いながらしてるのと、文音のここに俺のが入っていくところ」
「どっちも……ち……ぁ……」
言葉を口にした途端、京也が指の動きを抽送へと変えてくる。さらに緩急を加え、彼は焦らしに掛かった。昇り詰めそうになっては引いていく快楽の波に、文音の理性が削られていく。気づくと彼の執拗な指の動きに合わせて、腰が勝手に応え始めていた。
「どっちでもないのなら、今日はここで終わりにするしかないな」
京也の言葉に、文音は眉根をきゅっと寄せ、ふるふると頭を振った。
「それならどっちか選べ。文音が言った方を俺はする。このまま文音を想いながら俺は今日も一人でした方がいいのか、それとも文音が俺を受け入れて一緒にしてくれるのか」
優しく告げながら京也が花芯に指を当ててくる。そして中と外を同時に刺激し始めた。その瞬間、快楽の波が津波となって文音を襲う。
「だ、だめ……それ――」
目をぎゅっとつぶり文音は一気に高みへと駆け上がっていった。しかし、あと一歩というところで、京也がそれを阻んだ。
「答えてくれないなら仕方ないな。今日はここまでだ」
京也の指がずるりと抜けていく。文音は咄嗟に目を開け、京也の顔を見た。
「決まったか?」
口元に笑みを浮かべ京也が首を横に倒す。それから頬と肩の間に挟まれるようにして置かれている手に、彼は頬を擦りつけ口づけをする。文音はキスされた自分の手を見つめながら、小さな声で言葉を発していった。
「……京也さんのを、……わたしに、ください」
そろりと視線を動かしていく。すると嬉しそうに頬を緩めて笑う京也の表情が目に入ってきた。彼は静かに顔を寄せると、軽く唇を重ねてから口を開いた。
「ちゃんと言えた、ご褒美をあげないとな」
そう言うなり、京也は文音の中に指を埋め、緩くかき回すようにして手を動かし始めた。そして優しく花芯を圧しほぐす。全身にじわじわと快感が広がっていき、下腹部が熱を孕んでいく。文音の背中が少しずつベッドから浮き上がっていった。
「ぁ……」
突き出た胸の先端を、京也が舌と指を使って責め立てくる。あらゆるところから刺激を送り込まれ、文音はついに絶頂へと達した。
「あっ……もっ、……ちゃう……、ぁ……や、い……いくっ――」
腹部にぐっと力が入る。何層にも積み上げてきた快感が勢いよく弾け、身体がふわりと浮いたような感覚に包まれていった。その直後、今度は重力が増したかのように全身が重くなっていく。目を開けることすら億劫になり、文音は目を閉じたまま自分の呼吸が落ち着くのを待った。
「ん……」
不意に揺れを感じ、文音は目を開けた。柔らかい笑みに続き、京也のがっしりとした体躯が視界に映る。彼はいつの間に服を脱いだのだろうか。そんなことをぼんやりと思っている間にも、京也は手早く避妊具をつけ、蜜口に硬くて熱いモノをあてがってきた。
「力抜けよ……」
優しい声音でそう囁くと、京也は慎重に腰を前へと進めていった。
「んっ……ぁぁ……」
「痛いか?」
動きを止め、京也が心配そうな表情をして聞いてくる。
「ぁ……だ、大丈夫です。……その、なんか気持ち良くって……」
ほんのりと頬を赤くし、文音はやや上目遣いに京也の目を見ながら答えた。入口の辺りを擦り上げられた瞬間、快い刺激が全身を駆け巡り思わず声が出てしまったのだ。
京也はふっと表情を緩めると、短いストロークを繰り返し、ゆっくりと文音の中へと入っていった。
「文音、どうだ? 何ともないか?」
奥まで入ったことを告げる代わりに、京也が軽く腰を揺すってくる。文音がコクリと頷き返すと、京也は腰をぴたりと重ねたまま頬や唇に口づけを落とし始めたのだった。
「……京也さん」
文音が身をよじりながら名前を呼ぶ。するとそこで、ようやく京也が腰を使い出した。彼は首筋に唇を這わせ、やわやわと乳房を揉み、緩やかな抽送を行う。
「ぁ……んっ……ぁん……ぁ……」
文音の口から零れ出る声が甘みを帯びてくる。それに合わせて京也が抽送を速めた。
「文音……っ、あと少しだけ……、いいか……?」
眉間に皺を寄せながら京也が声を掛けてきた。ここまで来てもなお気遣ってくれる彼の様子に心まで満たされていく。文音は微笑みを浮かべ、京也の肩に腕を回した。
「大丈夫です……このまま……来てください……」
耳元でそう囁いた途端、京也が貪るようにして文音の唇を塞ぐ。
全身に彼を感じ、ゆらゆらと身体を揺り動かされ、文音の意識は次第に薄らいでいった。
「――っ」
腰を深く押しつけ、京也が苦悶の声を漏らす。文音は静かに目を閉じると、温かい彼の腕の中に自身を預けたのだった。
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